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popress【Human Recipe】あの人はどうやって「今」にたどり着いたか
 

うめめ流 限界ない 写真家 梅佳代

開催中の個展で、作品の前でカメラを構えたポーズを取る梅佳代さん

写真

 起きている間、カメラを肌身離さない。日常の思わず噴き出してしまう光景を絶妙に捉える石川県能登町出身の写真家、梅佳代(32)。開かれた感性と理屈抜きの楽観で、シャッターチャンスと人生の好機を両方モノにしてきた。

 −最初にカメラに興味を持ったのは中学生のころ。

 ああ、美人の友達。今も美人なんですけど。その人が(コンパクトカメラの)「IXY」を持ってた。いいなあと思って、私もお父さんに買ってもらった。みんな最近忘れ始めたけど、カメラ流行(はや)ってたんですよ、「写ルンです」とか。

「イチローと結婚」上京

 −高校卒業後、写真の専門学校に進みました。

 めっちゃぎりぎりで決めた。将来の夢がなかった。石川県から出ることしか決めてなくて、夢を考えたところ、カメラマンならイチロー選手とか、爆笑問題とか、真心ブラザーズっていうバンドに会えると思って。進路相談のときにも言った。イチローと結婚したいですって。

 −写真はどこがおもしろかった?

 なんか写ること。今も一緒ですけど撮ったら写るってことと、ほめられることも重要。ほめられない場合はやってないですね。友達にほめられるように頑張ってた。

全部カメラが決める

 私、全部オートで撮ってるんです。ストロボをつけるかつけないかだけ自分の意思で。あとはもう、全部カメラが決める。

 専門学校にいるときからちょっとずつ、おもしろいって思う写真を撮ってた。最初、形になるとは思ってなかった。

 カメラはあのころからずっと持ち歩いてます。写真家としてのスタイルは18歳から変わってない。途中からお金もらえるようになったけど。

 −最初の写真集「うめめ」がヒットした。

 たまたま「美術手帖」の人に写真を見せる機会があって、写真家特集の号に出られた。学校を卒業する寸前くらい。それを見た人が雑誌の仕事をくれて、その現場にいたライターさんが「あんたおもしろいね」ってリトルモアっていう出版社の編集者に紹介してくれた。その人に写真見せたら「おもしろいね」ってなって、何年かして本を出した。人から人への、ありがたや〜というやつです。

 −その本で木村伊兵衛賞を受賞した。

 「イエーイ」みたいな軽いノリで。26歳だから、イエーイですよね普通に。家に帰って、お父さんに「実るほど 頭(こうべ)を垂れる 稲穂かな」という言葉を発表されました。実践してます、一応。いつも心の片隅に。

 受賞して、芸能人に会える率はちょっと上がった。そんなに会えてないけど。ぜいたく言っちゃいけない。「実るほど〜」やった。

いつも緊張オドオド

 −写真家として、自分の優れている点は。

 考えたことない。でもたぶん実力はあると思うけど。だって美術館で展覧会をやらせてくれたから。

 いつも緊張してるしオドオドしてる。絶対私が田舎もんやからやと思う。「みんなダサいと思ってない?」みたいな。

 −写真での苦労は。

 それが発表することなくて。どうかしてると思われるんですけど。気持ちの持ちようじゃないですかね。「タララーン♪」みたいに。訓練してあるんで。いや、言い過ぎた。全然。

 −今後撮りたいテーマは。

 あまり決めてない。決めないようにしたんですよ、途中から。決めない方がどこまでも行ける。

 たぶん写真には限界なんてない。だから写真選んだんやと思う。撮れば写る。限界はないと思っとったらない。そんなこと学校で教えんかったらいいのに。

         ◇          

 23日まで、東京都新宿区の東京オペラシティアートギャラリーで「梅佳代展」が開かれている。未発表作品を含め570点が並ぶ。月曜休み。 (敬称略)

 うめ・かよ 1981年、石川県能登町(旧柳田村)生まれ。宇出津高校(現能登高校)卒業後、日本写真映像専門学校(大阪市)に入学。在学中に公募コンテスト「キヤノン写真新世紀」で佳作を2回受賞。2006年、初の写真集「うめめ」を発表。07年、同作で「写真界の芥川賞」といわれる木村伊兵衛写真賞を受賞。主な作品に「男子」「うめ版」「じいちゃんさま」「ウメップ」など。今年4月、3年ぶりの写真集「のと」を刊行した。東京都在住。使用機は、キヤノンのフィルムカメラ「EOS5」。

写真

(梅)健康が第一ですよね。歯が痛いだけで苦しいでしょ? 歯が痛くなかった時代が懐かしいって思いますよね。

(日下部)サインもお願いします。

(梅)梅佳代って書けばいいの? サイン会みたいなサイン書いて寒い目に遭うとこやった。芸能人でもないのに。

(日)赤で書いたのはビックリマーク?

(梅)はい。不満?

(日)全然。点々にはどういう意味がこもって…?

(梅)まじめー。全然意味こもってないです。さすがやっぱり新聞記者になるだけあってまじめなところがね。

 1日付「クラシックのススメ」で募集しましたコンサートチケットへの多数の応募ありがとうございました。9日正午で受け付けを締め切ります。

 聞き手・日下部弘太 ※次回は12日付Spot&Place。宮城県南三陸町を訪れ、観光による東日本大震災の被災地支援を考えます。

 

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