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壁に挑み、つかむ達成感 本紙記者 北陸でボルダリング

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 岩や壁を手足だけで登っていくスポーツ「ボルダリング」。人工壁で体験できる施設が北陸でも充実し、会社帰りや休日に楽しむ若者が増えている。登るだけなら簡単そう、と考えた運動不足の女性記者(34)。石川県能美市のジムの壁に張り付いて気づいた。甘かった、と。(担当・世古紘子)

道具なし 頭を使う

 訪れたのは、3月に能美市来丸町にオープンした「ワイルドキャットボルダリングジム」。室内に高さ4〜7メートルの人工壁が並び、ボルダリング用は4面ある。「レベルは初級から中級程度まで対応しています」。ボルダリング歴約10年の深浦竜真社長(29)が出迎えてくれた。

 ボルダリングは英語で「大きな石」を意味するBoulder(ボルダー)が語源。自然の岩場を登るための練習場として欧州で発達し、広がった。

 ロープなどの道具を使わず身一つで登るのが特徴で、記者がした準備も、爪を短く切るくらい。ただ、専用の靴は必要だ。深浦さんが貸してくれたのは、普段より小さめの靴。「爪先で岩場に立つため、指を曲げて履きます」。納得して足を押し込み、落下すると危険な腕時計などを取って、いざ壁の前に立った。

 高さ、横幅ともに4メートルの垂直壁には大小、色とりどりの突起「ホールド」が108個。それらの横に色違いの粘着テープが貼られていて、登るルートの目印になる。登り方は、ホールド間の距離やつかみやすさを見て、自分で考える。実は知的なスポーツだ。

 初体験の記者は黄緑色のテープをたどって横移動をするだけの初級ルートに挑むことになった。高さもそれほどなく、見た目は超余裕。自分なりにルートを確認し、いざクライムオン!

初級でも ぐったり

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 スタート地点のホールドを両手でつかみ、右手を次に伸ばす。そして次へ、次へ…。3、4個つかんだころ、恐ろしい事実に気付いた。「意外ときつい(涙)」

 指先は次第にしびれ、握力全てを持っていかれる感覚に襲われる。意識はゴールばかりに向き、伸ばした手に足が付いてこない。焦って、体の右側にあるホールドを左手でつかんでしまいそうになることも。次の動きがしにくくなるから避けるようにと注意されていたことだ。深浦さんはアドバイスをくれるが、ほとんど聞く余裕はない。ゴールの11個目を両手でつかみ、下りた時には、ペンを持つ手が震え、取材メモが取れなくなっていた。

 垂直の壁と、傾斜100度に反り返る壁で、縦に登るルートも1本ずつ体験。途中で何度も下りたい気持ちに負けそうになった。なのに、最後の1個をつかむと達成感に包まれ、自然と違うルートに挑みたくなるから不思議だ。

 両腕を早速襲ってきた筋肉痛に耐えながら、深浦さんに初ボルダリングの採点を聞くと「10点中、3点かな」。腕ばかり使っていたのが減点ポイントらしい。「足の屈伸で登り、手は添えるだけ。言葉では難しいですが、何度もやってみると体で分かってきます」

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年齢や性別 超えて

 ジムには3歳から60代まで、性別も体格も異なる会員700人超が県内外から通う。記者も練習を重ね、いつか自然の岩場へ−。そんな夢を抱き、初挑戦は終わった。

増える施設石川、富山各5店

 ボルダリングなどの商業用クライミング施設は都市部を中心に増加傾向にある。日本山岳協会(東京都渋谷区)によると昨年は343を数え、6年前の3.5倍になった。北陸でも石川県と富山県には5店舗ずつある。

 施設の増加で競技人口も50万人を突破。協会専務理事の尾形好雄さん(66)は「一時のボウリングブームのように会社帰りにエクササイズとして楽しむ若者が増えている」と話す。

 近年は日本人選手の活躍も目覚ましい。2014年の国際スポーツクライミング連盟(IFSC)のワールドカップ(W杯)年間ランキングでは、女子で野口啓代選手(26)=茨城県龍ケ崎市=が首位に。他の若手選手たちもトップ10入りし、同年のボルダー国別年間ランクでは日本が1位に輝いた。

 そんな実績を背景に、IFSCは、20年の東京五輪でスポーツクライミングを開催都市提案による追加種目に入れてほしいとPR。16年春には埼玉県加須市でW杯も開かれる予定で、尾形さんは「ますます注目度は高くなりそう。これを機に若い選手が多く育てば」と期待する。

登った先 出会いも?

華麗に登る男子(左)に、女子も熱い?視線を送る=大阪市内で

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 若者が集まるボルダリングジムは出会いの場でもある。スポーツの恋活や婚活、合コンを手掛ける「ベストパートナー」(東京都渋谷区)は約1年前から毎月、都内や名古屋などのジムで「ボルダリングコン」を開催。毎回定員に達する人気を誇る。

 5月末に大阪市のジムであったボルダリングコンには市内や京都、兵庫、奈良各県から20〜30代の男女41人が参加。一対一の自己紹介後、8人ずつのグループで壁を登って交流を深めた。

 いざ一緒にボルダリングをすると一見頼りなさそうな(?)男子が華麗に登ったり、今どき女子がゴールまで粘り強く頑張る姿に感動したり。登り方を丁寧に教えてくれる人や「ガンバ」と声を掛ける人もいて、参加者の人となりを自然と知れる場面が多いようだ。

 管理部長の鎌田智也さん(36)は「体を動かすことで心が解放されて素が出る。女性がほぼすっぴんなのもポイントが高い」と人気の秘密を解説する。

 会場は商店街の近くが多く、ほとんどが昼までに終わる設定。今回も最後は連絡先を交換し、そのまま天神橋筋商店街にご飯を食べに行くなど自然な流れで縁が結ばれた。

 北陸ではまだ開催されていないが、会場を募集中。日程などはホームページ(http://fcop.jp/)で確認。問い合わせは、ベストパートナー=電050(3786)8028=へ。

 

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