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popress【Alternative】サブカルチャーなど、新聞らしからぬ?話題
 

金沢でJazzを聴く

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 「ジャズ喫茶」をご存じだろうか。店内に大型のスピーカーを据え付け、コレクションしたジャズレコードを流す喫茶店の総称だ。1970年代ごろまでは、高音質でジャズを聴ける場所として人気を集めた。CDの普及などであまり見られなくなったが、今も熱心なファンが集う場所になっている。往時の雰囲気を残す金沢市中心部の店を回り、奥深い魅力を味わった。(メーン担当・宮畑護 サブ担当・福本英司、佐藤航)

【店主おすすめ】ジョン・コルトレーン「アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード」(1961年録音) コルトレーンらしい1枚。バラードを聴かせるアーティストは良いアーティストだと思う。そして、なんといっても自分がいいと思うから。今の若い人も聴けるんじゃないかな。やっぱりかっこいいですよ。

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色あせない魅力

 金沢市香林坊の大通りを1本裏に入った脇道で、名ピアニスト、セロニアス・モンクのシルエットをデザインした赤と青の看板が目を引く。1969年に開店したジャズ喫茶「YORK」。40年余りの歴史を持つ金沢の老舗だ。

 薄暗い店内。落書きされたすすけた壁。さほど広くない店内に大音量のジャズが響く。棚に収められた約3000枚のレコードはどれも年季が入り、ジャケットの背は破れて茶色くなっている。

 「今はいろんな音楽があるけど、当時、私にとって一番熱狂できるのがジャズだった」。店主の奥井禎子さん(64)は振り返る。音楽が多様化した今、かつてほどジャズを聴く人は多くないが、信念を持って店を続けている。「文学や音楽には時代に左右されない普遍性がある。もちろんジャズにもね」

 古くからの常連客に混じり、近ごろは親の影響を受けて訪れる若者も多いという。「今の若い人が聴いても絶対に格好良いと思うはず」。そう言って、デューク・エリントンの「マネー・ジャングル」などお薦めのレコードをかけてくれた。

【店主おすすめ】カーティス・フラー「ブルースエット」(1959年録音) この時代の最高のミュージシャンが集まって、美しい演奏を聴かせてくれている。今、普通に生活している中では絶対味わえない音楽。今の時代に失われてしまったロマン、センチメンタル、すべてが詰まっている。

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輝く演奏シーン

 YORKから歩いて5分ほど。金沢市役所近くの飲食店街に店を構える「もっきりや」はたびたびライブを開いており、生の演奏を楽しむことができる。

 広い店内で、グランドピアノがひときわ存在感を放っている。「ナベサダ」の愛称で知られるサックス奏者の渡辺貞夫さん、世界的ピアニストの山下洋輔さんら、そうそうたるビッグネームもここで演奏してきた。

 店主の平賀正樹さん(61)は言う。「ピュアにジャズを演奏する姿って素晴らしいよね。聴く人は減ったし、うちも昔のいわゆる『ジャズ喫茶』とは違う。けど、自分の店は真面目にジャズをやり続けるよ」

【店主おすすめ】セロニアス・モンク「セロニアス・ヒムセルフ」(1957年録音) ジャズのすべてがこのレコードにある。そして、新しいものを生み出そうというパッションを感じる。変わっていて上手には聞こえないけど、ひとたび好きになると、ほかのピアニストはすべて普通に聞こえてしまう。

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大音量でいい音

 尾山町にある「穆然(ぼくねん)」には、特注で改造した大型スピーカーがカウンター越しに鎮座する。

 70年代の米JBL社製というそれは、気温や電圧などに影響を受け、日によって微妙に音が異なる「気難しい一面」もある。店主の河嶋克彦さん(52)は毎日、スピーカーの機嫌に合わせてアンプを調整。目の前で往年のアーティストが演奏しているかのような、臨場感あふれる音を響かせている。

 ジャズ喫茶の特徴の一つが、家庭用のスピーカーでは難しい高音質と大音量。「なるべくCDではなく、レコードをかけている」と河嶋さん。アナログレコードの柔らかい音を大きな音で流すからこそ、ジャズの良さが伝わると信じている。

 

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