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popress【Interactive】若い読者モニターの声を受けたニュース解説
 

バク・トゥ・ザ・ティーチャー 政治編 若者よ 投票しなきゃ損

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 政治、選挙と言えば「興味ないっすね」と距離を置く若者も多い。実際は自分たちの暮らしや将来に関わる重要なテーマだが、その結びつきが見えづらいのも事実。4月の統一地方選(※1)を前に、「Interactive」ではページのキャラクター・ばくが、この難題に立ち向かう。今後3回、政治の重要性を伝える「先生」として石川、富山をめぐり、18歳〜30代前半の読者モニターと対話する。

 ◆ ◆ ◆ 

 ばく先生:初回は金沢市のケンさんです。まだ18歳で選挙権(※2)はないけど、政治とか選挙に興味はある?

 ケン:正直、全くない。別に政治に期待することもないし。今、投票できてもしないっすね。選挙って行かないとダメですかね。

 ばく先生:そうだね。ざっくり言えば、民意をより正しく反映させるには必要ということなんだけど、若者の立場から見てどんな問題があるのか、具体的に考えていこう。

金沢市、ケン(仮名)/年齢:18歳/職業:会社員/好きな本や漫画:ワンピース/良く聴く音楽:EXILE(エグザイル)/一言:休日は、友達とカラオケに行ったりします。新聞は読まないけど、もっと明るい芸能ニュースがあったりしたら読むかも。

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「声」届いていない 

 ばく先生:グラフ<1>を見てほしい。ケンが住む金沢市では、20〜30代前半の若者が全体の有権者に占める割合は2割ほど。ただ、投票に行く人が少ないため、選挙での声の大きさは人口比よりも小さい1割程度に落ちる。これに対し、投票率の高い65歳以上の高齢者は、逆になっているのが分かる。

 つまり、若者は本来、持っている人口分の影響力を選挙で発揮できていない、ということなんだ。

 ケン:その実態は分かった。でも、俺としては別に誰が選挙に勝ってもいいって感じなんだよね。

 ばく先生:確かに選挙は勝敗を決するためにやるもの。しかし、それだけとも言い切れない。

 選挙で勝った自治体の長や議員の仕事は、簡単に言えば、みんなから集めた税金の使い方を考えること。選挙で勝つことを考えれば、より多い票を持っている層寄りの政策を取ろうとする可能性は否定できない。

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世代間格差1億円

 実際、若者が損していることがデータ的にも裏付けられていると指摘する人たちもいる。若者が政治に関心を持つことの必要性を説く本「18歳が政治を変える!」で、その一つとして取り上げられているこのグラフ<2>を見てほしい。

 これは何を意味しているか。著者の一人、千葉県松戸市の政策担当官・高橋亮平さんは「将来世代は政府に生まれてから死ぬまで支払う金額が受け取る便益よりも5000万円ほど多いが、逆に高齢者は便益のほうが5000万円ほど多い」と説明する。

 こういった世代間格差(※3)を是正するためにも、若い世代が選挙に行き、存在感を示すのは大切なんだ。

 ケン:このグラフはかなりショッキングだね。有権者になったら、行かなくちゃダメかなという気持ちにはなったよ。でも、俺だけ行くようになってもしょうがないよね。

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投票率61%なら…

 ばく先生:では、ケンの住む金沢市で、若年層の投票率がどれぐらい上がれば人口の割合に近づくのか。現在の金沢市の人口と前回の国政選挙の結果をもとに試したのが次のグラフ<3>だ。

 20〜34歳の投票率が2人に1人が行く50%としても、まだ有権者に占める割合には届かない。でも、35〜64歳の層を少し上回る61%にまで上げてみるとちょうど有権者に占める人口割合と同じぐらいになる。高齢者層を上回ろうと思ったら78.6%にまで上げなくてはならない。

 もちろん、実際の投票率を考えると、かなり難しい。いずれにせよ、若者が本来持っている存在感を発揮するには「投票しないと損する」という意識を持つのが大切なことだ。

 ◆ ◆ ◆ 

 「有権者になったら、投票に行きます」。対話中のケンの言葉を聞き、ばく先生は確信した。若者は、政治に無関心なわけではない。その重要性が分かりづらいだけなんだと−。これからも、若者と政治を結ぶ旅は続く。次回は、3月17日。 to be continued(続く)

  担当・福田真悟

【出典】

 グラフ<1><3>−金沢市の20歳以上の人数は、市が公表した2011年1月1日現在の「住民基本台帳に基づく金沢市の年齢別人口及び世帯数」より。世代別投票率は、10年7月の参院選で、同市が一つの投票区を抽出して実施した年齢別投票者数に関する調査をもとに作成。算出した票数はすべて小数点以下、四捨五入。

 グラフ<2>−「18歳が政治を変える!ユース・デモクラシーとポリティカル・リテラシーの構築」(現代人文社)より抜粋。元となるデータは「平成17年版経済財政白書」。世代会計の手法を用いて、各世代の生涯にわたる社会保障給付や行政サービス等の政府部門からの受益総額と税・社会保障負担等の政府部門に対する負担総額の差額を計算したもの。

コール&レスポンス

回答者:金沢市選挙管理委員会

若者の投票率を上げるには?

【ケン】 投票所でプレイステーション3や液晶テレビなどがもらえる抽選会を開く。

【回答】 公職選挙法上では、特定の候補者を応援し、その候補者への投票を促すものでない限り問題はありませんが、民主主義の健全な発達のためにも、金沢市を含めた全国の選挙管理委員会では、「投票は自分の意思で行くべきで、金銭的な理由が入り込むのは好ましくない」と、このような手法からは距離をおいているところです。

 また、景品が出ないなら投票に行かないという本末転倒な風潮となることも懸念されることから、金沢市選挙管理委員会としては実施する考えはありません。

【ケン】 僕や、友人を含め若者に大人気のアーティスト・EXILEをイメージキャラクターにする。

【回答】 公職選挙法上は問題ありません。最近では、愛知県知事選などでアイドルグループが起用されました。話題づくりとともに、これまで無関心だった若者の関心を高めるきっかけとなった可能性は否定しません。

 ただ、報道によれば東京都知事選でのアイドルグループ起用にかかる経費は1700万円。国政選挙や都道府県の管理する選挙で割り振られる啓発推進委託費は30万〜40万円程度。市の管理する選挙についても、昨年の市長選での啓発事業費は全体の選挙執行経費から捻出して約310万円。金額的に大きな開きがあり、また、市の財政状況などからも、芸能人の起用に多額の市費を投じることについて多くの市民の理解を得ることは困難と思われます。

 従って、残念ですが経費面において実現は不可能と言わざるを得ません。

 ※1 統一地方選 4年に1度、自治体の首長、議員の選挙を全国で期日を統一して集中的に実施すること。今年の投開票日は4月10、24日。石川、富山ともに県議選が予定されている。ほかにも、石川県内の自治体で12の首長・議員選が富山では舟橋村議選が行われる。

 ※2 選挙権 選挙に参加できる権利。投票は、いずれの選挙も20歳からできるが、立候補する権利「被選挙権」を得られる年齢は、選挙によって異なる。衆院議員や市町村の首長、議員は25歳だが、参院議員と都道府県知事は30歳。

 ※3 世代間格差 年金などの公的保険制度は、若者世代が高齢者世代の給付を支える構図となっており、少子高齢化で若者世代の負担が大きくなっている。また、ふくらみ続ける財政赤字も、将来世代に「ツケ」を回していることになり、格差を広げているともいわれる。

 

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