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ご当地アイドル 北陸の陣

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 人気のAKB48、ももいろクローバーZに続けと、女性アイドルグループが全国各地に誕生している。その数は500以上とも。「アイドル戦国時代」といわれる中、北陸3県で奮闘する「ご当地アイドル」を追った。華やかなステージにかける思いとは−。

手弁当で新幹線ソング

 Vienolossi(ビエノロッシ)。逆から読むと、富山県を代表する食材の名前に。「富山湾の宝石」と呼ばれるシロエビのようにピチピチと輝くアイドルを目指す。2013年3月から活動を始め、現メンバーは県内在住の中高生7人。

 「地産地消アイドル」を掲げ、ライブを行う自治体の特産物や地名の由来、ゆるキャラなどを勉強してからステージに立つ。「もっと地域密着度を高めたい」と、総合プロデューサーの相本芳彦さん(57)。今年は県内の全市町村に出向き、「ビエノ学宴」と銘打ったライブを展開する。

 デビュー1周年の3月には、約1年後に迫る北陸新幹線開業を盛り上げようと、イメージソングも手弁当で作る。作曲は鉄道の発車メロディーのカリスマとされる音楽家、作詞は県出身の作家に依頼。「ビエノのライブを見るため、東京から新幹線で北陸へ」。夢は、そんなツアーの誘致だ。

 メンバーは週1回集まり、歌やダンスを練習。1年弱で200公演をこなし、30分歌って踊り続けられる体力と度胸が付いてきた。「応援してくれる人が笑顔になると、うれしい」と、リーダーの島田理奈さん(15)。はじける笑顔で富山県を首都圏に売り込んでいく。

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除雪してからステージ

 同じく北陸の活性化をうたうのは石川県の「おやゆびプリンセス」。能登半島が突き出ている県の地形が親指を立てた手のポーズに似ていることから名付けた。こちらは「除雪アイドル」を名乗る。依頼されれば、会場の除雪をこなしてから、ステージに立つ。

 メンバーは中学1年生から20代の社会人で、現在は12人。寸劇やコントも時に盛り込み、楽しく元気なステージが持ち味だ。歌や踊りを見て「ファンの方が元気になり、その姿を見て、私たちも元気になる。そうした交流の楽しさを広めたい」と、リーダーの山本夏生さん(21)。

 「音響設備もない街頭で歌った時は正直グダグダになりかけ、駆け付けてくれたファンの存在で持ち直せた」と話す。最年少の吉谷帆乃花さん(13)も「覚えることが多くて大変だけど、できた時はうれしい。もっと県外に遠征したい」。大きな舞台にファンを連れて行くことが恩返しと、メンバーは練習に励む。

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素を出す異色ユニット

 「アイドルなんてなっちゃダメ!ゼッタイ! 将来だって保証はない〜」と、ポップな曲調に乗せて歌う福井県の「せのしすたぁ」は、DJやダンスミュージックが好きな若者からも注目される異色のグループだ。現メンバーは幼なじみの高校3年の2人。

 「普通のアイドルはニコニコしてファンを楽しませるけど、わたしたちは猫をかぶらず、はっちゃけて、自分らしさを出して盛り上げる」と、まおさん(18)はキッパリ。

 「日本のクラブシーンをぶっこわしたいね」と、ゆうほさん(18)。アイドルらしいステージや交流を期待する人から批判されることもあるが、「ずっと追いかけてくれる人もいる。ファンが一番大きな支え」と感謝する。

 音楽好きに評価される楽曲は、マネジャーの森永康之さん(39)がすべて手掛ける。以前は福井市の音楽制作会社で携帯電話の着信メロディーやテレビ、ゲームの音楽を担当していた。

 10代からレッド・ホット・チリ・ペッパーズやプライマル・スクリームといった洋楽のロックが好きで、日本のフリッパーズ・ギターや「渋谷系」の音楽も聴いていた。30歳のころ、SMAPのコンサートに連れて行かれ「アイドルソングってレベル高いなって。それまで洋楽・ロックが一番かっこいいと思っていたけど」と振り返る。

 最新作のアルバム「I′m sick!!!」は全国発売され、東京や京都などでもライブを予定する。「おもった以上に孤独だな」「賞味期限も長くはない」と、アイドル稼業の厳しさをうかがわせる歌詞も。練習や打ち合わせ、土日はほぼイベントが入り、同年代のようには遊べない。「世間の目なんて知らないよ! 完全にワタシアイドル」と別の曲では歌い、時に悩みながらも突き進む等身大の少女たちの姿が行間から伝わる。

 「できるだけ『素』の状態を出せたら。それはアイドルに限らず、若者ならではの魅力では」と、森永さんは話す。

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育てる過程楽しむ時代

駒沢女子大・石田教授

 「完成したエンターテインメントより、アイドルを育てる過程を楽しむ時代」と話す駒沢女子大の石田かおり教授(哲学的化粧論)に、アイドルの変遷を女性美の観点からひもといてもらった。

   ☆     ☆   

 アイドルの誕生は1970年代。欧米のファッションや文化に憧れていた日本人が容姿に自信を持ち始めたころと重なる。当時、ファッションモデルの山口小夜子さんがパリコレにデビューし、日本人形のような美しさが海外でも絶賛された。美の多様化のきっかけに。

 大女優といった雲の上の存在でなく、身近なきれいな人というイメージで、素人を発掘して売り出すことが本格化した。80年代に入ると、男性と同等に働くキャリアウーマンの概念も広がり、外見だけでなく、美しさの価値観にキャリア(職業、経歴)が加わった。

 ユニクロなどの影響で、90年代終わりから日本人のファッションセンスが底上げされた。80年代はブランド品を持てばオシャレとされたが、現代は多様な商品から取捨選択し、自分に合った表現が求められる。高度消費社会は「セルフプロデュース」の時代。アイドルも、プロが仕立てた存在から、自分が目指したり、育てることを楽しんだりする対象に。「参加型」の価値観や欲求が高まってきた。

 担当・押川恵理子

 ビエノロッシは富山県、おやゆびプリンセスは金沢市や小松市など、せのしすたぁは福井市内を中心にライブに出演している。県内外のライブやイベントの出演情報は各グループのウェブサイトで随時発信している。

 

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