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宙ガールと星空を 北陸天文ツアー

イラスト・由女さん

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 宇宙をこよなく愛する女性を「宙(そら)ガール」と呼ぶらしい。星空大好き“宙ガール予備軍”の記者(25)が、富山大天文同好会出身のイラストレーター由女(ゆめ)さん(33)=東京都世田谷区=と一緒に、北陸の天文スポットを案内する。静けさに包まれて夜空を旅しながら、季節の移ろいを感じてみては?

満天星 まるで銀河

 雨が多い北陸地方。由女さんと取材に繰り出した8月下旬も、雨脚は強まるばかりだった。夜の星空観察は諦めたが、満天の星を楽しむすべは他にもある。

 向かったのは、奥能登の石川県能登町にある県柳田星の観察館「満天星」。プラネタリウムは3年前のリニューアルで最新式の光学式投影機を導入し、4000万個もの星を投映できるという。

満天星のプラネタリウム=いずれも石川県能登町上町で(満天星提供)

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 由女さんいわく、席選びはスクリーン全体を見渡せる後方の列の真ん中がオススメ。「では、街明かりを消してみましょう」とのアナウンスを合図に、手元を見るのも困難なほどの暗闇が広がる。頭上を覆う星の数はどんどん増え、天の川もくっきり見えた。

 見とれていると、隣の由女さんが「のぞいてみて」と双眼鏡を渡してくれた。館が貸し出しているという。天の川に向けると、肉眼では見えない星の点々まではっきり。小さな星まで忠実に再現できる光学式投影機だからこそ、なせる技らしい。

 夏の星空で一番の目玉は天頂にひときわ輝く三つの星をつないだ「夏の大三角形」。「七夕伝説」のこと座のベガとわし座のアルタイル、そしてはくちょう座のデネブだ。

石川県内最大の満天星の望遠鏡

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 由女さんは、アルタイルのそばで輝く小さなひし形の星座を指し「あれがいるか座。ぴょんっとはねているみたいでかわいいんですよ」と興奮気味。

 近くを流れる天の川を目で追うと、その先には赤い星アンタレスを胸に据えたさそり座がどっしり構える。「南の低い空に浮かぶので、南方が開けた場所じゃないと見えないはず」と、星空を見慣れた由女さんの解説が入る。うーん、宙ガールたるもの、やっぱり生で見てみたい…。

 星を見るのに良い環境は、(1)街明かりなど光害が少ない(2)月明かりが少ない(3)標高が高い、など。ベストは、月の光がなくなる新月の日だ。石川県内最大の望遠鏡を持つ満天星では、晴天ならばデッキで天体観望会を開いている。由女さんも「周りにさえぎるものがなく、絶好の観測スポットですよ」と太鼓判を押す。

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 観測には星座早見盤を持って行くと便利。白い光を見ると目が暗闇に慣れないので、懐中電灯に赤いセロハンを巻くといい。早見盤が無くても、空にかざすと星座名などが表示されるスマートフォンアプリもある。夜は意外と冷えるので、長袖の上着も必須だ。

 夏の大三角形などは9月も楽しめるが、少しずつ秋の星座も顔を出し始める。大きな四辺形を持つペガスス座や、「W」に見えるカシオペヤ座を見つけて、変わりゆく季節を感じてみてもいいかもしれない。10月8日には、2011年12月以来の皆既月食も見られる。

海で山で 見とれて

 北陸地方には、ファンが集う天体観測スポットや、ユニークな施設が点在している。

 石川県の代表格は「UFOのまち」羽咋市の宇宙科学博物館「コスモアイル羽咋」だろう。宇宙人など怪しげな要素も満載だが、大気圏突入時の焼け跡が残った宇宙船の実物など、貴重な展示もあるので侮るべからず。

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 流星群などの天体イベントがあると、多くの人が観測に訪れるのが金沢市キゴ山天体観察センター。羽咋市の千里浜海岸も空が開けているので、コンディションが良ければ一面の星空が拝めそうだ。

 由女さんが富山大時代、天体観測でよく通っていたのは、富山市の牛岳(987メートル)。「市内から車で30分ほどで行けて、標高も高いので手ごろな観測場所」だとか。泊まりがけでがっつり見たいなら、立山黒部アルペンルートの室堂平(標高2,450メートル)がオススメだ。富山市天文台でも随時、星空観察会を開いている。

富山の夜空 今も心に

由女さん 魅力語る

 富山大(富山市)の周りは夜になるとすごく暗いんです。愛知で生まれ育った私にはすごく心細かった。1年生のある夜、最寄り駅から寮へ歩いて帰っていた時、ふと空を見上げて一面の星空に気付きました。吸い込まれそうで、心をぎゅっとつかまれた。プラネタリウムに通っていた小学生のころの気持ちを思い出しました。

 北陸は雨が多くて、冬はずっと曇ってる。でも、高い建物が少なく、観測ポイントになる海も山も近いので、環境は悪くないと思います。天文同好会では、牛岳の観測所で惑星を見たり、流星群を追い掛けて遠征したりと、いろんな経験ができました。

 宇宙関係の研究者になりたいと思った時期もあったくらい。だからイラストレーターになった時、どうしても天文の本を書きたかった。7月に発売したコミックエッセー「今夜、星を見に行こう」には、同好会での思い出を全部詰め込んだつもりです。

 皆既日食や流星群、宇宙飛行士の若田光一さんが国際宇宙ステーションの船長になるなど、最近は宇宙の話題が絶えない。そのせいか、「宙ガール」も増えてきたように思います。マニアックだと思われがちな世界を身近に感じてくれる人が増えればいいな。これからも、宇宙の魅力を発信していきます。

 ゆめ 1981年、愛知県生まれ。2000年から富山大理学部地球科学科で気象を学ぶ傍ら、天文同好会に在籍。04年に卒業後、名古屋の専門学校で広告デザインを学び、グラフィックデザイナーになる。08年に上京し、翌年からイラストレーターとして活動。著書に「吹奏楽に恋をして!」(イースト・プレス発行)がある。

 担当・兼村優希

 

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