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「白」の強さ 歌に込め 金沢のレーベル所属 sugar me

今年5月、金沢市内でのライブで演奏するsugarmeさん

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 金沢市の「ラリーレーベル」から昨年末デビューしたシンガー・ソングライター、sugar me(シュガー・ミー)さん(27)。英語やフランス語でつづる楽曲は、耳には優しいけれど、単に甘いだけじゃない。強く輝く「白」に自らを重ねて、しなやかに歌を紡ぐ。

多彩な音色に 染まり輝く

−子どものころから音楽の道を?

 母親がフォークギターを持っていて、家の中で一緒に歌ったりしていた。そのギターから始まって、教本でコードを一つずつ覚えた。自然に歌う環境があったのは大きかった。

 大学で東京に出て来て、バンドサークルに入った。そのほかにジャズのボーカルを習っていた。父親が聞いていた影響。俗に言うスタンダードナンバーが好きで、自分もやってみたいと思った。お店で歌うことも始めていました。

−それで卒業後はプロになろうと。

 音楽を続けたいというのが一番大きくて、続けることを決めた。仕事にするかは結果論。どういうレベルでやっていくかを考えて、チャレンジしようと。

 趣味でやっているのもすごくいいし、大きいフィールドで歌っている人も、かと思えばインディーズで、でも世界的に活動している人もいる。音楽と一口に言ってもすごく幅があって、クラシックもあれば、アバンギャルドなアンダーグラウンドも。私は今たまたまポップスのフィールドにいますけど、どれもすてき。いろんな音楽を聴きます。

 初めはラリーレーベルではなく、別の環境で活動していた。移ったのは3年くらい前。自分の表現って何だろうと考え直していた時期に(社長の)近越さんに声を掛けていただいた。金沢にレーベルがあることは知らずに、ただ、家にはラリーのCDがあった。海外のアーティストをよくリリースして、ローカルだけどグローバルなところと結びついているのも面白いなと。

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−アーティスト名の由来は。

 sugar meという曲がある。リンジー・ディ・ポールという1970年代のイギリスのポップシンガーの曲。私のアーティストイメージが白なので、白い物の名前を入れたくて考えていたとき、たまたま聞いた。三角関係の、毒っ気のある面白くてポップな曲なんです。自分の音楽のイメージとぴったりだなと思って。

 もともと白が好き。真っ白なキャンバス。何色にも染まる。光の色だったり。いろんなものを混ぜた色だし、一番強い色。自分の声とか音楽にも通じるものがある。何にでも乗りやすいクセのないボーカルですけど、一番強い個性があるぞってことで白がいいと思った。

−歌を通じて伝えたいことはありますか。

 いわゆるメッセージ性はあまり考えていない。音楽を今までずっと聞いてきて、音楽に助けられている自分の人生があって、私もそういうものを作りたい。この曲に救われたからこういう曲を、とかではなくて、もっと広い意味で、音楽が人生のキーワード。

 スタートは遅くて、曲を作り始めたのは20歳を過ぎてから。最初は日本語。母国語で書きやすいけど、作るうちにすごく難しいのが分かった。音がベタッとしている。リズムや音に乗っけた時にしっくりこない。

 聞いていて心地よい言葉は絶対ある。意味も大切なんですけど、言葉自体が持っているリズムとか音の感覚。それが、自分の中で英語やフランス語がしっくりくる。音の面白さで考えて、このメロディーにこの単語を入れたいというところからストーリーができたり。デビューアルバムの1曲目、「summer queen」は、男の子から見た、夏限定の彼女みたいなストーリー。外国語だと意味よりサウンドに引っ張られるので、逆に自由な発想になれたりする。

 「as you grow」は、自分に子どもができたら、世界は悲しいこともいっぱいあるけど、大きくなったら分かる、楽しいこともあるよっていう曲。日本語で書くとちょっと恥ずかしいし、私の等身大ではない。母国語じゃないので、背伸びしたり、想像力をふくらませてみたり。

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−目標は。

 個人的には、自分の表現を磨く。対外的にはsugar meじゃないと出せない音を認識してもらう。どこで、誰に聞いてもらうというのは意識していない。私だけのポジションがあればいい。すごくわがままですけど。こういう雰囲気の時にsugar meをかけたいよねとか、ライブに行くことがスペシャルだと思ってもらえるようになるといい。

−地方のレーベルで不自由はないですか。

 今の時代、距離ではない。インターネットもあるし電話もすぐつながる。人と人との関係が逆に重要になってくる。近越さんがぶれないので、そこを信用している。ほとんど二人三脚。もっと金沢に来たいけど、まだ交通が不便。新幹線を楽しみにしています。

 聞き手・日下部弘太

 シュガー・ミー 1986年、北海道砂川市生まれ。本名は寺岡歩美。2010年ごろからシンガー・ソングライターの活動を始め、12年にsugar meとして本格的な活動をスタート。昨年12月にデビューアルバム「Why White Y?」=写真=をリリースした。ミシェル・ゴンドリー監督の映画「ムード・インディゴ うたかたの日々」に合わせて作った「1、2、3」など8曲を収録。衣料品メーカーや大手化学メーカーのCMの歌を担当したり、雑誌のモデルを務めたりも。特に影響を受けたアーティストはビートルズ、エリオット・スミス、ファイスト。東京都在住。

 ラリーレーベル 金沢市香林坊の音楽レーベル。近越文紀さん(40)が2002年に設立した。日本人アーティスト17組が所属し、海外アーティスト19組とライセンス契約を結んでいる。「ラリー」はアルファベットでRallye。英単語rallyのフランス語表記だが、言葉の意味からではなく、「音の響きと字面の良さから付けた」と近越さん。

 

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