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popress【Attention!】注目のトレンドから地元の話題まで
 

伝統の重み痛感 もやしっ子記者 塩づくり体験

海水をくみ上げる志村記者。塩田まで50メートルほど運ぶと息も絶え絶えに…

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 石川県輪島市の白米(しろよね)千枚田の一角を借りて稲を育て、先月収穫したポプレス編集部。ちょうど千枚田から車で20分ほどの「奥能登塩田村」(珠洲市)で、400年以上も前から続く「揚げ浜式製塩」が体験できるとか。よし、それなら塩むすびにして食べよう! 重労働とのうわさにもめげず、志村拓(25)、日下部弘太(30)のもやしっ子記者2人が向かった。

ほぼ手作業1週間

 低い雲が空を覆い、海からの風は雨粒交じり。9月中旬、塩田村に着いた志村、日下部の2人は到着早々、「浜士(はまじ)」と呼ばれる職人の登谷(とや)良一さん(64)に「きょうは無理だね」と告げられた。ガーン…。塩田での作業に晴天は欠かせない。が、見かねた登谷さんのご厚意で「水まき」(潮まき)だけ体験させてもらえることになった。

 塩作りはほぼ手作業で、完成まで1週間かかる。海水をくんできて、砂を敷き詰めた塩田にまき、天日で乾かした後にその砂を集める。そこに上から海水を注ぎ、15%の濃い塩水を抽出。これを6時間、18時間と2度煮詰め、釜の底の結晶を取り出して乾燥させるとようやく塩ができあがる。

(上)かっこよく潮まきしているつもりの日下部記者。本職の登谷さんとの違いは一目瞭然(下)豪快に潮をまく浜士の登谷さん。手おけから飛び出した海水が軽やかに散った

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「潮まき10年」奥深く

 さっそく、砂場に海水をまく水まき作業をやらせてもらった。登谷さんのお手本は、手おけを飛び出した海水が霧状に散り、パサッと軽やかに砂の上へ。2、3メートル先まできれいな扇形ができる。「なんだ、簡単じゃん」と高をくくっていた2人も手おけを一振り。が、水はボチャッと音を立てて足元に墜落。水たまりが広がり、なんとも格好が悪い。

 「もっと勢いよく」「手首をひねって」と助言を受けるが、動きはぎこちないまま。「『潮まき10年』という浜士の言葉もある。私も最初の5年はやらせてもらえず、海に入って1人で練習したよ」と登谷さんが懐かしそうに振り返った。「奥が深い…」と日下部記者がぽつり。結局、30分もの間、あらぬ方向に海水をぶちまけ続けた。

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夏は海水1日800リットル

 晴れ間を見て、後日志村記者は水くみと砂集め作業も体験した。

 「揚げ浜」の由来となる海水のくみ上げは、おけをてんびん棒の両端につり下げ、担いで50メートルほど先の海に入る。腰をかがめ、体験用の20リットルのおけに海水を満たすと、両肩に痛みが走ってバランスを保つのも一苦労。きつい…。息も絶え絶えになった。

 登谷さんによれば、約660平方メートルの塩田に必要な海水は8月の最盛期で1日800リットルにもなるという。浜士たちは連日、一度に60リットルほどの海水を担ぎ、軽快に海岸と塩田を行き来する。

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1時間で体が悲鳴

 最後は、海水をまいて乾燥させた後の塩田の砂を集める作業。シャベルのような木製の道具ですくって1カ所に積み上げる。こちらは、1時間ほどで腰と腕が悲鳴を上げた。

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 塩水を分けてもらい、できた塩は40グラム。純白の結晶を手に「同じ能登の米との相性は抜群」と登谷さんが太鼓判を押す。早く食べたい! 翌日全身を襲った筋肉痛に、能登の伝統技術の奥深さと重みを、痛いほど感じたのだった。

 奥能登塩田村 石川県珠洲市の仁江海岸で江戸時代から続き、国重要無形民俗文化財にも指定されている「揚げ浜式製塩」を受け継ぐ施設。塩の生産販売のほか、資料館や道の駅を併設している。塩作り体験は5〜9月。石川県珠洲市清水町1の58の1/(電)0768(87)2040

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サイダー、カクテル…「味わい深さ発信」

奥能登塩田村

 塩のおいしさや魅力を幅広い世代に伝えようと、奥能登塩田村では飲み物への商品展開にも力を入れている。

 併設する道の駅では、2009年に「しおサイダー」を発売。人気を集め、今年7月からは「塩ラムネ」を施設限定で販売したところ、5000本が2カ月弱で完売した。「子どもたちにも塩への興味が広がることを期待したい」という。

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 金沢市片町のバー「ジガーバーセントルイス」では、塩田村と共同開発したお酒が楽しめる。しおサイダーを使ったハイボールや、塩を使ったオリジナルカクテルは、さわやかな味わいが女性客に好評だそうだ。マネジャーの安田武史さん(41)は「伝統ある揚げ浜式の塩作りは地元の誇り。お酒と合わせ、塩の味わい深さを発信したい」と話している。

 ※次回は27日付Love&Sex。「人ごとじゃない、薄毛」を特集します。

 

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