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popress【Love & Sex】性、恋愛の問題をまじめに考える
 

興奮、胸キュン 自分だけ? 十人十色 フェチを考える

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 見かけによらない隠れた内面が分かるようで、若い男女の間で意外と盛り上がるのが「フェチ」の話。異性の好みや身体パーツへのこだわりといった軽い意味から、物への執着、変態的なイメージまで、とらえ方はさまざまなようだ。そもそもフェチって何? 心理学や文学の研究者の声も交え、まじめに考えた。  (担当・奥野斐)

 あなたは何フェチ? 一言に「フェチ」と言っても、人によって抱く思いは千差万別なはず。まずは金沢の20代、30代の男女10人に聞いてみた。

 やはり最も多かったのが、異性の体の部位だ。「女性のうなじ」や「男性の二の腕」など、オーソドックスな答えが出た一方、寝ぐせや表情筋といったマニアックなこだわりを披露する人もいた。寝ぐせに引かれるという女性(25)は、かつて知人男性が言った「自然の造形だから直す必要はない」という言葉にほれぼれし、注目するようになったとか。

 恋愛感情や性的興奮とかけ離れた珍回答もあった。漫画や塗り絵の枠などの「縁どり線」を挙げた女性(28)は「自分でも分からないけれど、見ると気分が高揚する」。大学院生の男性(25)にとってフェチは「好きでやめられないこと」らしく、「物をたたいて作り出すリズム」が好きでたまらないという。

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 一方、NPO職員の女性(26)は「フェチと聞くと異常で変態的な印象がある」といい、自分の「フェチはない」と言い切った。

 質問を投げかけた時の反応も十人十色。「私、○○フェチです」と即答する人がいれば、一瞬考えてから恥ずかしそうに声に出す人も。「メガネ男子」や「八重歯ガール」の写真集や書籍も発売される昨今。質問に答えてくれた女性の一人は「人が何に興奮するか、分からないですよね」としみじみと語った。

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異常、逸脱 重い概念

心理学では?

 フェチはフェティシズムの略で、精神医学や心理学では古くから研究対象になってきたテーマだ。「フェティシズムは、下着や服などあらゆる“モノ”に対する異常な性欲のこと。心理学では、性行為を目的としない、性の逸脱現象とされてきました」。北陸学院大の丸山久美子教授(73)=犯罪心理学=は説明する。

 「フェティッシュ」と呼ばれる対象物は、下着やラバー(ゴム製品)、毛皮、アクセサリー、化粧…と幅広い。丸山教授によると、このような物を愛撫(あいぶ)してマスターベーションに至る「異常な」状態がフェティシズム。異性の好みや欲求という軽い意味で使うのは誤用という。

 「例えば、下着泥棒など、物への異様な執着が犯罪にもつながりかねないとの指摘もある」と丸山教授。「軽い感じでは使えない言葉よ」と苦笑する。

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偏愛色濃い谷崎作品

文学では?

 文学でもフェティシズムは描かれてきた。「細雪(ささめゆき)」「痴人の愛」などで知られる作家谷崎潤一郎の小説は、脚に対する偏愛が色濃く表れているという。

 金沢大の前田久徳教授(62)=日本近代文学=は「確かに、谷崎の作品には脚にこだわった場面がある。ただ、それは谷崎本人の性癖にとどまらず、主人公のマゾヒズムを表現する装置として機能している」と力説する。

 谷崎は作中に妖婦や毒婦を多く登場させ、男より上位に女性を置くことが多かったという。「例えば初作品『刺青』では、女性の脚を見て『多くの男性を踏み付けている脚だ』と夢想する男が描かれています」。この構図は「富美子の足」「瘋癲(ふうてん)老人日記」でも、よく分かるそうだ。

 前田教授は「谷崎は特殊な世界の美を、普遍化した美の世界に昇華させて描いた」と功績を説明している。

 

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