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お国言葉♪ 歌うちゃ

 富山なまりは歌の世界で武器になる!? 富山県射水市出身の水越ユカさん(26)が富山弁で歌い上げたラブソング「あいのかぜ」はインターネットで注目を浴びた。同県南砺市出身の北村瞳さん(25)はライブのトークなどに方言を挟み、古里での経験を込めた素朴な歌詞でファンの心をつかむ。東京で奮闘する彼女たちにとって、郷土の言葉が応援歌として響く。

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富山弁で愛の調べ

水越ユカさん

 ♪−あんたぢゃなけんとダメながいぜ ちゃんとつかまえとってよ 好きやちゃ 好きやちゃ 好きやちゅが−(「あいのかぜ」水越ユカ)

 −4分20秒、ずっと富山弁ですね。

 25歳のとき、富山での初のワンマンライブに合わせてアルバムを出しました。そこに収録した曲。射水の海王丸パークでプロモーションビデオ(PV)も撮りました。

 ラブソングにしたのは、富山弁のかわいさが引き立つと思って。最初は「好きってなんて言う?」って友人に聞き、「好きやちゃ」を入れた。身近な富山弁を書き出し、つなげて物語にしました。

ポップな響き クセになる

 −反響は。 

 ユーチューブで配信し、1週間で再生1万回には驚きました。東京で歌うと、面白いって富山以上の反応。細かいニュアンスは伝わらなくても、富山を知ってもらうきっかけになる。県境を越えたなって思いましたね。

 もちろん地元のライブでも定番曲です。富山の若い子には「ウケる!」って楽しんで、クセになってほしい。大人には方言が田舎っぽさを残しつつ、こんなポップにもなるんだと知ってもらいたいです。

 −作ったきっかけは。

 インディーズデビュー後に独立し、次のステップとして浮かんだのが古里。富山って退屈で何もない、富山弁は恥ずかしいと思っていたけど、離れて分かる良さがありました。立山連峰が見える、昆布おにぎりが売ってる。それを発信したい。控えめな富山県人に誇りに思ってほしかった。そのままでいいんだよって。

 −歌詞を書き換え「あいのかぜ2」もリリース。こだわりを感じます。

 北陸新幹線で簡単に地元に戻れるようになったけど、もう少し東京で「頑張るちゃ」と決意する応援歌。「はよ帰ってこられか」と「きのどくな」(ありがとう)は入れたかった。私の場合は母が上京に大反対で、寂しくて特急電車の中で泣いたのを覚えています。

 富山弁で歌うと、忙しさで忘れそうな当たり前の幸せや、何のために歌手になったのかを思い出せる。これからも東京から田舎の端っこまで、人の心に残る音楽を作り続けたいです。富山と聞いたら、水越ユカの出身地と言われるように。

 みずこし・ゆか 1989年生まれ。本名は結花。富山県立小杉高校卒業後に上京し、2011年にインディーズデビュー。東京と富山を中心にライブに出演。3月発売のミニアルバムには「あいのかぜ2」や、新幹線でつながる富山−東京間の遠距離恋愛を描いた「2時間8分」を収録した。

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詞に南砺への思い

北村瞳さん

 ♪−私のふるさとは1番近いコンビニまで3キロはあるし(中略)新宿 渋谷 池袋どこも大きすぎて自分の小ささをむきだしにする−(「home」北村瞳)

 −南砺と東京の対比が印象的です。

 書いたのは上京して1年後くらい。田舎では周りが支えてくれるけど、東京では私がいてもいなくても同じ。覚悟がないと、簡単に流される。そんな自分を「大丈夫」と励ます曲でもあります。自分の古里に重ねて、地元のことを語ってくれるお客さんもいますね。

古里があるから頑張れる

 −古里はどんな存在。

 この曲の歌詞もそうですが、南砺に生まれ育たないと書けないことばかり。帰れる場所があるから、東京でも頑張れる。枝葉を伸ばしても、やっぱり根っこの部分です。ライブのトークやブログでは方言をよく使います。「富山といえば瞳ちゃん」というファンの反応があってうれしいです。

 −上京後の不安な気持ちが混ざった曲もあります。

 部屋にゴキブリが出たけど、一人じゃ退治できない、どうしよう、という話から作った「エバーグリーン」。地元では「いつでも帰っておいで」と見送ってくれた人もいるけど、東京に行った分、成長しないといけない。歌手を目指して古里を離れたときの初心を忘れないでいよう、という決意もあります。

 −日々の一こまが作詞の素材ですね。

 東京では深夜に駅のトイレで化粧直しをしている人がいて、「こんな時間にどこ行くんよ!」って曲を書く。日常のささいなことにこんなメッセージがある、こんな見方をすると面白いと考える。曲作りは生活と密接に関係しています。

 −今後の目標は。

 メジャーデビューして、富山の若い子たちが「私も音楽をやりたい」と思える環境をつくれたらいいですね。地元に貢献したいんです、原点ですから。

 きたむら・ひとみ 1990年生まれ。富山県立小杉高校から東京の音楽専門学校に進学。毎週、東京・吉祥寺の路上で歌うなどライブ活動に力を入れる。母校の福光中学校でPVを撮影した「第2ボタン」をユーチューブで配信、3月には「エバーグリーン」と同名のミニアルバムを作った。

女子が言うとキュンとせんが?

 富山弁がかわいいと評判だ。あるテレビ番組の特集では、男性がキュンとする方言ランキングで全国2位に。女性が使うとモテる?言葉を集めてみた。

 まずは語尾に付ける「〜ちゃ」(〜だよ)。さながら人気アニメのキャラクターのような口調。「日本のまんなか富山弁」(蓑島良二著)によると、「といえば」から転じたという。

 文末には念を押す「〜が」も用いる。水越さんは「ちごが」(違うのだ)が、ささやかな感じがしてお気に入り。否定を意味する「なーん」も軟らかい響き。彼女に「なんなん」と繰り返されれば、意見が違っても忘れてしまいそう。

 一方、男性は真剣に好意を伝えたいとき、方言だと軽く受け取られるため使わないとの意見も。「好きやちゃ」か「好きだよ」か−。愛のささやきには少し注意が必要かもしれない。

 担当・近藤統義

 

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