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金沢で花咲く 和ゴス 和装×ゴシック

店頭に並ぶ、きらびやかな「和ゴス」の洋服=金沢市竪町の「KERASHOP金沢店」で

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 日本伝統の着物を、ダークな雰囲気が漂う欧州風のファッション「ゴシック」の要素と組み合わせた「和ゴス」を楽しむ人が北陸でも増えている。コーディネートを競うコンテストで日本一に輝いた石川県の女性もいる。加賀友禅など和装文化が根付くこの地から、新たなファッションが花開き始めている。(担当・福岡範行)

融合 自分を表現

 黒地に描かれた鶴や菊はまるで、漆黒の闇の中で輝いているように見えた。金沢市竪町のKERASHOP(ケラショップ)金沢店の和ゴスコーナーに並ぶ洋服は、真っ黒な生地をベースにしたものがほとんど。鮮やかな青色や赤色が多い和柄は、黒色とのコントラストが際立つ。

 店で扱うのは、和ゴスブランドの代表格「QutieFrash(キューティーフラッシュ)」。着物風のカーディガンや和柄のポンチョ、スカートなどが所狭しと並ぶ。竜の柄や飾りボタンに中国文化を取り入れた商品もあり、エキゾチックな雰囲気が漂う。

 店長りくさんは「購入する人は、小学生からおばあちゃんまで幅広い。ファンの層は厚くなっていると思います」と実感を語る。

 人気の秘密は、組み合わせの自由さだ。

 レースやフリルを多用したお姫様のようなロリータや、ゴシックといった個性派ファッションは、服の世界観を重視し、同じシリーズの商品でコーディネートを統一するのが良いとされるケースが多い。一方、和ゴスは和と洋の融合。かっこいいものや、かわいいもの、セクシー系と幅広く、違うジャンルの服とも合わせやすい。ポンチョをスカート代わりに使う人もいて、「自分の中にあるイメージを思い通りに表現しやすい」という。

 和ゴスをよさこいの衣装に使ったり、アニメの和風キャラクターに憧れて買ったりする人もおり、裾野は広がっている。

文化に誇り 魅力発信

全国コンテスト優勝 野々市の司聖太郎さん

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 石川県野々市市の女性会社員司聖太郎(つかさしょうたろう)さん(芸名)は、キューティーフラッシュが昨年開いた和ゴスのコーディネートのコンテストで優勝した。

 全国各地の予選を勝ち抜いた10人で競った本選は、加賀藩ゆかりの歌舞伎者前田慶次をイメージした装いで挑戦。紅白を基調に鮮やかな青色などを重ねた多彩な色づかいの和柄の衣装が、撮影場所の長町武家屋敷跡(金沢市)に溶け込み、全国の和ゴスファンらの支持を集めた。

歌舞伎者をイメージ

 「1位を取れるとは思ってなかったんですけど…」と聖太郎さんは照れくさそうにはにかんだ。地区予選向けの写真撮影が楽しいからと気軽に出場し、全国制覇の欲はなかった。「ファッションは自分との闘い。きれいに化粧を決めるのも体形の維持も。イメージを表現しきって、楽しみきるために努力しています」

 中学時代、流行のビジュアル系バンドに憧れて黒色のジャケットや、スーツを意識したシャツとネクタイを着始めた。短大に進学すると、金沢のファッション店を回り、バイト代で王子様系の洋服などを集めた。

 和ゴスは着こなしが難しいイメージがあったが、2年半前に着物風の真っ白なカーディガンを購入。手持ちの黒いロングスカートによく合い、印象が変わった。1年半前から本格的にはまり、スカートやコルセットなども含めて100点近くを購入した。

伝統的風景になじむ

コンテスト本選に提出した歌舞伎者がテーマの写真(司聖太郎さん提供)

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 書道をたしなみ、日本の古典文学も読んで「四季のうつろいや身近な景色のささいな変化を楽しむ心が美しい」と和の文化を誇りに思ってきた。だから、和ゴスは「表現したい世界観をつくり上げる上でベストな洋服」。伝統的な場所が多い地元の風景にもなじみ、写真撮影の楽しみも増した。

 和ゴスなどの個性派のファッションも、だいぶ世間に受け入れられてきたとも感じている。10年ほど前は、通りすがりの人に暴言を吐かれたりもしたが、今は「かっこいいですね」と声を掛けてくれる人も多い。ロリータを着こなす芸能人が人気を集めた影響もあるが、聖太郎さんら愛好者も、マナーに人一倍気を使うなど、地道に努力してきた。「奇抜な格好をするほど、誤解されやすい」。長町武家屋敷跡で撮影するときも、金沢市に許可が必要か問い合わせた。

 和ゴスとともに地元の魅力の発信にも努めている。1月には石川県内で撮ったものを収めたA4判28ページの写真集を自費出版。短文投稿サイト「ツイッター」を始めると、「石川に撮影に来たい」とメッセージをくれる人もいた。「周りの人と楽しみを共有し、笑顔にしたい。みんなと新しいものを創造したいです」

ロリータ風着物 評判

「和バンギャルド」金沢の専門学生グループ結成

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 「和バンギャルド」というグループを結成し、着物の前衛的なアレンジに挑む専門学校生もいる。金沢市の金沢文化服装学院2年の新谷木鳩(こばと)さん(19)らは、グループの活動や進級発表のショーで、和ゴスやロリータを参考にした服を作った。

 裾の広がったスカートを着物に合わせ、背中には帯を扇子形にした飾りを付けた。1人でも着られる気軽さとかわいい見た目で、若者好みの服を目指した。

 「日本にしかない服だから愛着があり、着物姿での所作も美しい」と伝統的な和装の良さも感じている。大胆なリメークは、若者が着物に興味を持つきっかけづくり。活動を通じて、着物にベレー帽や革靴が似合うことも発見した。私服では、和装の羽織をブラウスとスカートの上に着ることも。気軽なアレンジにも可能性を感じている。

着物の帯を扇子状にした背中の飾りなど、独創的な和装のアレンジに挑んだ衣装=金沢市の犀川緑地で

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 「金沢は小道具にもこだわるロリータの人もいる。和の伝統もあり、融合はしやすいはず」と新谷さん。一緒に活動する2年の小原すみれさん(22)は「着物のアレンジはショーでも好評。気軽なレンタル店が増えれば、若い世代にも着物は広まる」と話す。

 石川県内では3年前から、加賀友禅などの伝統工芸とロリータを組み合わせて発信する「加賀ロリ」プロジェクトも始まっている。昨年7月にはフランス・パリで開かれた大規模イベント「JAPAN EXPO」にブースを出展。ロリータ風の着物は、来場者に「かわいい」「独特のスタイルが素晴らしい」などと評判だった。

 

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