トップ > 北陸中日新聞から > popress > 特集 > 記事

ここから本文

popresspopress【特集】
 

介護の仕事をしながら プロ雀士  安城るいさん(27)

写真

そんな生き方も 格好いい

 たばこで煙る雀荘(じゃんそう)で、中年の男性たちが卓を囲むイメージの強いマージャンに若い女性プロが増えている。北陸を拠点に活躍する安城るいさん(27)=石川県白山市=もその1人。親の反対を押し切ってプロになったというが、それはなぜ?(担当・谷大平)

写真

ただ楽しくて 

 「マージャンを打つのが楽しくてしかたなかったんですよ」。答えは至ってシンプルだった。無造作に転がったマージャン牌(パイ)を集める手つきは滑らかで、積み重ねた経験を感じさせる。それでいて屈託のない笑顔や丁寧な言葉遣いには若々しさがあふれる。

 取材した場所は金沢市の雑居ビル2階の雀荘だ。白色を基調とした内装が明るく、壁にはプロ雀士のサインが並ぶ。安城さんは20歳のとき、女友達にアルバイトに誘われて、この店に来た。牌には触れたことさえなかった。「マージャンをするつもりはまったくなかったんです」。それでもバイトをしていれば、来店客の対局相手を頼まれる。基本的なルールは独学で覚え、卓に着いた。

 マージャンはとにかく奥深かった。対局する人や牌の選び方一つで展開は一変し、同じ局面は二度とない。無限に思える選択肢。確率だけでは計れない勝負の行方に身を投じつつ、客と会話に花を咲かすのが楽しかった。店の同僚には女性プロもいた。「好きなことを仕事にできるなんて、かっこいい」と憧れた。

写真

東京へ…挫折 

 大勢のプロが集まる東京に行こうと決めた。親は大反対だった。「プロになっても東京で生活できるのか」と言われ、口をきいてもらえなくもなった。「マージャンにいい印象がなく、私のことを心配してくれたんだと思う」。それでも憧れは捨てられず、2010年3月に上京した。

 そして挫折した。都内の雀荘でバイトしながらプロ試験の過去問題を解き、先輩プロの胸を借りて対局を重ねた。何度も挑むうちに、遊びとは違う勝負として打つマージャンの緊張感に圧倒された。気持ちがひるみ、思い通りに打てなくなった。「どんなときでも普段通りに打てるメンタルが大事なのに」。焦りばかりが空回りし、いつしか笑顔は消えていった。半年後に会社員に転職。試験は結局、受けなかった。

 地元に戻った12年、マージャンを知るきっかけになった雀荘に久しぶりに顔を出した。居心地のよいホームで、来店客との会話も弾む。マージャンは楽しい。忘れていた原点を思い出し、再び熱中した。店の女性プロには「後悔するかもしれないから、試験を受けてみたら」と背中を押された。翌13年、試験に挑むと一発で合格した。

写真

原点は地元に 

 晴れてプロになったけれど上京はしなかった。週に2、3回は原点の雀荘に顔を出して客との対局を楽しみ、北陸地方のプロやアマチュアが出場するリーグ戦や東京での大会に出場する。大会賞金や雀荘の経営、マージャン講師で稼ぐプロもいるが、安城さんは介護施設職員として働くことで生計を立てている。

 東京で活躍するプロと違い、メディアで脚光を浴びることもほとんどない。目指すのは雲の上の存在ではなく、身近な「ご当地プロ」として、マージャン人口もプロも少ない北陸を盛り上げることだ。雀荘に女性がいた方が、男女とも気軽に入りやすいはず。「マージャンが楽しいことをもっと多くの人に知ってもらい、裾野を広げたい」。原点を見失うことなく歩む姿を見たからか、両親は今、こう声を掛けてくれる。「この前の大会はどうだったんだ」

写真

オンラインゲーム普及

女性の活躍急増

写真

 国内最大のプロマージャン団体「日本プロ麻雀(マージャン)連盟」では、女性プロの会員数が10年前に比べて2倍の100人に増えている。所属するプロ600人の6分の1を占め、中でも20、30代が多いという。

 同連盟の担当者は、若手の女性プロが増えた理由に、インターネットを利用したオンラインのマージャンゲームの普及を挙げる。それまで雀荘などの限られた場所で、人数がそろわないとできなかった対局が、今ではスマートフォンで気軽にできるようになった。

 華のある女性プロが増えたことで、マージャンがテレビや雑誌などのメディアで取り上げられる機会は増えたという。連盟では、プロやプロを目指す女性を対象にした「女流プロ育成オーディション」を実施。女性雀士の育成に積極的に取り組んでいる。

 担当者は「女性プロの増加で競技人数自体が増え男女ともに実力の向上につながれば」と期待する。

写真

プロ雀士とは

 日本プロ麻雀連盟や日本プロ麻雀協会といった団体が設ける試験に合格すれば、麻雀のプロを名乗れる。試験は、対局を審査する実技や筆記などが課される。プロは認定団体の主催するリーグ戦への出場権が得られる。大会賞金で生活できるプロは少なく、大半は麻雀以外の仕事と掛け持ちしているという。

 

この記事を印刷する

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索