トップ > 北陸中日新聞から > popress > Attention! > 記事

ここから本文

popress【Attention!】注目のトレンドから地元の話題まで
 

心も通う 物々交換

 エコな暮らしが求められる昨今、要らなくなった物を取り換える物々交換が注目を集めている。金沢市では主婦が日用品を持ち寄る会を開催。ごみの減量にもつながる集まりとして、じわじわと取り組みの輪を広げている。一方、若者の間で根付きつつあるのが本の交換イベント。お気に入りの1冊を通して交流を深めている。(メーン担当・奥野斐、佐藤航 サブ担当・大野暢子)

写真

市場のようなにぎわい

 机いっぱいに置かれた食品や衣類、器などの日用品に、周りから次々と手が伸びる。「そのインスタントラーメンほしい!」「じゃあ、そっちの英字新聞で作ったごみ箱と交換して」。あちこちで交渉が始まった。まるで、活気ある市場のようなにぎやかさだ。

 金沢市の主婦博子さん(38)=仮名=は月1回、自宅で物々交換会を開いている。「もらっても使っていない物って結構ある。自分には必要なくても、他人には欲しい物もあるはず」。そんな思いで2年前に始め、友人らに声を掛けてこれまでに20回以上も開催。参加者は人づてに広がり、県内各地から集まるようになった。

 持ち寄る品は基本的に何でもありだ。売るほどでもないが、捨ててしまうにはもったいない。そんな物を交換すれば、エコなだけでなく、節約になって家計も助かる。博子さんは「物を介して会話が弾み、人脈が広がる。誰がどんなふうに使ってくれるのか分かるのもいい」と魅力を語る。

 一見役に立たなそうな物でも、お互いが納得すれば交換は成立する。かつてはアイスキャンディーの棒10本が出品され、園芸プランターに挿す名札として持って帰った人がいた。同じ形のプリンの空き瓶10個セットも人気を集めたという。

 「『一体こんなの何に使うの?』と聞くのも面白い」と参加者の1人、金沢市の斉藤美知代さん(36)は笑う。捨てる神あれば拾う神あり。昔ながらの物々交換だが、エコが求められる現代には見事にマッチしている。

写真

愛読書の魅力プレゼン

 「どんな理屈でタイムマシンができるのか。物理だけでなく、哲学や文学の要素もあるんですよ」。1冊の本を手に、その魅力を語る男性。熱の入ったプレゼンに、聴衆も思わず興味を引きつけられている様子だ。

 今月上旬、石川県野々市市のカフェ「五十川(いかがわ)堂」で、物々交換ならぬ「ブクブク交換」というイベントが開かれた。「フェイスブック」などで集まった約15人が、一押しの本を持参。感想や面白さなどを語り合った。

 プレゼンが終わった後は、いよいよ交換タイム。テーブルの上に並べ、1冊ずつもらい手を決めていく。ここで気になるのは自分の本の行方。「娘を嫁に出す親の心境みたい」。絶妙な例えも挙がり、会場はこの日一番の盛り上がりになった。

 タイムマシンの本など3冊を持ってきた金沢市の川上功雄さん(35)は、武者小路実篤の「友情」などを選択。「こんな機会がないと手に取らない分野」という。同市の越田恵未さん(27)は「人それぞれ感性が違うのも面白い」と振り返った。

 2010年に東京で始まったブクブク交換。本を介した新しい交流の形として、若い世代を中心に広まり、今や全国各地で開かれるイベントになっている。今回の集まりを企画した高西順子さん(30)は「価値観の違う人同士が、本を通して感覚を共有できる」と魅力を語る。単に本を取り換えるだけでなく、人前で自分の思いを示し、共感を得る楽しみもあるようだ。

 ちなみに次回は4月21日を予定。問い合わせは五十川堂=電076(255)7240=へ。

 

この記事を印刷する

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索