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女子力男子は好きですか?

「彼女募集中」化粧やネイルをして、携帯のカメラで自撮りをする増実佑紀さん=金沢市片町で

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 「洗顔から髪の毛のセットまで1時間以上」「スイーツの新商品は欠かさずチェック」−。

 どちらも女の子ではなく、男性の言葉だ。美容やお菓子など、一般的に女性の方が好んできた分野に深く興味を持ち、センスや能力を磨いた「女子力男子」が今、若い世代に増えているという。その実態とは?

増えてます 化粧はバッチリ

 女子力男子は美容に凝ったり、料理が上手だったりと女性的にも思えるが、草食男子とは違い、恋愛やセックスに消極的とは限らない。異性にモテるための武器として女子力を身に付けたタイプも多く、男性らしい一面も併せ持つ。学生や社会に出たばかりの若い層に多いという。

 金沢市の大学1年増実佑紀さん(18)は、女性的なファッションを自然体で楽しむ女子力男子だ。女性物のTシャツやパンツを着こなし、指先にはジェルネイル。ファンデーションで整えた肌は滑らか。

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 「憧れている原宿系の男性モデルをまねているだけで、女の子的な心は持ってない。彼女募集中です」と照れくさそうに笑う。

 高校時代、K−POPのイベントにカラーコンタクトで参加してから、だんだん化粧に凝りだした。週末、同市片町のファッション店「スピンズ金沢店」にバイトに行くときは、洗顔から髪の毛のセットまで1時間超。アイラインや眉マスカラも使いこなし、化粧直しのファンデーションや巻き髪用のコテも持ち歩く。

レディースの服で全身コーディネート

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 透明感抜群にメークした男性モデルをインターネットで見て、男性の化粧の違和感は薄らいでいる。女子受けを狙っているかと尋ねると、「この雰囲気が好きじゃない女子もいる。意識してないです」と語った。

増えてます スイーツ大好き

 富山市の大学2年高林篤弥さん(19)も女子力男子の一人。コンビニスイーツは女友達よりも詳しく、「3食スイーツでも大丈夫」。アップルパイやチーズケーキといったお菓子も作り、彼女ができたら「料理を作ってあげたい」とも。「よく女子っぽいって言われるんです」

 妹の影響で中学生のころから少女漫画を読み、好きな作品は映画化されたばかりの「ストロボ・エッジ」。高校生らの恋愛模様を描く内容だ。「少女漫画には恋愛や友人関係のもつれも描かれ、参考になることも。自信がなくてできないが、まねたい告白シーンもあります」と冗舌に語る。

自宅で少女漫画を読む高林篤弥さん=富山市で

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 女子力が生きるのは、女友達との会話。同じサークルの女性陣に誘われ、女性5人に1人で交ざって飲食店に行ったときも、豊富なスイーツネタで盛り上がった。一方、中高はバスケ部に所属。183センチ、80キロとがっしりした体格。男性向けのゲームも趣味だ。

識者が指摘 成熟社会の象徴

 著書「女子力男子」を出版した博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダーの原田曜平さん(38)によれば、女子力男子が現れ始めたのは10年前。「体つきの細い男子の割合が増え、眉毛を整え、化粧水を使うなどの美容ケアが普通になってきた」

 背景には社会の男女観の変化を指摘する。昭和の高度経済成長期には、国内の製造業が好調になって働き手の男性が都市部に流れ込み、サラリーマンが急増。家族を養える経済力を付けた男性を支えるべく、専業主婦になる女性も増え、性別の役割分業が定着した。

 しかし、その後の女性の社会進出や長引く不況で、共働き世帯が増え、分業スタイルは崩壊。1993年から中学でも家庭科が男女共修になり、今の30代半ばより若い世代は男性も料理や裁縫を学んだ。

 フェイスブックなどのソーシャルメディアの普及で男女間の交流も活発化。男性にも自然に多くの女性向け情報が届き、原田さんは「当然、女子化する男性も増える。今後ますます男女の役割はボーダーレス化するだろう」と予測する。

 女性が仕事を持って経済的に自立し、家事と育児を女性任せにしない男性を求める傾向が強まったことも、男性の女子化を後押ししたとも考えられる。

 女子力男子を「価値観が多様化した成熟社会の象徴の一つ」と語る原田さん。その増加はビジネスチャンスも生み出すと期待する。完全に女性向けの商品だと購入しづらい女子力男子もおり、「需要はあるのに彼らに響く商品やサービスはまだあまりない。女子力男子市場はこれから大変魅力的になっていく」とみる。

 普段から女性誌を読み、美容情報にも興味を持つ女子力男子は「おじさん世代にはない関心の深さやアンテナの幅広さで仕事などで活躍の場は多い」とも分析。女子力男子は、経済の活性化にも貢献するかもしれない。

モテそう? YES! でも…

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 女子力男子はモテると思いますか−? 富山、石川両県の高校生〜35歳の男女50人に聞いたところ、過半数の32人(うち女性15人)がモテると答えた。一方で、男らしさ、女らしさは大事かとの問いには34人が「大事」と回答。一見すると矛盾する結果になった。

 女子力男子がモテる理由で最多だったのは「記念日などを大切にしそう」といった女心への理解。女性と共通の趣味が話題にできるとの理由も多かった。富山県黒部市の自営業女性(35)は、マージャンなど男性が好きなイメージが強い趣味に関心が無く、「料理や買い物が一緒にできるのは良い」と評価した。

 一方で、女子力の高さがあだになるケースもある。金沢市の医療関係の女性(23)は、料理上手な女子力男子をイメージしてか、「1人で生きていけそう」とばっさり。富山市の女子大学生(19)は「会話は盛り上がるけど…、友達止まり」と男らしさを求める。

 女子力男子に「モテそう」と好感を抱いても、最終的には男性的な頼りがいなどを求める人も目立ち、金沢市の保育士女性(24)は「女子力男子に男らしさがあれば完璧かな」。

 周囲に女子力男子がいる人は31人に上り、北陸でも増加の傾向がうかがえたが、女子力男子になりたいと答えた男性は24人中9人。「男女それぞれに良さがあるから、らしさは大事」などの声も根強かった。

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 24歳の僕も女子力男子。女の子に話し掛けるときも、共通の話題を持っていると会話の糸口がつかみやすいんですよね。それにしても2人の女子力の高さには感服。学ぶことが多いです。

  担当・伊勢村優樹

 

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