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光と影 自問重ね 本紙写真記者 パリ・テロ現場を写す

(上)エッフェル塔周辺をパトロールする兵士(下)夜になると共和国広場には野宿する人が集まる。毛布をかぶる青年(手前)は「家族はアフガニスタンにいる」と話した

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 花を供える人、十字を切る人、じっと立ち尽くす人−。パリ同時多発テロ現場のバタクラン劇場の近くや共和国広場では追悼の人が絶えない。日本でテロ対策の議論ばかりを追うより、現地で生活する人や街の雰囲気を見たかった。昨年末、休日を利用してパリに飛び、テロ発生から1カ月半たった花の都を歩いた。

 早朝のエッフェル塔、長蛇の列ができるルーブル美術館、夜のモンマルトル。にぎわう場所には重装備の兵士や警察官がいた。不審者がいないか、眼光は鋭い。それでも街に暗さはないように見えた。エッフェル塔の真下ではカップルが公開プロポーズ。カフェのテラスではワイングラスを傾けバイオリンを奏でる人もいた。

 共和国広場のマリアンヌ像の足元には、犠牲者を悼むろうそくや花束が無数にあった。サングラスをかけた黒人男性に記念写真の撮影を頼まれた。観光スポットに来た気分なのだろうか。快く応じつつも違和感を覚えた。その違和感は自分にも向く。自分もここで何枚も写真を撮っている。

(上)追悼の花やろうそく、メッセージなどがサングラスに映りこむ。共和国広場は地元の人に加え、観光客らの姿も多かった(中)カップルが手をつなぐ先には、フランス国旗色の涙を流す女性の絵が。メッセージ性の強いものも多く見られた(下)追悼に訪れ、ろうそくや花を見つめる人たち=2015年12月26〜28日、いずれもフランス・パリ市内で

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 像のそばにアフガニスタン人らが座っていた。屋根も仕切りもない地面をベッドにし、毛布をかぶって寒風をしのぐ。1人に「仕事は?」と聞いた。「タリバンだよ」。笑えない冗談を口にして彼は苦笑いした。

 フランスはアフリカやアフガニスタンからの移民や難民が多いという。彼らを含め仏国内の失業率は10%を超える。共和国広場に限らず寒空の下、夜を明かす人は多い。テロの犠牲者を追悼する真横で仕事も住む場所もなく、食うに困る人がいる。被害に屈しない街のきらめきを見た後だからか、現実が胸に刺さった。

 野宿する人たちは、涙の絵を見つめるカップルは、銃を構える兵士は、一体何を思っているのか。ここに生きる人々に思いをはせてもらえたら。そんな願いを込めて、見る人の感性や想像力を刺激する写真を目指した。誰かの心に届く写真を撮れているか。自問を繰り返し、シャッターを切った。

担当・木戸佑(たすく)(27)

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