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大人のADHDに向き合う お片づけ術 発達障害YouTuber みっと君に聞く

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 社会人になって発達障害と診断される人が増えている。発達障害YouTuber(ユーチューバー)のみっと君(30)=金沢市=も、その一人。片付けが大の苦手で忘れ物も多く、燃料販売の仕事で失敗が続いた。そこで、自分で片付けのノウハウを編み出し、動画「汚部屋(おべや)ドキュメンタリー」で紹介している。作業療法士のぢゃい子さん(28)と11月に結婚するのを前に、アパートで2人暮らしを始めた。ポプレスデビューに合わせ、10日から動画の続編を公開。お片付けが苦手な皆さん、ぜひ参考にしてみては?  (督あかり)

秘密兵器 見える化BOX「MILBO」で忘れ物激減

 社会人2年目で、注意欠陥多動性障害(ADHD)と診断されたみっと君。職場にほぼ毎日、財布など忘れ物をしていたそう。でも「見える化BOX」、通称「MILBO(ミルボ)」を開発してから、忘れ物は年3回ほどに減った。

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 MILBOは、子どものころ遊んだパズルがヒント。持ち物がウレタンマットにぴったりと当てはまり、何を片付け忘れているか分かりやすい。

 木枠には夜光塗料スプレーを塗り、ピースが抜けていると視覚に訴えかける仕組み。先に白色の塗料を塗っておくのがうまく発色するこつ。夜にピカッと光ると、気になって片付けせずには寝られない。

 次にウレタンマットにスマートフォンや眼鏡など片付ける物を蛍光ペンでかたどり、切り抜く。カッターよりも電熱のスチロールカッターがおすすめ。材料はホームセンターでそろう。

 財布やスマートフォン、眼鏡など必需品を収納するMILBOは、玄関に置いてあり、みっと君は仕事場にもそのまま持って車で出掛けている。

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押し入れデスク これが僕流

 部屋の家具のレイアウトは、自分の動線に合わせて決めた。MILBOは一番目立つ場所に。次にかばんを置き、服をハンガーに掛ける流れを作った。

 みっと君は「雑音や視界に入るものに気を取られ、集中が途切れやすい」という特性があるため、机は窓際に置かず、押し入れを活用(右の写真)。壁がついたての役割にもなり、作業に集中できる。本はジャンルごとに厳選して置いている。

専門家の視点

特徴は多様“僕流”見つけて

 金沢大子どものこころの発達研究センター 熊崎博一特任准教授(児童精神医学) 

 ADHDと言っても、多様な特徴があり、典型が存在しない。MILBOのような片付けの方法は、視野は狭くても色を認知する能力がたけている人に有効だろう。すごく参考になる人もいれば、全員に合うわけではない。

 ただ、みっとさんは失敗の原因をとことん突き詰め、自分に合ったやり方を編み出した姿勢が素晴らしい。大人になってADHDと診断される人は、仕事などで失敗が続き、自信を無くしてしまいがち。前向きに向き合えば、一人一人に合った方法が必ずある。

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障害は「ある一面」 付き合っていける

みっと君

 実家の部屋では脱ぎっぱなしの服や段ボールなどが積み上がり、ごみ屋敷のようだったので、まず物を捨てた。でもすぐに元通りになってしまった。原因を考えると、僕は注意散漫だから、物を出しっ放しにしていても気付かない。後片付けが苦手と気づき、MILBOを思い付いた。

 障害と言われると、ショックを受ける方が多いと思う。僕自身もADHDと診断された時は「人生終わった」と思った。でも、障害はある一面であってそれが全てじゃない。恋愛や結婚もしたいし、仕事もうまくやりたい。誰でも長所や短所はある。得意な部分を伸ばしていこう!

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気遣い合いながら 一緒に歩いていく

ぢゃい子さん

 一つ屋根の下に住んだら、お互い気遣いが必要。彼は猪突(ちょとつ)猛進なタイプ。周りが見えなくなって突き進み始めたら、あえて注意もする。

 家ではゴミをそこらへんに置きっ放しにするので、目につきやすいような場所に分別用のゴミ箱を置いている。洗濯物のたたみ方を統一し、共通のルール作りもした。課題があれば工夫すれば良い。

 障害あるなし関係なく、お互いの性格をよく知ることが大切だと思う。これからも前向きに努力するみっと君を応援したい。

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汚部屋ドキュメンタリー

シーズン2 きょう公開

 YouTubeで「M みっと」と検索。「ADHDの症状が原因で起きるトラブルを工夫で解決しよう」という趣旨で、動画を公開している。10日に公開が始まった「汚部屋ドキュメンタリー」のシーズン2は、夫婦で片付けがテーマ。動画撮影は、みっと君の友人坂口貴昭さん(29)が担当している。

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とくの裏トーク

 みっと君のことは、1年前から風の便りで聞いていた。実際に会うと、とにかく明るいムードメーカーだった。YouTubeの動画の最後に「堂々、発達生涯」と表示される。「発達障害を前向きに捉え、一生向き合っていく」という気持ちの表れだ。

 私は、不注意が多い子どもだった。片方の手袋をなくし、いくつも色違いの手袋が増えた。通学路では同じ場所でよく転び、ひざに青あざを作った。大人になっても、みんな不得意なことはあるはず。工夫で乗り越えようとするみっと君から学ぶことは多い。 (督)

 

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