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popress【Human Recipe】あの人はどうやって「今」にたどり着いたか
 

若者よ 共に歩もう 元編集長 藤井大輔 「R25」生みの親に聞いてみた

ふじい・だいすけ 1973年、富山市生まれ。県立富山中部高校、大阪大経済学部を卒業後、95年リクルート入社。「ゼクシィ」「ダ・ヴィンチ」などの雑誌編集に携わり、05年4月〜08年3月「R25」編集長。同誌には今年3月まで携わった。4月から中高年向け宿泊情報誌「ゆこゆこ」の経営企画室長。

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 「R25(アールニジュウゴ)」という20代、30代向けフリーマガジンがある。政治、経済から恋愛、エンターテインメントまで幅広い話題を同世代の目線でまとめ、2004年の創刊以来、若者に支持されてきた。閉塞(へいそく)感が漂う日本の若い世代へ、元編集長の藤井大輔(39)=富山市出身=は「厳しさを増す現状にも、逃げずに向き合っていくしかない」と思いを込める。(聞き手・奥野斐)

“第二の思春期”対象

−R25は8年前、首都圏で創刊しました。

 きっかけは、インターネットのポータルサイトのように、いろんな情報の入り口になる紙媒体を作れないか、という発想でした。当時、30歳前後だったのがいわゆる「団塊ジュニア」でしたが、人口が多い割に彼ら向けの雑誌は意外と存在しなかった。新聞に依存しているわけでもなく、ネットでも不十分な彼らの背中を押すメディアを作りたいと思ったんです。

 最初は団塊ジュニアと若者が重なっていましたが、今は20〜34歳が主読者。大人になりきれない「第二の思春期」をターゲットにしています。

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新聞を読んだフリ

−当初、この企画はうまくいくと思っていなかったとか。

 男性、しかも活字を読まない若い人に手に取ってもらうのは難しかった。本屋にも行かない人に読んでもらうためには、どこに配ればいいのか。当時はフリーペーパーに広告を出したいという企業も少なかったですからね。

 創刊準備には4人が携わっていましたが、僕はまず読者対象の分析から始めました。調査データだけ見ても「なぜそうなのか」という背景までは分からない。1カ月で若者200人以上に会い、ひたすら朝から晩まで何をしているのか聞きました。

 面白かったのが、新聞への意識。新聞を読んでいるかと聞くと、5人に4人が「読んでる」と答えるんです。社会人5年目ぐらいが多かったかなあ。ところが、1日のスケジュールに読む時間は出てこない。突っ込むと、実は読んでない人も多かったんです。

 彼らは新聞を読み、仕事や生活に生かしている人を格好いいと思う一方、そこに達してないギャップを感じていたんですね。ならば、新聞を読んだフリができる雑誌を作ればいい。世の中の問題や話題がまとめてあり、しかも切り口は「そういえば、あれどうなった?」という素朴な疑問に答える形。上から目線でなく、同世代の視点だからこそ届くものがあると思いました。

−創刊の反響は大きかったそうですね。

 04年3月、試験的に4冊発行した時は、「こういう雑誌が読みたかった」「面白い」という声が編集部に数多く届きました。軌道に乗ったと思えたのは、創刊して半年たったころ。電車で読んだ人が帰りにコンビニに寄るという道筋ができ、メーカーの広告が途切れなくなった時です。

−現在は中高年向け宿泊情報誌に携わっています。世代間の違いは感じますか。

 R25創刊の時は僕も若くて、自分たちの世代はなんか貧乏くじを引いてるんじゃないかっていう感覚がありました。親世代は日本の高度成長とともに生きてきて、それを担った自負があるけど、僕らはなんとなく自信がない。燃えてるつり橋を逃げ切った世代と、もしかしたら渡っている途中で落ちるかもしれないという世代の感覚の差は大きいですね。

挑戦しにくい世代

 さらに今、僕より若い世代はもっと悲観的で、閉じこもる傾向が強い気がする。仲間や家族との絆を異常なほど大事にするでしょ。スマートフォンも普及し、ツイッターやSNSで常につながっている安心感や便利さがある半面、それに疲れている。周りを気にして、何かに挑戦しにくくなってるかもしれません。

 僕はR25を読者の方と「一緒に成長していこうぜ」という思いで編集していました。日本経済も、自分たちの仕事や家族、将来も必ずしもいいことばがりじゃないけど、結局、逃げずに向きあって、まあ適当にやっていくしかないんだと思うんですよ。 (敬称略)

 R25とは リクルートが発行する25歳以上の男性ビジネスマン向けフリーマガジン。政治、経済からIT、スポーツ、雑学まで幅広いジャンルの情報を掲載し、首都圏1都3県と大阪府、愛知県に隔週計55万部発行。主要駅やコンビニなどで配布している。記事は800字程度に要約したコラム形式で、ウェブ版もある。

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印象に残るR25 

試作版「Pointer」と「weekpoint」

 北極星を探す際の指極星を指す「Pointer」は、たくさんの情報の中から必要なことを見つける目印という意味。「weekpoint」は日めくりカレンダー式で、1週間のポイントと自分の弱点が分かるという名前だったが、不評だった。

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プレ創刊の4冊

 2004年3月に発行した。「R25」という名前は世代をとらえる言葉で、かつR指定を思い起こさせるエロっぽい感じを意識。これで終わるんじゃないかと思い、気合を入れて作った。

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創刊号

 04年7月に創刊! 3月のプレ創刊後、ギリギリまで発行するか決まらず、5月から急きょ準備した。当時は週刊だった。

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サッカー別冊と理系別冊

 クラブW杯に合わせて作った別冊。ロナウジーニョのインタビューも収録した。ニコンを特集した理系別冊は中身も充実している。

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創刊300号

 今年1月19日、39歳の誕生日が300号の発行日に! 紙の原点ということで、富山県朝日町の手すき和紙を読者プレゼントにした。

 

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