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popress【Human Recipe】あの人はどうやって「今」にたどり着いたか
 

ピッチ上 続く情熱 ツエーゲン金沢 久保竜彦

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 抜群の身体能力を生かしたプレーは相手の度肝を抜き、今も見る人を魅了する。元日本代表のプロサッカー選手・久保竜彦(35)=ツエーゲン金沢=が、JFLに活路を求めて2年がたとうとしている。けがを繰り返し、全盛期を過ぎてもなお、武骨なまでに競技人生を歩み続ける理由とは−。代表でしのぎを削り、8月に急逝したライバル・松田直樹選手への思いにも触れた。

1試合でも多く楽しむ

 −これまでの17シーズンを振り返って。

 Jリーグ初出場は今でも覚えている。サンフレッチェ広島に入団して2年目の清水エスパルス戦(1996年4月3日)。ドキドキとフワフワした感じ。圧迫感がすごくて、苦しかった。初得点を決めてから、ようやく地に足がついた感じになったかな。

 持ち味をそのまま出しても通用しないというのは1、2年で分かった。だから、人と違うことをしないと点は取れないと考えるようになった。頭も体も全部使って、無理そうなことでもやってやろうと。フォワードの自分は点を決めないとクビになるし。印象に残っているのは、(横浜F・マリノス時代の)2003、04年に連覇したことかな。チームが一つになって、いい気持ちだったね。

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 −サッカー人生は、けがとの戦いでもありますね。

 けがは数え切れないほどした。体の使い方がおかしくて、膝や足首など関節を痛めることが多い。痛いとやる気がなくなるし、イライラする。もう何度も嫌になった。

 若いころは治ったら頑張ればいいや、としか考えていなかったけど、最近は変わったね。現役生活の先も短いし、1試合でも多く出たいと思いながら体と会話し、ケアしている。他人が見れば人一倍体を気遣っているなと思うかもしれない。ただ、それが正しい会話かどうかは分からない。基本的には体が気持ちいいと思うことをしているんだけど…。

 −けがで悔しい思いをしたといえば、06年ドイツ・ワールドカップ(W杯)の代表選考落選。02年の日韓大会から2大会連続の代表落ちでした。

 W杯には行きたかったね。だけど、腰と膝が痛くて体がぼろぼろやったから、行っても何もできなかっただろうな。発表の日も治療していて、帰りに電話で聞いた。悔しい気持ちはあったけど、治すことで頭がいっぱいだったから、これでゆっくりできるなあ、とも思った。

 日本代表での思い出はない。親善試合での出場が多かったから。やっていて分かるんだよ。「ああ練習試合やな」って。本気のヤツとやらないと面白くない。唯一楽しかったのは、韓国戦かな。ガツガツくるし、こっちもディフェンダーをどうにかしてつぶしてやろうと考えていた。

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 −09年シーズン終了後にJ1広島から戦力外通告を受けた後、JFLの金沢に新天地を求めたきっかけは。

 本気の相手と戦うためには、公式戦に出ることが必要だと思った。(広島時代にお世話になった)上野展裕監督が最初に声をかけてくれたのも大きかった。JリーグとJFLにそこまでレベルの差はないよ。自分の生かし方を知っているかどうかの違いだけ。

 今季は(横浜Mで同僚だった故松田選手が移籍した)松本山雅FCとの対戦が楽しみだった。知り合いからの電話で訃報を知ったけど、受け入れることは無理だった。飛び抜けたものを持っていたし、負けたくねえって思いが強いヤツでね。自分は気持ちが表に出ないタイプだからうらやましかった。試合では(松田選手の)裏を取りたいとずっと考えていたし、本当にすごい選手だった。忘れられない。

 現役をやめるのはサッカーが楽しくなくなったとき。それがたとえ明日でも。将来のことは考えていないけど、近い目標はリーグ4位以内。そうすれば、(スタジアムが改修されるなど)状況が変わるかもしれないから。目の前のことを精いっぱいやるだけ。カズさん(三浦知良選手)みたいに、楽しそうにサッカーをやれる日が1日でも多かったらいいな。 (敬称略)

  担当・小西亮

人生のSpice

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【チームメートの山根巌選手】 サンフレッチェ広島の同期入団。Jリーグデビューが早かった巌は、シュートもドリブルもうまくてすげーなーって思っていた。当時は自由奔放にプレーしていた印象だったけど、2年前に金沢で再会した時は、チーム全体のことを考えるようになっていてびっくり。大人になっているなって(笑)。だからプロフィルの憧れの選手の欄には「山根巌」と書いています。

 くぼ・たつひこ 1976年、福岡県筑前町生まれ。福岡・筑陽学園高から95年にJリーグ(現J1)サンフレッチェ広島に入団。2003年に横浜F・マリノスに移籍し、リーグ連覇に貢献。J1(当時)の横浜FC、古巣の広島を経て、10年からツエーゲン金沢でプレーする。J1通算276試合出場、94得点。国際Aマッチは32試合出場、11得点。181センチ、73キロ。利き足は左。

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