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写真:ネット→新リアル 「インスタグラム」つなぐ

ひがし茶屋街を撮影しながら散策する「朝んぽ会」の皆さん=金沢市東山で

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 世界規模で利用者が増えている写真共有アプリ「Instagram(インスタグラム)」を通じて、北陸でも新たな変化が生まれている。金沢では、ばらばらだった写真好きが集まってグループをつくり、写真展を開催。地域の魅力の発信やビジネスへの活用も広がりつつある。(担当・福岡範行)

#非日常

(左上から時計回りに)hamax_tttr、tatsuo_miura_、kazuyami77_monochrome、strawberry_princesss

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 光に照らされ金色に輝くのは、側溝のふた。モノクロの世界にたたずむ女性は服の青色が浮き上がり、不思議な存在感を放つ。カーブミラーをのぞけば通りのにぎわいが映る。非日常感が漂う写真の舞台は金沢市のひがし茶屋街。撮影者は、地元のインスタグラムユーザーのグループ「朝んぽ会」のメンバーだ。彼らは、プロの写真家集団ではない。スマートフォンのカメラ機能などで写真の面白さにはまり、1人で撮影を楽しんでいた人も多い。

#始まり

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 今では70人以上が関わる朝んぽ会。始まりは2年前、市内のハーモニカ奏者中川満さん(53)=ユーザーID@deeej420=が兼六園で木の根っこにつまずき、その写真をインスタグラムに載せたことだった。市内の商業プランナー三浦殊史(たつお)さん(46)=@tatsuo_miura_=が「この子の居場所知ってる気がします」とコメントして、意気投合。直接会うことになり、「休みの日の朝に集まって、写真撮って歩いたら楽しいよね」と語りあった。

 最初の活動は昨年5月、石川県白山市の松任グリーンパークで開いた撮影会。30〜50代の男女10人が集まった。ネット上で接していても、顔は知らない人ばかり。「いるんだ、本当に!」と出会いを喜んだ。そこから先はとんとん拍子。7月には金沢市民芸術村で写真展を初めて開き、40人が写真数百枚を展示した。今年7月の3回目の写真展は70人が出展し、900人以上が来場。交流はネットの枠を超えて広がった。

 写真展出展を誘われ、会に加わった同県志賀町の稲岡かおりさん(28)=@strawberry_princesss=は「SNSは怖いかな、と思っていたけど、カメラという共通の趣味があるから参加しやすかった」。以前は、1人で引きこもりがちだったというが、今では毎週のように会の集まりに参加。「インスタで性格まで変わりました」と笑った。

#学ぶ

asagohunter

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 同県津幡町の理学療法士滝中麻美さん(24)=@asagohunter=も、会のメンバーと週に何度も撮影に出る。3年前に一眼レフカメラを手にしたが、会に入るまではずっと写真仲間はおらず、「当時は撮影モードの違いすら分からなかった。朝んぽ会で使い方を学びました」。

 携帯電話に高性能のカメラが付き、写真を楽しむ人の裾野は拡大。インスタグラムなどで他人の優れた写真を毎日見られ、日常の写真でも競い合えるようになった。例えば、金沢市の大乗寺丘陵公園から見る夕焼け。朝んぽ会のメンバーたちがお気に入りの被写体だが、「同じものを撮っても、写真は人によって全然違う」と口をそろえる。

#観光

 国内外から金沢を訪れた観光客がインスタグラムに載った写真を見て、おいしそうな飲食店やきれいな景色を調べることも。三浦さんのもとには撮影場所の問い合わせがあるといい、「広い地域の方々に、今の金沢を知ってもらう機会になっている」と語った。

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 インスタグラムは写真や動画を手軽に共有できるアプリ。色合いの変更や質感の調整などの加工も手軽。5年前にサービスが始まり、世界中に延べ3億人のユーザーがいるという。「金沢」などのキーワードで写真を検索でき、好きな写真を見つけやすい。

 自治体、企業の活用も拡大。石川県志賀町観光協会が昨年からインスタグラムのフォトコンテストを開催。祭りの準備や海上の漁船からの景色など港町の日常を写した写真も目立った。

 北陸中日新聞でも6月、地元のインスタグラムユーザーが撮影した写真の提供を受け、大学生向けの学割サービスのPRポスターに採用=写真。北陸新幹線が開業した3月には、広告紙面に載せる写真をインスタグラムで募ると1000枚を超える応募があった。

能登にほれ1日1枚

白米千枚田の前で能登地方への思いを語る吉岡栄一さん=石川県輪島市で

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 石川県輪島市の白米千枚田で、市内のフォトデザインクリエーター吉岡栄一さん(28)が一眼レフカメラのシャッターを切った。続いて、スマートフォンを取り出し、パシャリ。「いつも、この場所の写真をインスタグラムに上げています」。定位置は、千枚田全景が見渡せる高台の手すり沿い。構図を変えず、季節によって移ろう棚田の表情を発信している。

 能登半島観光大使を名乗る吉岡さん。仕事で疲れたときに能登半島のドライブで癒やされた体験から愛着を深め、金沢市で勤めていた5年ほど前から能登の写真をインターネットに掲載。昨年4月には父方の実家がある輪島市門前町地区に移住し、仕事も独立した。

 吉岡さんの心を捉えるのは、能登の自然の色だ。夕日やキリコ祭りの炎の赤、木々の緑、空と海の青。海岸線を走るだけで、撮りたい景色が目に飛び込む。

 そんな能登各地の写真を1日平均1枚、インスタグラムで紹介し続ける。ユーザーIDは@tsukinoto。フォロワー(閲覧者)は多くないが、「フォロワーの数だけ増やしても意味がない。いい写真をアップできれば、新しい出会いは広がっていく」。写真の質にこだわり、継続が大切だと心掛ける。

 白米千枚田の撮影を終え、車に戻る道すがら、すれ違った観光客が「すごいね」とつぶやいた。吉岡さんは「ここに来ると感動してくれる人の声をよく聞くんです」と、自分が褒められたかのように喜んだ。

あなたの「かがやき」募ります

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 ポプレスでは10月からインスタグラムで募った写真を載せる新コーナーを始めます。月替わりでテーマを変え、毎週1枚ずつ紙面に掲載。初回のテーマは「かがやき」です。応募方法は「#hokurikupop」。テーマ変更は、編集部のインスタグラムアカウント(@popresschunichi)で案内していきます。

 

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