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popress【Human Recipe】あの人はどうやって「今」にたどり着いたか
 

暗闇ライブ 光差す歌声 歌手 安田奈央

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 暗がりの中、澄んだ歌声が伸びやかに響きわたる。昨年夏にデビューした歌手の安田奈央(23)=石川県小松市出身=は、電気を一切使わずアコースティックギターの生演奏だけで歌う暗闇ライブ「Voice in the dark」を続けている。自分の気持ちを素直に表現できなかった少女時代を乗り越え、闇を照らすような歌声にさまざまなメッセージを込めている。(聞き手・白井春菜)

気持ち 素直に表現できる

−安田さんといえば、「暗闇ライブ」での姿が印象的です。

 最初は昨年8月に都内の教会でやったデビュー記念ライブでした。3・11の後だったので、電気を使わないでライブをやろうと思ったんです。照明もマイクも一切なしで、本当に真っ暗な場所で歌い始めて、少しずつキャンドルをともしていきました。

 前例のないライブだったので大変だったんですけど、いい経験になりましたね。お客さんの顔も何も見えないから、「自分との対話」みたいな感じになるんです。目で見るイメージにとらわれず、心の中の気持ちを素直に表現できたんじゃないかと思っています。

−震災を機にライフスタイルを見直そう、というメッセージも感じますね。

 最初は「(こんな時に)何で歌っているんだろう」と考えたんですけど、自分にできることをやるしかないな、と。震災や原発事故を振り返るきっかけになればいいなと思っています。

安田さんの歌声が響いた暗闇ライブ(ユニバーサルミュージック提供)

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−昔から歌は好きだったんですか?

 物心がついた時にはもう歌っていましたね。小学校の登下校中に毎日歌っていたことを、今でもはっきり覚えています。

 思えば10代のころは、歌っている時だけが心を解き放てる瞬間でした。自分の言葉で同級生を傷つけてしまってから、当たり障りのない言葉ばかり選んでいたので。本当の気持ちを話せなかった。誰もいない家で歌っていると、涙が出て心もスッとしたんです。

−その時から歌手になるのが夢だった?

 人に聴いてもらうのは好きだったけど、歌手になることが自分の夢だとは思っていませんでした。上京後に友達の勧めでオーディションを受けた時も、「まだ歌手になりたいと言えない私が、こんな場に出てくるのは失礼だ」と感じたんです。

 その時はファイナルまで残ったんですが、結局辞退しました。でも今は、それで良かったと思っています。一度離れてみて、「やっぱり歌が好きなんだ」ということに気付きましたから。

−あらためて挑んだオーディションで1位になり、デビューを果たしたのが昨夏。作詩も手掛けてきましたが、この1年を振り返っていかがですか。

 シングルは曲をいただいてから詩を書くことが多いですね。家で曲をひたすら聴いて、スイッチが入った時にわーっと書く。恋愛の曲は、実際に相手を思い浮かべながら書いています。実はデビューからずっと同じ人への思いを書いているんですよ(笑)

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−どなたですか?

 前に付き合っていた人ですね。別れたけど、本当に好きな人だったので。恋愛の曲に限らないんですが、言葉では言えないようなことも、歌の中なら表現できたりする。歌と向き合うようになってから、自分自身や家族、周りの人と向き合えるようになれました。

−今は家族の支えも力になっているんですね。

 特にばあちゃんが大応援してくれています。家にこもっていることが多かったんですが、私がデビューしてからは街中を回って宣伝してくれるようになって。応援してくれる地元のみんなのために、老若男女がいいと思えるような曲を歌っていきたいです。

−最後に新曲「雨フル〜悲しみはきっといつの日か〜」について教えてください。

 この曲は歌詞だけをみると、恋愛の切なさを歌っているように思われるかもしれませんが、私としては「悲しみに向き合えた時、やっと前に進める」という思いを込めました。悲しみはただ悲しいんじゃなく、何かを気付かせるためにあるんだ、ということが伝わればいいですね。

 やすた・なお 1988年、石川県小松市生まれ。小学4年から6年まで金沢市の芸能スクールに通い、歌やダンスの基礎を磨く。2010年、全国規模の「GIRLS AWARD DAM☆ともオーディション」で優勝。11年7月にシングル「つぼみ」(ユニバーサルミュージック)でデビューを果たした。セカンドシングル「真夜中のひだまり」がドラマの挿入歌に使われるなど、若い世代を中心に人気を集めている。

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3rdシングル

「雨フル〜悲しみはきっといつの日か〜」

5月30日「着うた」配信開始

6月27日発売予定 

 この曲には、悲しみに向き合うと強くなれるという思いを込めました。「雨が降るから、美しい虹を見ることができるんだ」と伝えたいですね。カップリング「Free Like A Bird」は、自由になりたいという気持ちを、鳥をモチーフに書きました。

 

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