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SNS世代にリアルに響け バンド「DATS」楽曲で問う

バンド「DATS」の(左から)杉本亘さん、大井一彌さん、早川知輝さん、伊原卓哉さん=撮影協力は、LITHIUM(東京都渋谷区神宮前6の16の18)

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 SNSやアプリで出会いが生まれたり、テレビがなくてもスマートフォンでドラマを楽しめたりする時代。そんな現実を当たり前のように受け入れる若者は多い。金沢市の音楽レーベル「Rallye Label(ラリーレーベル)」から今年アルバムデビューした「DATS(ダッツ)」は、1990年代生まれの4人組バンド。アルバム曲は、出会い系アプリや動画見放題サイトなど、今の時代を表すものばかりで、同世代に疑問を投げかけている。SNS世代をけん引するメンバーに、それぞれが作詞した4曲に込めた思いや本音を聞いた。 (督あかり)

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 スマートフォンの画面がひび割れているのに、その中にあるネットの世界にどんどん潜っていく光景をよく見かける。なんか変だなって疑問を抱いていたはずなんだけど、いつの間にか当たり前になってしまった。アメリカでトランプ大統領が誕生し、事実が重視されない「ポストトゥルース」という言葉が生まれた。表面的な情報に惑わされず、自分の感覚や意見を大事にしたい。知らない世界への想像力も重視しないと。これからも時代や社会をウオッチして表現していく。

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 最近はやりの出会い系アプリは、僕が気になっていた事象の一つ。そもそも出会いは対面して生まれるものだけど、ネットでできる時代になった。顔を見たことがない相手のプロフィル写真は、本物かどうか分からない。僕はこわいと思った。自分の価値観では処理しきれなかったので、この曲でみんなに問い掛けている。僕はSFが好き。でも仮想現実って、実際はかっこいいばかりでもない。人の顔が見えない方が気が大きくなる生き物だから、自分を律していかなきゃ。

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 僕らはテレビの話題で盛り上がった時代を経験し、今はネットでも好きな動画を選んで見ている。昔が良いか今の方が良いかは、人それぞれ。僕自身は家に帰ったらテレビ番組を流しながら、好きな動画を見たり、ベースを練習したりする。自分が興味のあるものだけじゃなく、自分の意志とは関係なく流れるニュースにも触れたい。ネット上の動画は一人で見るより、誰かと一緒に見るのが好き。バンドをやっているのも、その場の音や気持ちを共有したいからかな。

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 動画共有アプリ「インスタグラム」を見ていると、加工された画像が多すぎてどれが本当なの?って思う。景色や食べ物などが加工されて色味が違うと、不自然に感じてしまう。自分の目で見て、食べてみないと本当のことは分からない。メンバーの中で一番SNSをやらないかも。人それぞれが感じたことを自分の中で覚えておいた方が良いんじゃないかな。その場限りの美しさが、薄れちゃう気がする。写真で表せない気持ちや言葉を大事にして生きていきたいな。

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DATSプロフィル

 2014年に結成し、17年2月にRallye Label(金沢市)に移籍。6月にSNS世代の本音を詰め込んだデビューアルバム「Application」を発売。ロックをもとに電子音やダンスミュージックなどさまざまな分野の音楽を取り入れ、次世代シーンを担うバンドとして注目されている。この夏は、フジロックフェスティバルなど五つの音楽フェスに出演し、29日から初のツアーを控える。

やりたいこと求め移籍

 Rallye Label(金沢市)に今年移籍し、曲調が変化したDATS。リーダー杉本さんに真意を聞いた。

 −移籍してからSNS世代に特化した曲ばかりなのはなぜか。

 より自分たちのリアル(現実)を表現したいと思い「Mobile」を皮切りに一つのテーマに沿った曲作りをした。アルバム名「Application」は、スマートフォンのホーム画面に並ぶアプリを開くような感覚で名付けた。

 −なぜRallye Labelに移籍したのか。

 より自分たちのやりたいことができる環境を求めていた。以前はビートやメロディー、構成など「バンドの曲とはこういうものだ」と決め込んでいたけど、エレクトロ(電子音楽)もやりたかった。レーベルを変えてゼロから表現していこうという気概だった。枠を取っ払って、純粋にかっこいい音楽を追求したい。

とくの裏トーク

 「ある時から一人でいるのが苦手になって、人でにぎわってるツイッターやインスタグラムを見るようになった。これが依存の始まりなのかも。孤独に打ち勝ちたいって思う」。杉本さんが発した本音が意外だったのと同時に、共感した。

 私にも思い当たる節がある。興味がなくても暇になれば、SNSを見てしまう。友だちの結婚報告を見るたび、わが身を振り返り、少し落ち込む。「いいね」は本当の「いいね」なの? 便利な半面、息苦しさも生まれている。同世代の彼らのまっすぐな目線が、とっても心強い。 (督)

 

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