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チュウモク 昆虫食

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 「昆虫食」への関心がじわりじわりと高まっている。見た目だけで、ゲテモノと侮ってはいけない。昆虫は栄養豊富で健康に良いとされ、「美肌効果がある」と興味を示す若い女性も増えているのだという。おいしい食べ物が何でも手に入る飽食の時代に、わざわざ昆虫を食べるのはなぜ? 昆虫食のイベントで実際に食べて、考えてみた。(担当・角雄記)

健康、美肌女性も興味

 お皿で運ばれてきた「虫オードブル」を目にして、思わずたじろぐ。つやつやしたコオロギとイナゴは、姿形が生きた時のまま。とてもじゃないが、食欲は湧かない。「虫のせ伊勢うどん」は遠めに見ただけでは分かりにくいが、のぞき込むと小さなウジのようなハチの子がうじゃうじゃ…。

 昨年11月下旬、東京都内で開かれた「東京虫食いフェスティバル」。20〜30代の若者を中心に100人が詰め掛けていた。

 虫のせ伊勢うどんはイベント向けの特別メニューだけあって、注文が殺到。用意された50食は開演とほぼ同時に完売した。かき混ぜてつゆとめんをしっかりと絡ませ、箸でめんを持ち上げると、茶色をしたハチの子がはっきりと見て取れた。思い切って口へ。味はほとんどしないが柔らかい食感だ。

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 虫オードブルは、アリの子入りジャムとイナゴのつくだ煮、コオロギソテーの3種。コオロギの足をつまみ、口に入れてみる。さくっとした食感で中はしっとり。塩味がきいて食べやすいし、なかなかいける。ただ「足」が口の中に残るのが少し困るぐらいか。

 イモムシをからっと揚げたフライドミールワームも、虫そのままの見た目でインパクトが強い。脂っこくて油分がしみ出るような感じだが、ナッツのような風味だ。タガメで香り付けしたテキーラもドリンクで注文。意外なことに、洋ナシを思わせる風味。これはおいしい。

 イベントは昆虫食ポータルサイト「むしくい」を運営するライターのムシモアゼルギリコさん、「昆虫料理研究会」代表の内山昭一さん(63)らが企画し、今回で5回目。参加者は2010年にあった第1回の約30人から徐々に増えてきた。以前にも昆虫を食べたことがある人がほとんどで、周りもパクパクと口に運んでいる。雑誌編集の笹山絵理さん(24)=東京都=は「タイへ旅行した時に初めて食べた。特に抵抗は感じなかったかな」と話し、虫をつまんでいた。

 食が進むにつれ、ギリコさんや内山さんらのトークも盛り上がりを見せ、「シロスジカミキリムシはマグロのトロのような味で一番のおすすめ」「中南米のゴキブリはうまい」との発言も。ほかにスズメバチ、セミなどがおすすめに挙がった。

 若者が多いのは好奇心が強いからか。昆虫食を卒論に選んだという東京都の男子大学生(24)は「昆虫食の記事をネットで読んで興味を持った。今日はいろいろと食べたけれど、少なくともまずいものは一つもなかった」と笑った。

 「皆さん、おいしかったですか」と主催者が最後に聞くと、満場の拍手が送られた。

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国連も「重要」、高い栄養価

 昨年は昆虫食が注目を集めた年になった。きっかけは、国連食糧農業機関(FAO)が同年5月に出した報告書。人口増加に伴う食糧難に対処するため、「昆虫の食料、飼料としての役割は重要」と結論づけた。

 報告書によると昆虫は栄養価が高く、タンパク質や良質な脂質、ミネラルに富む。世界では1900種以上もの昆虫が食されており、消費量では甲虫が最も多く、ほかはイモムシ、ハチ、バッタ、コオロギなどだ。

 飼育効率の良さや環境負荷の低さにも着目している。ウシには人間も食べる穀物や魚などが与えられるが、昆虫は主に人の食べない草木をタンパク質に変えてくれる。養殖が確立すれば、途上国に雇用や現金収入をもたらすとの見方がある。

 昆虫が食べられているのはタイやカンボジア、ケニアといったアジアやアフリカ、中南米の国々だ。それでもバッタを例に取ると、タイでは同じ量の豚肉の倍の値段がしたり、ウガンダでは昆虫を集める光を燃料高でたけずに価格が高騰したりと、供給が安定しているとは言いにくい。

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北陸でもかつて山間地で

 日本では主に山間地域でタンパク源として昆虫を食べる習慣があった。北陸地方ではかつて、白山麓でアシナガバチの幼虫やさなぎをクワの葉にくるみ、炭火で焼いて食べたといわれる。富山県氷見市でもイナゴを串に刺して焼き、みそで味付けして食べたとの記録がある。

 昆虫食へのなじみが薄れる要因に、内山さんは流通の画一化を挙げる。「食生活が西洋化し、食卓で昆虫を見ることがまずない」と分析。ただ「百聞は一見にしかずならぬ、百聞は『一食』にしかず」とも。「栄養価も高く、いいこと尽くし。まずは食べてみて」と呼び掛ける。

 

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