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popress【Interactive】若い読者モニターの声を受けたニュース解説
 

バク・トゥ・ザ・ティーチャー 家計編 給与明細で会社見える

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 上がらない給料、非正規雇用の増加…。不況が長引く現代社会をたくましく生き抜くために、収入を把握し、どう運用するかをしっかり考えたい。「バク・トゥ・ザ・ティーチャー」は今回から「家計編」に入る。ページのキャラクター・ばくが石川、富山の若者と対話しながら、給料や保険、預貯金といった暮らしに密着した仕組みを学んでいく。まずは、意外と知られていない給与明細の見方から。

まずは勤怠欄

ばく:初回は金沢市の派遣社員、ハルカさん。給与明細をじっくり見たことはある?

ハルカ:振り込まれる金額くらいしか見ないですね。

金沢市のハルカさん(仮名)/年齢:34歳/職業:派遣社員/家族構成:独身、父親と2人暮らし/一言:新聞は毎日1面とテレビ欄ぐらいは見るけれど、難しい印象。友人とたまに食事に行くのが楽しみ。

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ばく:そういう人が多いね。でも、よくニュースで聞く残業代未払い問題のように、労働の対価がきちんと支払われていないこともありえるし、見方を知っておくことは重要だ。

 そこで、日本FP(ファイナンシャル・プランナーズ)協会石川支部の山下慎一さん(39)の協力を得ながら、明細の見方を学んでいこう。キーワードは「だまされない、損をしない、困らない」だ。給与明細のイラストを見てほしい。大体、どの会社も共通しているのが「勤怠、支給、控除」の三項目。

 まず、会社に「だまされない」ように、最初に押さえるべきなのは勤怠欄(A)。給与計算の基本となる出勤や欠勤の日数、残業時間などその月の勤務状況が分かる。特に、未払いや計算間違いが生じやすい時間外手当((1))の基となる休日出勤の日数や、残業時間がおかしいと感じたら、タイムカードなどで確認してみよう。

ハルカ:なるほど。

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手当見逃すな

ばく:次に「損をしない」ための知識も、身に付けておきたい。

 基本給や手当など会社から支払われるお金が記載されている支給欄(B)は、該当する手当をきちんともらえているかが重要。役職における責任に対する「役職手当」、危険な土木業務などの対価「危険手当」、「単身赴任手当」…。企業や職種によって項目は多岐にわたる。自分の会社の手当の計算方法は、就業規則を見て調べることができる。

 ありがちなのは、受け取れるはずの手当を申請するのを忘れているケース。結婚・出産や、引っ越しで通勤距離が延びた時、特定の資格を取得した時などは、会社に報告しないと加算されないこともある。注意しよう。

ハルカ:はい。

天引き要注意

ばく:最後に、税金や社会保険料など給与から天引きされる控除欄(C)。「なんでこんなに払わなきゃならないの?」と思う人も多いだろうけど、納めておかないと病気時の医療費や、リタイア後の年金で困るかもしれないので、要チェック。

 この項目では、毎月一定額が引かれているかと、天引き金額が変わる時期に注目。多くの場合、健康保険料((3))も、厚生年金保険料((5))も9月分から額が変わるので、前月との増減を確認。また、住民税((10))は前年の所得に基づいて計算され、6月から1年間で納める仕組み。所得税((9))は、毎月の所得から概算で引かれ、年末調整で精算する。その結果が源泉徴収票(※2)に記載される。

派遣社員は?

ハルカ:明細の基本はだいたい分かりました。私は派遣社員なんですけど、正社員や契約社員と明細上で違う点はありますか?

ばく:派遣社員の場合も、税金や社会保険料は正社員と同じように納めている。ただ、基本給は時給計算。手当ではなく能力によって時給が上がり、ボーナスは出ない場合が多い。契約社員は会社との雇用条件による。

ハルカ:そういえば以前、正社員として働いていた時は、ボーナスや寒冷地手当も支給された。派遣は定時で帰れるのがメリットだけれど、手当やボーナスがなくて、給料は少なくなりました。

ばく:正社員でも、今は手当をスリム化または、廃止する会社が増えている。手当の意味が形骸化しているというのが主な理由だ。一方、基本給を低く抑えて手当が厚い会社もあるが、ボーナスや退職金は基本給がベースだから、一概に喜べない。

ハルカ:明細には、勤め先の給与の実態が詰め込まれているんですね。一度きちんと見てみます。

 担当・奥野斐

コール&レスポンス

回答者:ファイナンシャルプランナー 山下慎一さん

私の給料、これでいいの?

【ハルカ】他人のお給料って気になるけれど、なかなか分かりませんよね。給料の相場って知ることができますか。

【回答】大卒初任給や30歳平均、業界平均が公表されることはあるが、実は詳細はあまりオープンになっていない。理由の一つは、会社にとって給与体系がライバル他社に知られたくない情報を含む「企業秘密」にあたるから。同じ社内でも能力などで給料に差がある。そういうわけで相場を知るのは難しい。

【ハルカ】自社製品の売り上げノルマを課され、達成できないと自ら買い取らなくてはならず、実質的に給料が減るという会社もあると聞きます。いいのですか?

【回答】 結論から言うと、従業員が自分の意思で買い取っている場合は問題ないだろう。だが、それが常態化していたり、会社として強要しているのであれば問題となりうる。一方、会社の組合費など給与から天引きする場合は、労使協定がないとできない。

 ※1 標準報酬月額 健康保険料と厚生年金保険料を算出、または給付額を計算する際の基準となる額。毎年4〜6月の給与(手当類を含んだ総額)の平均で決まる。見直しは原則年1回だが、給料(固定給)が大幅に変動した時は、随時変わる。

 ※2 源泉徴収票 会社員の年収や年間の所得税額、1年間に支払った社会保険料などが記載されている、いわば個人の“決算書”。所得税は、1月1日〜12月31日の所得に対して課税されるが、実際は毎月、月給に応じた税額が給与から天引きされている。この額は概算のため、納めるべき額とのずれを年末調整で精算した結果が記載されている。

【取材協力】 日本FP協会石川支部 ファイナンシャルプランナー山下慎一さん 

 

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