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popress【Human Recipe】あの人はどうやって「今」にたどり着いたか
 

伝えたい 麹の力 麹料理研究家 小紺有花

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 塩代わりに使える発酵調味料、塩麹(こうじ)。健康志向の高まりを受け、「加えるだけで味にコクや深みが出る」と1、2年前からブームになっている。その火付け役の一人が、金沢市在住の麹料理研究家、小紺有花(39)。「発酵食のおいしさを伝えたい」と語り、1年で4冊の料理本を出版するなど国内外に魅力を発信している。(聞き手・奥野斐)

ブーム火付け役 1年で本4冊出版

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−塩と麹と水を合わせ、発酵させて造る調味料の塩麹が人気です。

 ほんの数年前まで「塩麹がマヨネーズみたいに各家庭にあるようになればいいね」なんて、麹屋さんと夢を語り合っていたんです。それが近ごろは興味を持ってくれる人が増えて、日常的に使う人も。

求められる発酵食

 昨年はNHKの情報番組「あさイチ」に5回出て、料理本も一昨年秋からの1年で4冊出版しました。料理本は普通、コンセプトやレシピを決めて撮影、編集まで4カ月〜半年かかりますが、寝ずに作業して短期間で仕上げたんですよ。

 特に「3・11」後、食の安全や環境への関心が高まる中で食生活が見直され、塩麹などの発酵食品が求められていると感じます。今の食生活に合うよう提案していかなければ、という使命感がありますね。

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−麹に着目した理由は。

 8年ほど前、子どものアレルギーがきっかけで、卵や乳製品を使わない穀物菜食や自然食の研究を手探りで始めました。でも、作ってみるとなんか物足りない。そんな時、ごはんと麹で作る甘酒を加えたらすごくおいしくて。味に深みが出て、気に入りました。

 麹料理を本格的に学んだのは2006年、エッセーを頼まれたから。お客として利用していた京都の豆専門店のメーリングリストに甘酒の使い方を投稿していたら、ぜひ会報誌に書いてほしいと。勉強しながら4年にわたり15回連載しました。日本人の培ってきた麹造りの技術、文化をなくしてはいけない。おいしさを分かち合いたいと思いました。

−専業主婦から料理研究家へ。

 25歳で結婚し、主婦として2人の子どもを育てていました。美大で織物を専攻していたこともあり、最初はフェルトで作品を作りホームページで紹介したんです。そこにおまけ程度に毎日のごはんの写真を載せたら、ママ友が「教えて」と。

 そのうち、自分でも人を集めて教室を開いたりもしました。「おいしい」「次も楽しみ」と、私を求めてくれる人がいたから続いたんですね。

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いじめの経験から

 思えば、小さいころの経験も今に影響しています。父親の転勤でインドで4年ほど過ごし、帰国後の小学校4年の時にいじめを受けました。インドのことを話すと「自慢してる」と言われ、無視されて…。悪気はないのに間違ってとらえられる。あの時、人に必要とされない寂しさ、惨めさを感じたから、自分が求められることのありがたさが分かります。

−活躍の場は海外にも広がっています。

 昨年7月、米ニューヨークで現地の日本人向けにセミナーを開き、今年1月には香港の高級スーパーで料理教室もやりました。海外でもヘルシーな麹料理は注目されている。例えば、サラダのドレッシングに塩麹をプラスしたり、塩こしょうを塩麹に代えたり。取り入れるのは簡単ですよ。

 どうしたら日々のエナジーを得る食事を作れるか。麹は私にとって一つのツールなんです。発酵食品の持つパワーは現代人を元気にしてくれる。

金沢の観光資源に

 今、力を入れるのは、2年後の北陸新幹線開業を見据え、石川県の食文化をもっと発信すること。石川には昔ながらのしょうゆやみそのお店も多く、かぶらずしや大根ずしなどの麹料理も豊富。「発酵食といえば金沢」と思ってもらえるよう、観光資源にするためにできることを精いっぱいやりたい。 (敬称略)

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 ここん・ゆか 1973年、大阪府生まれ。5〜9歳までを父親の仕事の関係でインドで過ごす。大阪の高校を経て、金沢美術工芸大に入学し織物を専攻。卒業後は繊維会社に就職したが、25歳の時に石川県出身の男性と結婚し金沢に移住。専業主婦から料理教室を開くようになり、現在は麹料理の研究や指導、発信に力を注ぐ。中学生と小学生の2児の母。

 ※次回は16日付Spot&Place。生活に潤いを与えるインテリアのお店を巡ります。

 

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