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popress【Attention!】注目のトレンドから地元の話題まで
 

若手弁護士、アーティスト 熱く叫ぶ 「改憲」知らねぇ? それヤバくね!?

音楽を披露するHibikillaさん(左)とDELIさん(中)=東京都内で

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 3年に1度の参院選が迫ってきた。アベノミクスや原発と並び、憲法をめぐる議論も活発だ。だけれども、「憲法を変えると何か問題があるの?」なんて率直な疑問を感じる若者も多いだろう。「当事者意識を持ってほしい」と願って活動する若手の弁護士やアーティストたちの動きを取材した。

国民の義務目立つ自民草案

紙芝居で立憲主義解説

 おのを持った王様の手に、「憲法」の文字の入った大きな重りのついた鎖が巻き付く。「王様が好き勝手できないように、王様を縛る決まりを作ったらいいじゃないか」と人々の声。紙芝居「王様をしばる法〜憲法のはじまり〜」の一場面だ。

 紙芝居は、王様の圧政に苦しむ架空の国で人々が「憲法」を生み出す物語を通し、立憲主義の成り立ちや考え方を解説している。作成したのは、20代後半から30代前半までの若手弁護士でつくる「明日の自由を守る若手弁護士の会」だ。

 会はことし1月に発足した。きっかけは、自民党が大勝した昨年12月の衆院選だ。自民党が昨年4月に発表した改憲草案に批判的だった若手弁護士たちが呼び掛け人となった。賛同する動きは全国各地に広まり、会員は現在、250人を数える。

(上)「表現の自由」が制限されると、権力を批判する出版やデモが制限される恐れを表す紙芝居(下)「憲法」が王様を縛る一場面

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「憲法の否定」に危機感

 どうして自民党の改憲草案に、これだけの若手弁護士が異を唱えるのか。呼び掛け人の1人の深井剛志弁護士(29)=東京弁護士会=は「自民党の改憲草案に沿って憲法が変われば、憲法が憲法でなくなる」と説明する。問題を読み解くキーワードは、紙芝居のテーマでもある「立憲主義」という。

 立憲主義とは憲法を作って権力者を縛り、国民の権利を守らせる考え方。ところが自民党の改憲草案は国民の権利を制限し、逆に国民に義務を説く表現が目につく。北陸地方から会員に名前を連ねる金沢弁護士会の徳田隆裕弁護士(29)は「立憲主義の趣旨とは正反対」と批判する。

 例えば「表現の自由」。現在の憲法はこれを無条件に認めているが、改憲草案では「公益及び公の秩序を害する」場合は認めないとする。権力者が「公の秩序」を口実にして、自らへの批判やデモなどの表現を規制してしまうことが可能とも読める。

 こうした問題点に対し、どうやって若者の関心を集めるかは課題の一つ。深井弁護士は「若い世代の間では憲法や政治の話題はとにかく拒否感が強いのでは」と難しい心情も吐露する。当面は若者の利用が多いフェイスブックやツイッターなどインターネット上のツールを武器に、情報発信に取り組んでいく方針だ。

「明日の自由を守る若手弁護士の会」の深井弁護士

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 紙芝居は、こう呼び掛けて終わっている。「政治をする人たちが憲法を守ってくれるのを待っているだけでは、なんにも変わりません。政治をする人たちが憲法を守るかどうか、私たちが見守っていかなければならないのです」

「大きな人権制約ない」

自民説明

 自民党は改憲草案のQ&Aで、「公の秩序」の考え方について、「反国家的な行動を取り締まることは意図しておらず、平穏な社会生活の意味」と説明。「これにより人権が大きく制約されることはない」と説明している。

表現の自由 音楽で訴え

ライブハウスで関心広げる催し

 自民党の改憲草案では「表現の自由」も規制されかねない。そこで、音楽やパロディーなどの表現活動を通して若者に憲法への関心を持ってもらおうという催しが5月下旬、東京都内のライブハウスで開かれた。「若手弁護士の会」の深井弁護士やヒップホップミュージシャン、若手政治学者らが活発に意見交換した。

 「国防軍なんていらねぇ」「ただちに影響はありません、が10年後の安全は未確定」

 ヒップホップやレゲエの音楽に乗せ、痛烈な言葉がライブハウスに響いた。自民党の改憲草案や民主党政権を批判する歌詞。発言者の1人は「自分たちがここで発言できるのも憲法が守ってくれるから」と力を込めた。

 主催したのは脱原発デモの参加者ら。表現の自由に焦点を当てた理由を、「賛否が分かれる憲法9条とは異なり、表現の自由はどんな考えを持つ人でも関わってくる。音楽なども交えれば若者にもとっつきやすい」と説明する。

 参加したヒップホップアーティストのDELI(デリ)さん(38)は「ジョン・レノンとか表現者は人と人をつなぐ影響力を持つから、権力は嫌がる」と指摘。レゲエミュージシャンのHibikilla(ヒビキラー)さん(33)は「言葉を扱う立場からすると、改憲論には言葉のまやかしを感じる」などと率直な感想を語り合った。

 担当・角雄記 ※次回は6日付Work&Life。「お金の使い方で社会は変わるか」を考えます。

 

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