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popress【Interactive】若い読者モニターの声を受けたニュース解説
 

バク・トゥ・ザ・ティーチャー 政治編 税金って 払わんなん?

富山県高岡市、タカ(仮名)/年齢:23歳/職業:大学院生/好きな本:心理学系/良く聴く音楽:ジャズなど/一言:今は就活中。金融、製薬などの会社を中心に回っています。友達とだべるのが好き。

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 若者の政治や選挙への関心を高めようと、ばく先生が石川、富山の若者をめぐる「バク・トゥ・ザ・ティーチャー政治編」。2回目は、誰もが納めなくてはならない「税金」の仕組みがテーマだ。非常に複雑だが、社会のあらゆる営みを成り立たせる源だけに、避けて通れない。政治に何を期待するか、考える上で有効な判断基準ともなるはず。富山県高岡市の大学院生・タカと対話し、その実態に迫った。

 ばく先生:タカは政治に興味がある?

 タカ:あるほうかな。でも、周りはけっこう無関心な人が多い。働いている友人に税金や年金のことを話しても「給与から勝手にひかれてるわ」といった返事しか返ってこないし。

 ばく先生:ふむ。

 タカ:私はよくわからないことに金を使いたくない。どうせ払わなきゃいけない税金なら、せめてどういう仕組みで、何に使われているかなどを知りたい。ほかの若者も知ることで、年金や税金のあり方を考え、政治にもっと積極的に参加するようになるかも、と思う。

 ばく先生:よし。どこまで期待に応えられるか分からないけど、やってみよう。

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給料2割引かれる

 ばく先生:タカはまだ働いていないから、年金も特例猶予(※<1>)で払っていない。ということで、タカの周りの一般的な友人を想定したモデルケースがどれぐらい税金などを払わなくてはならないのか調べてみた=表(1)。

 まず、給料から直接引かれるのが所得税と住民税。収入が多いほど納める額が増える仕組みになっている。あとは、消費税や自動車税も納めなくてはならない。これらは使い道が決まっていない普通税(※<2>)。納めた先の国や地方自治体が、人々にとって必要と考えるあらゆる経費に充てる。

 さらに、給料からは健康保険や、年金といった「社会保障費」も引かれる。税金と合わせ、稼いだお金の2割は自由に使えないことになる。

 タカ:なるほど。

実際の使い道は?

 ばく先生:では、税金は具体的にはどう生活に還元されているのか。タカが住む高岡市の2008年度決算を基に表したのが、この図=表(2)=だ。防衛費や年金の国庫支出分、警察の経費など、国や県から直接、還元されるものは除いているよ。

 高岡市は、全国の似た人口、産業構造をしている自治体の平均と比べると、衛生費が突出して高く、土木費や総務費がちょっと低いことが分かる。市によると、大型事業の「高岡斎場」が完成し、これが衛生費に計上され、その分、土木・総務費の割合が下がったのが理由だという。これを見て、どう思う?

 タカ:高岡は若者の娯楽施設が少なく感じる。市は文化的なものしか造れないだろうから、娯楽施設を造ってくれる企業を補助してほしいかな。今でも平均より少し多いようだけど、商工費を増やしてほしい。

自治体データ注視

 ばく先生:そうか。すると、ほかの出費を減らさないといけないけど、タカならどこを削る?

 タカ:土木費が少し高いかな。街を車で運転していると、いつも道路工事しているように感じるし、もうちょっと減らせるのでは。

 ばく先生:うんうん。こういうふうに自らの実感と、税金の使い道で見えてくる自治体の現状を合わせて考えると、政治に期待することが自分なりに見えてくる。ちなみに、こういったデータは自治体のホームページや広報誌でもけっこう公表されているので、高岡以外に住んでいる人も確認するといいかも。

 タカ:ただ、これ言っちゃうと何ですが、政局のごたごたとかで不信感が高まっていることもあり、行政の資料を頭から信じないようにしている。税金の使い道でどこを削れるか自ら判断するため、もっと細かく知りたくもなったかな。

 ◆ ◆ ◆ 

 少子高齢・低成長率の時代になり、国の財政への不安が高まっている。タカのように「じゃあ、今はどんなふうに税金を使っているの」と疑問を持つ若者も多いだろう。

 政局関連の話題ばかりでなく、「自分はどういう社会を望むのか」を考えるための判断材料が求められている−。ばく先生はそんな思いを胸に、次の目的地に向かった。次回は4月上旬。〜to be continued(続く)〜

 【出典】

 表1 モデルの年収は、厚生労働省の2009年度統計の富山県内20〜24歳(全産業)男性平均額を適用。表に記したおもな税金は、それぞれの税率、控除額を踏まえて算出した。約30万円の内訳は、所得税(国税)9万5000円+住民税12万1000円(市、県税)+消費税5万円(年に100万円を使ったと仮定。国税)+自動車税3万4500円(乗用車の場合。県税)+α(入湯税など)。

 表2 高岡市の08年度「人口一人あたりの目的別歳出決算額」と、総務省の同年度「類似団体別市町村財政指数表」を参考。歳出全体に占める土木費や衛生費などの割合を算出した。額の小数点以下が示されていないことなどから、割合を足しても100%にならない。

コール&レスポンス

回答者:popress編集長 福田

納めた分だけ戻ってこない?

 【タカ】少子高齢化で、私たちの世代はこれまでの世代より納める年金額が増えるのに、定年後にもらえるのは納めた額以下との話もあるようですが。

 【回答】よく聞く話だけど、実際どうなのか。厚生労働省によると「払い損になりません」との回答。同省の2009年時点の試算で、タカと年齢の近い1985年生まれの人は、厚生年金だと支払う保険料の2.3倍、国民年金では1.5倍の額が受け取れるとしている。

 ただ、昔の世代に比べると、その倍率は小さい。例えば1940年生まれは厚生年金だと5.1倍、国民年金で4.5倍。50年生まれでも厚生年金が3.4倍、国民年金は2.7倍となっている。

 【タカ】不公平な感じがするけど、何とかならない?

 【回答】確かにこの数字だけみると、そういう印象は強い。これに対し、同省は「年金は世代間で助け合う仕組みで、本来、損得で論ずる問題ではない」との見解を示している。

 さらに、担当者は「昔と時代の違いも考えなくてはならない」と指摘。得をしているように見える昔の世代は、親がまだ現在の年金制度が導入されていないころに働いていた。「年金をもらっていない親の面倒をみなくてはならない人もいた。それに、生活水準も今と比べれば低かった」と話す。

 こうした時代の変化をどのように考えるか、世代間の格差を考える上で一つのポイントとなるだろう。

 ※<1> 特例猶予 20歳になると、年金の保険料を納め始めなくてはならないが、大学生や短大生らほとんどの学生は、申請すれば納めるのを免除される。ただし、免除分は後で納めないと、高齢者になってから満額を受け取れなくなる。

 ※<2> 普通税 所得税などの普通税に対し、特定の使い道に絞るのが「目的税」。税率を上げるかが話題の消費税について、使い道を高齢化により増え続ける社会保障費に絞る目的税にしてはどうかとの議論も出ている。 

 

 

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