トップ > 北陸中日新聞から > popress > 特集 > 記事

ここから本文

popresspopress【特集】
 

妊活を考える(上) 卵巣年齢 知ってる?

写真

 不妊に悩むカップルは6組に1組ともいわれる日本。子どもを授かるための「妊活」も、女性芸能人が休養を取って宣言するなど、広まってきている。社会状況の影響を受け、時代とともに変わってきた妊娠や出産の姿。妊活をめぐる課題は何か。2回の連載で考える。(担当・福岡範行)

30歳で「40代」の診断も

 「卵巣年齢は40歳を超えています」

 不妊治療のため訪れた病院で、当時30歳だった金沢市の主婦早苗さん(31)=仮名=の耳に医師の言葉が重く響いた。早苗さんは流産したものの、20代後半で妊娠したことがあった。卵巣年齢が実年齢より10歳以上も高い結果は予想外。ショックを受けた。

写真

 卵巣年齢は、どれだけ卵子が残っているかという目安。加齢で卵子の質が低下する卵子の老化とは別物だ。不妊治療の一環で、卵子の発育に関係するアンチミューラリアンホルモン(AMH)の分泌状況を血液検査で調べると、割り出される。

 “高齢化”は閉経に近づいていることを意味し、排卵が乱れやすくなって妊娠に影響する。個人差は大きく、実年齢より10歳や20歳高い人もいる。閉経は一般的に50歳前後とされるが、40歳未満で迎える人も100人に1人ほどいる。

 検査は、医療保険の適用外なので費用は病院によって異なるが、7000〜1万円ほどで受けられるという。

晩婚で不妊一因に

40歳未満の閉経を解説する河村和弘准教授=川崎市の聖マリアンナ医科大で

写真

 聖マリアンナ医科大産婦人科(川崎市)の河村和弘准教授(44)によると、卵子のもとが入っている卵胞は通常、出生時に200万個ほどある。生理を迎えて排卵が始まる思春期には30万個、30〜40代には数万個まで減っている。生理のペースより速く減るのは、排卵に至るまでの発育中でほとんど死滅するから。妊娠中など排卵がない時期も定期的に減少する。

 実年齢より卵巣年齢が高くなる理由は、免疫の異常や先天的な卵胞の少なさなどさまざま。40歳未満で閉経する割合は以前と大きく変わらないというが、河村准教授は「40歳で閉経しても、(結婚が早かった)昔は20代で何人か産むことはできた。晩婚化で、卵子の減少が深刻になってから初産を目指す人が増えた」と、社会状況の変化で不妊の要因になったと指摘する。

 閉経が早まる兆候は生理不順。若い人の不順はストレスなどでも起きるが、排卵障害など別の病気を見つけるきっかけにもなる。

 河村准教授は「閉経する前なら卵子の保存などを考えることもできる。若い時期も生理不順を放置しないでほしい」と訴える。

       ◇  ◇

 卵巣年齢が高かった早苗さん。検査で夫の精子の数も少ないと分かり、自然妊娠の可能性が低いため、本格的な不妊治療に進んだ。医師には「妊娠したいなら、のんびりできない」と言われ、落ち込んでいる時間もなかった。

 一つの卵子に一つの精子を直接注入する顕微授精を2度行ったが、妊娠に至らなかった。ホルモン剤の副作用で気持ち悪さが続き、医師に「妊娠していない」と結果を告げられた後の無力感も耐えがたかった。費用の負担も重く、「治療を続けても、体も心もついていかない」と休止を決めた。資格取得という新たな目標もできたが、それでも「何もしていなくていいのか」という思いは時々ちらつく。不妊治療を再開するかどうかは、年明けから考えるつもりだ。

痩せすぎ、喫煙 注意 予防医療チーム訴え

予防医療チーム「ラブテリ」の細川モモさん=東京都内で

写真

 卵巣年齢の高齢化を防ぐには、どうしたらいいのか。20〜30代女性の卵巣年齢と健康状態や生活習慣との関連を調べた予防医療チーム「ラブテリ」(東京)に聞いた。

 ラブテリは2009年に発足し、若手の女性管理栄養士や産婦人科医ら20人がメンバー。低体重児の出生率増加を懸念し、妊娠、出産に必要な知識をまとめた「BabyBook」の発行などで、啓発に努めている。

 調査は2年前、順天堂大などと共同で行った。100人を対象に調べたところ、卵巣年齢が実年齢より高い人の傾向として20代は低い体脂肪率、30代はビタミンD不足がみられた。

 他の研究では、卵巣年齢は喫煙によって高齢化しやすいとも指摘されている。

 ラブテリ代表の細川モモさん(32)は「10歳ぐらいの女子の10%がダイエットを意識するというデータもある。とにかく痩せればうれしいという考えは避けて」と呼び掛ける。

 過激なダイエットは生理不順を引き起こすこともあり、将来の妊娠を考える上でも危険。最適な体格指数(BMI)は20〜24、体脂肪は20〜27%未満だという。

 神奈川県内の病院の調査では、妊婦の半数が血液中のビタミンD不足という結果も出ている。

 細川さんは「リスクを知れば予防できることはたくさんある。妊娠に向けて体づくりを意識することは、生涯の健康維持にも役立ちます」と力を込めた。

知識、プラン大切に 「妊活バイブル」著者助言

意思を持って授かる大切さを説く白河桃子さん=東京都内で

写真

 「妊活バイブル」を書いた少子化ジャーナリストで相模女子大客員教授の白河桃子さんは「妊活とは『意思を持って授かること』。妊娠適齢期の知識を持った上で、いつごろに子どもが欲しいというライフプランを描くのが大切」と説明する。

 多くの女性が主婦となった時代に比べ、現代は女性の社会進出が進み、生き方の幅は広がった。どの時期に出産を望むかも一人一人で違ってくる。

 子どもは授かりもの。妊娠の時期を完全にコントロールすることは難しいため「ライフプランは目安であり、修正していくもの」と計画に縛られない大切さも説く。

 職業選択も妊活の一つと考える。非正規労働の拡大などで家族を1人で養えるほどの収入がない男性も増え、女性も働かなければ、妊娠の前に結婚もできないと分析。「仕事か出産かという二者択一も古い感覚。女性がしっかり働けている地域は出生率も高い」と強調する。

 社会全体で子育ての負担などを下支えし、当事者任せにしないことも重要という。「出産は強制できないこと。産みたい女性が安心して産める環境を整えることが大切」と語った。

 

この記事を印刷する

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索