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popress【Attention!】注目のトレンドから地元の話題まで
 

“個”の輪 可能性∞ 新しい働き方「コワーキング」

コワーキングの体験イベント。共用デスクを囲んで会話も弾む

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 企業に属さずフリーで働く人たちの間で近ごろ、「コワーキング」という働き方が広まりつつある。それぞれ仕事を持つフリー同士が1カ所に集まって働くスタイルで、情報やアイデアを共有する狙いがあるという。ここ数年で、都内や関西を中心にコワーカーを受け入れるスペースが急増。北陸でも定着を目指す動きが出ている。 (担当・佐藤航)

共用デスク囲み雑談

 デザイナーにフリーアナウンサー、インターネットショップ経営者に起業家−。今月10日、神戸市中央区のワークスペース「カフーツ」では、さまざまな職を持つ男女が共用のデスクを囲んでいた。コワーキングを体験するイベントに参加するため、兵庫県内や大阪からやってきた人たちだ。

 ネットの告知を見て集ったメンバーは、ほとんどが初対面同士。まずは名刺交換と自己紹介に始まり、それぞれ仕事内容を説明し合う。その後は全員が持ってきたノートパソコンを広げ、話題に関わる情報を得ながら雑談を続ける、といった雰囲気になった。

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 ネット上で輸入サングラスのショップを開く樺山多加良(たから)さん(38)は、最近コワーキングという働き方を知ったという。「フリーで働く人間にとっては最高の方法やんか、と。異業種の人らと話す機会もできるし、コラボは絶対に生まれるだろうと思ってます」

人脈広がる助け合う

 コワーキングは英語で書くとCoWorking。「共同」「相互」の意味を持つ「Co」に、「Working(仕事)」を合わせた言葉だ。2000年代にサンフランシスコやニューヨークのフリーエンジニアが寄り集まって働くようになったのが始まりで、拠点となるスペースは世界各地で増えている。

 国内でも2010年のカフーツを皮切りに、都内や関西で相次いでスペースがオープン。特にこの1年は急激に増え、直近で50カ所を超えるまでになった。利用料金を支払うシェアオフィスやカフェ形式など体裁はさまざまだが、多くは利用者同士がコミュニケーションを取りやすいよう、仕切りのないオープンスペースになっている。

LANやプロジェクター、マイクなどコワーキングの環境が整う=いずれも神戸市中央区の「カフーツ」で

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 なぜ今、コワーキングが広がっているのか。IT社会の進展でフリーのウェブワーカーが増えたことに加え、カフーツ代表の伊藤富雄さん(54)は「単に仕事場を分け合うだけでなく、互いに助け合うことができる」とメリットを強調する。

 「エンジニアもデザイナーも、1人で完結できない仕事は多い」と伊藤さん。だが、自宅オフィスと顧客を行き来するだけでは「横のつながり」は芽生えにくい。一方、コワーキングなら人脈が広がり、仕事を共有することもできる。実際にカフーツでは、伊藤さんが受けたウェブの仕事を、利用者とチームを組んで対応することも少なくないという。

野々市でもイベント

 こうした動きを、利用者はどう見ているのだろうか。コワーキングを実践する石川県野々市市のカフェ「五十川(いかがわ)堂」を訪ね、実感を聞いてみた。

 取材した日は、ちょうどコワーキング関連のイベントの最中。店の招きで東京から来たというフリーエンジニアの地蔵(ちくら)真作さん(46)は「人間が集まって話せる、ということ自体が面白い」と魅力を話す。

北陸でのコワーキング定着を目指す石川県野々市市のカフェ「五十川堂」

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 普段は都内のコワーキングスペースに週1で通っているという地蔵さん。「以前は『いつも1人で過ごしている』という感覚があった」といい、フリーならではの孤独感を味わっていた。今は同業者や異業種の人との雑談の中で、仕事への刺激やヒントを得ることもあるという。

 個々の恩恵だけでなく、広く地域社会全体のメリットを挙げる人もいる。五十川堂を営む五十川員申(かずのぶ)さん(28)は「コワーキングが根付けば、地方都市でも優秀なエンジニアや若い起業家が集まりやすくなる」と指摘。「理想は県外や海外から仕事を引っ張ってくること。そうなれば雇用も生み出せるんじゃないか」と訴えている。

 

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