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夜のチョウは甘く僕の心を打ち砕いた 魅惑の?ポールダンス体験

Kaoriさん(右)からポールダンスの指導を受ける太田博泰記者=いずれも金沢市の市民芸術村で

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 「ポールダンス、やってみてよ」。ポプレス編集長からの唐突な提案を断れるわけもなく、入社2年目の男性記者(23)は金沢市の市民芸術村で開かれた教室に飛び込んだ。細い柱に手足を絡ませ、官能的なダンスを繰り広げる。体力と気力を頼りに、ちょちょいと踊ってみせるつもりで挑んだのが大間違い。なまめかしい見た目からは想像もできないスポーツとしての激しさに、思わず「キツいっす!」。

目指せ セクシー

 しかし、なぜポールダンスを頼まれたのだろう。心当たりなんて…あ、一つだけあった。居酒屋の柱につかまり、酔いにまかせて披露した“セクシー”な演舞の写真が社内に出回ったのかもしれない。

 ポールダンスと聞いて浮かぶのは、肌をあらわにした衣装の女性が銀色に輝く垂直のポールと絡み合う「夜のお遊び」。1920年代の米国で発祥したとされ、ストリップショーなどで行われるようになったらしい。

 体力自慢というほどでもないが、さすがに女性には負けないはず。なまめかしい「夜のチョウ」になってみせますとも!

華麗なポールダンスを見せるKaoriさん

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 そんな軽い気持ちで訪れた記者を、国内外で活躍するダンサーで講師のKaoriさんが明るい声で迎えてくれた。「男性の生徒さんなんて初めてです。今日はよろしくお願いしますね」

 レッスンでは2種類の基本技に挑んだ。まずは「ホールド」。Kaoriさんは両足の内ももでポールをがっちり挟んだまま、スッと足をまっすぐ伸ばし、両手も放してポーズを決めた。手足がポールを中心に広がる姿は、まさに羽を広げたチョウのよう。思わず見とれていると、次は自分の番。「最初は片手を放すだけでもいいですよ」との優しい助言を聞き流し、「男ですもの。できますとも」とポールをつかんだ。

余裕のはずが…

 そんな余裕は、ほんの数秒で文字どおり「地に落ちる」ことになる。

 ポールを登ろうとすると手足は滑るし、両足だけで57キロの体重を支えきれない。なんとか登って片手を放し、ポーズを取ってみたものの、腕も足も腹筋もすぐにぶるぶると震えだした。耐えられず、ぶざまに床にすぐ落下。あれ、全然できませんぞ?

 どうやら、握力も腕力も脚力も腹筋も体幹の筋力も全てバランス良く必要らしい。これまでの人生で筋トレから逃げてきたことを後悔した。

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 とはいえ、このまま引き下がれない。「ポーズを取ってやろうじゃねえか!」と自分を奮い立たせ、内ももが擦れて真っ赤になりながら、ホールドを試みる。傍から見れば、チョウどころか「木に必死にしがみつくコアラ」。思い描くダンサー像は、はるか雲の上だ。

 次に挑戦した技は「逆上がり」。ポールを真横から両手でつかみ、そのまま足を振り上げて空中で逆さになり、開脚する。Kaoriさんの手本はまるで無重力空間で逆立ちをしているかのようだ。

 ずり落ちたら頭を打って痛そう…。そんな不安を抑え込み、思い切って床を蹴った。逆さになって華麗に足を開くはずが、こちらも一瞬ではかなく落下。何度かトライしたが、数秒キープするのがやっとだった。

 ポールダンスとの格闘は1時間。上半身も下半身も、そして苦悶(くもん)の表情を浮かべ続けた顔の筋肉もくたくたになっていた。

 全身の筋力もバランス感覚も求められ、体験した人の中には「イメージしていたのと違う」とあきらめてしまう人もいる。Kaoriさんは日々の教室での実演がトレーニング代わりになっているが、ショーの前には食事や睡眠時間など細かな体調管理にも万全を期す。エクササイズとして始める米国ハリウッドのセレブもおり、「数年前までは、アンダーグラウンドなイメージが強かったですけれど、スポーツとしても広まってきていると思います」。

 翌日、全身を襲った筋肉痛に悲鳴を上げながら、「優雅に泳ぐハクチョウも、水面下では激しく足を動かしている」という言葉を思い出し、ぴったりだと思った。ときにフェロモンたっぷりに、ときには格好良くエレガントに空を舞うチョウは、力を込めてその美しい羽をはばたかせている。

スポーツとして世界で拡大中

 ポールダンスをスポーツとして広める動きは世界的に広まっている。

 英国に本部を置く国際ポールスポーツ連盟などは各国で50以上の大会を開催。日本でも2013年にプレーヤーや教室インストラクターらが日本ポール・スポーツ協会を設立した。

 協会の理事長岡本雅世さん(32)=大阪府=によると、全国のポールダンス教室の生徒は、体験も含めて1万人ほど。フィットネス感覚の受講も多く、「セクシーだけがポールダンスじゃない」という意識がここ10年ほどで広がった。男性は生徒全体の2割近くを占め、昨年の全日本ポール・スポーツ選手権の最年少出場者は9歳。大人の女性以外の生徒も増えている。

 国際ポールスポーツ連盟を中心に、オリンピック種目を目指す動きもある。14年には国際体操連盟などが定める、プロスポーツとしてのルール策定などオリンピック種目になるための基準を満たし、現在はさらなるルールや組織の確立に力を注ぐ。

 岡本さんは「日本には閉鎖的な雰囲気があったが、アマチュアの人も大会に出場しやすいような環境をつくり、レベルを上げていきたい」と意欲を見せた。

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男性も女性も気軽に!

金沢市の主婦田中彰子(あきこ)さん(39)=ポールダンス歴3年

 −魅力は?

 できる技が一つ一つ増えるのが目に見えて、成長を実感しやすいところです。あと、女性のフェロモン的な美しさが好きですね。

 −正直、エロくないの?

 そのイメージはあります! 夫にポールダンスをやってると言ったら驚かれましたし(笑)。でも、振り付け次第でエロチックにもなれば、格好いいスポーツにもなる。偏見の壁があって始めにくい人もいるでしょうが、男性も女性も気軽にやってもらいたいです。

教室情報

 Kaoriさんは金沢市を拠点にポールダンスやベリーダンス、ホットヨガの教室を開いている。レッスンスケジュールはブログ(http://profile.ameba.jp/kaori-eyes/)へ。

 担当・太田博泰

 

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