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輝きはメジャー級! 北陸3県マイナー競技

 初の東京五輪の開会式から10日でちょうど半世紀。日本には数多くのスポーツが根付いた。世間の注目の低いマイナー競技にも多くの人々が没頭。苦労も、喜びもかみしめて、きらめく汗を流している。

北陸唯一の金沢セパタクロークラブの練習風景=石川県白山市で

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「瞬」宙舞う足技

セパタクロー 

でも激ムズ「リフティングに1年…」

 まばたきの時間が惜しいほどの一瞬の妙技だった。スポーツインストラクターの木下翼さん(27)=金沢市=が体を真横に倒して、空中で1回転。天井へたかだかと伸ばした右足でボールを捉え、高さ1.5メートルのネット上から相手コートに突き刺した。

 北陸3県で一つしかない金沢セパタクロークラブの練習だ。代表の後岳範さん(36)=同市=や木下さんが3年ほど前に「珍しく、かっこいいスポーツをしたい」と始めた。

 セパタクローは足でボールを操るバレーボールに似た競技。トップレベルの試合の華やかさとは裏腹に、地道な練習が不可欠だ。

 木下さんらは当初、練習方法すら独学。「リフティングを10回するのに1年かかった」と打ち明ける。

 転機は2012年1月、金沢のクラブ発足を知った日本代表選手らが指導に来てくれた。後さんは「セパタクローを広めたい思いは、僕らも代表選手も同じ。練習の相談にも細かく応じてくれます」と感謝する。

 メンバーは、女性6人を含め約30人。初心者が多く、ほとんどの人が競技の難しさに苦しむ。石川県小松市の会社員北村綾香さん(22)は「バスケで例えればパスからできない」と漏らす。しかし、やめない。「難しすぎるから、初めてボールを真っすぐ上げられたとか、ちょっとしたことがうれしいんです」

 動きは激しく、けがのリスクもある。試合会場は1番近くて新潟県。出場のために早朝から車を走らせる。大会は4回出て、すべて予選敗退。それでも今年5月、木下さんは勝利を味わった。1年前は何もできずに全敗した新潟での大会。「やっと舞台に立てた」。充実感が胸に広がった。

 木下さんは「いつか代表クラスと戦いたい」と夢見る。その頂はまだ遠いが、歩みは前に進んでいる。

 セパタクロー 3人対3人で円周40センチほどのボールを落とさず、蹴り合う東南アジア発祥の競技。コートはバドミントンと同じ。自陣で4回ボールに触ったり、ボールを落としたりすると相手の得点になる。

スカッシュに打ち込む冨田麻未さん=金沢市で

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「弾」壁走る打球

スカッシュ

 北陸唯一の日本スカッシュ協会公認コートがあるセントラルフィットネスクラブ金沢(金沢市)。市内の会社員冨田麻未さん(25)は週に1回、ラリーに汗を流す。スカッシュ歴は2年。大原政和コーチ(47)は「ストップ&ダッシュを繰り返す体力が付いてきた」と目を細める。

 四方が壁の室内でボールを打ち合うスカッシュは、ボールが遠くへ行かず、初心者も始めやすい。このクラブでは、2人で15分間に500回以上打つラリーを中心に練習。大原コーチは「必要なのは、通い続けられることだけ」と語った。

 スカッシュ 壁に囲まれた広さ約62平方メートルで行うテニスに似た競技。前方の壁から跳ね返ったゴム製ボールが床で2度跳ねる前に打ち返す。周囲の壁の跳弾も有効で戦略性は高い。

オフェンスとディフェンスに分かれて練習する芦原フェニックスの選手たち=福井県あわら市で

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「烈」堅守に一撃

カヌーポロ

 ゴール前、選手たちがカヌーをぶつけ合い、水しぶきが湖面を打つ。体を寄せて隙間を埋める守備陣は、まさに壁。“針の穴”からシュートを狙う攻撃陣との駆け引きに息をのんだ。

 福井県あわら市のカヌーポロチーム「芦原フェニックス」。メンバーの小木(こぎ)誠さん(19)は「密集した守備にチームで隙間をあける。ゴールは快感です」と笑う。

 同市の北潟湖では24年前から毎年、あわらカップを開催。市内の小学生も200人出場し、海外の参加者もいる人気ぶりだ。

 小木さんも小学生からプレー。他の競技もしたが、「夏にはカヌーポロの気持ちよさを思い出す。やめられない」とはにかむ。

 カヌーの普及は、旧芦原町の地域活性化策で浮上した。だが、あわらカップの実行委員長能登裕子さん(69)は「上から決めるべきじゃない」と考え、町民らと2年間ほど、カヌーポロを広める意義を検討。大会運営は地元高校生も交えて、手弁当で築き上げた。「マイナー競技だから、みんなで大会をつくれている。市民が純粋にスポーツに向き合える」と語った。

 カヌーポロ 長さ2〜3メートルの1人乗りカヌーを操り、5人対5人で対戦。水球と同じボールを高さ2メートルのゴールに入れると得点。競り合いで体を激しくぶつけ合うことも多く、「水上の格闘技」と呼ばれる。

練習でダイビングキャッチする谷沢洋平さん(右)=富山市の神通川南緑地で

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「跳」円盤を捕獲

アルティメット

 秋風が吹く富山市の神通川南緑地で、市内の大工谷沢洋平さん(28)が跳んだ。フライングディスクを使った競技「アルティメット」。ディスクの長い滞空時間を生かした空中プレーは大きな見せ場だ。

 大学1年から競技を始めた谷沢さん。今は週末、富山県フライングディスク協会のメンバーと練習する。協会の一瀬敦史理事長(40)は「高い場所でダイビングキャッチできる能力はすごい」と称賛するが、見せ場が輝くのもパスの出し手がいてこそ。「全然動かない点取り屋もいます」と競技の奥深さを語った。

 アルティメット コート端の相手側エンドゾーンでパスを取ると得点。7人対7人で競う。ディスクを持つと移動できず、身体接触も禁じられている。

なぎなたの演技競技をする大工桜さん=石川県津幡町の津幡高で

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「凜」打突の応酬

なぎなた

 18日から国体に出場する石川県津幡町の津幡高校3年大工桜さん(17)は、なぎなたに打ち込む。後輩の2年守作千春さん(16)は「大工先輩はどっしりと構え、どんな相手にも強気で打ち返す。かっこいいです」と目を輝かす。

 優しい人柄だが、練習で正対すると強い目力や声に圧倒されるという。「声も透き通って、りりしく、迫力もある」と守作さん。2メートル余りのなぎなたを操り、形を競う演技では美しく、試合では気迫にあふれ、1本を奪う。守作さんは「打ち数の多い試合は見応え抜群です」と力を込めた。

 なぎなた 競技は試合と演技の2種類。試合は面やこてなどをなぎなたの先端部で正確に打突すると1本。演技は2人1組で形を披露し、優劣を競う。

 担当・福岡範行

 

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