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popress【Alternative】サブカルチャーなど、新聞らしからぬ?話題
 

素の自分 解き放つ コスプレ なりきる魅力

【上】「イナズマイレブン」の佐久間次郎=あみさん/キャラクターの特徴である眼帯は段ボールなどで自作。ウイッグも原作に合わせて髪形を整えた。【下】「カードキャプターさくら」の木之本桜=みなこさん/今回は市販の衣装を着用。手にするスティックは小学生の時に買った思い出の品。

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 アニメや漫画の登場人物をまねた衣装をまとい、心身ともに憧れのキャラクターになりきるコスプレ。衰えを知らない日本アニメの人気を背景に、その愛好者は全世界に広がっている。これほどまでに多くの若者を引きつけるのはなぜか−。北陸で開かれたイベントに行って、コスプレの魅力を探ってみた。

イベントに100人超

 9月下旬。金沢市郊外の湯涌温泉からほど近い広場に、カラフルなコスチュームに身を包んだ100人超の男女が集まった。北陸を拠点に活動する団体「キャラステージ」の定例イベントで、コスプレ姿の写真撮影や、参加者同士の交流が主な目的だ。

 人気漫画の「ワンピース」や「忍たま乱太郎」をはじめ、好みのキャラクターに扮(ふん)して気分を盛り上げる参加者たち。ポーズを取りながら互いの姿を写真に収め、衣装の出来栄えを競い合った。

 その中の女性2人連れに話を聞いた。イベント運営に携わっている会社員のあみさん(25)=金沢市=と、みなこさん(26)=富山市、いずれも仮名=だ。

 サッカーアニメ「イナズマイレブン」のコスプレで参加したあみさんは、自作のユニホームとハーフパンツを着用。「市販だと色や着丈がアニメに忠実じゃない場合がある」ため、一日がかりで縫い上げた。

 みなこさんは、アニメ「カードキャプターさくら」のヒロイン姿。この日は市販の衣装だが、やはり普段は手作りすることが多い。アニメならコマ送りして、漫画は何度も読み返して、コスチュームの特徴を確認。細部までこだわって劇中の雰囲気を再現している。

 2人ともイベントで撮った写真は、愛好者が集うインターネット上の専用サイトで公開している。「同じ趣味の人同士で交流を広げたい。自分なりのこだわりを人に見てもらうのも楽しいですね」と、あみさんは声を弾ませた。

人気漫画「ワンピース」のコスプレをした男女3人組=金沢市の金沢湯涌創作の森で

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日常から気分転換

 大の大人が熱中するコスプレには、どんな魅力があるのか。コスプレ歴が10年のあみさんは「日常からの気分転換」を真っ先に挙げる。会社勤めは「仕事や人間関係でストレスがたまる」といい、好きなキャラクターになりきることで、気分転換を図っている。

 アニメ好きが高じて大学時代からコスプレを始めたみなこさんは「全く異なる人物になりきることで、いつもとは違う自分を見つけられる」と感じている。イベント会場で衣装に着替え、カメラを向けられると「自分の中でスイッチが切り替わり、しゃべり方も変わってくる」。

特殊な趣味だから

 もちろん、2人とも普段からアニメ風の格好をしているわけではない。むしろ平日は「カーディガンにきれいめスカート、ジーンズなどの落ち着いた服装」なんだとか。みなこさんは「コスプレはまだ特殊な趣味。社会の理解は十分でなく、おおっぴらにするつもりもない」という。

 イベントを運営するキャラステージは、ホームページで「コスプレは自己表現の一つの形」とうたっている。世間体を気にして、なかなか「素の自分」をさらけ出せない現代社会。コスプレイベントは、さまざまな制約に縛られがちな自らを解き放つ貴重な機会になっているようだ。

撮影機器 進化も背景に

「コスプレ女子の時代」(KKベストセラーズ)などの著書があるノンフィクションライター杉浦由美子さんの話 コスプレは1960〜70年代の漫画イベントなどで、一部の愛好者が登場人物に扮(ふん)するようになったのが始まり。90年代以降は、衣装に「かっこいい」「かわいい」ものが増え、「コスプレ」という言葉が一般にも浸透していった。現在は、写真をかわいく撮影することにも主眼が置かれている。今の子は「努力してきれいになる」のに後ろめたさがない。普段とは違う自分をつくり出すことが、一つの娯楽になっている。背景には、カメラなどの撮影機器が高性能化し、インターネットでの情報発信が簡単になってきたことも挙げられるだろう。

世界各国から愛好者が集まる「世界コスプレサミット」。ポーズを決めて記念撮影に納まる参加者たち=名古屋市中区で

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 日本のアニメや漫画が世界的に高い人気を呼び、「クールジャパン」ともてはやされて久しい。コスプレも「日本が世界に誇る一大コンテンツ」(キャラステージ)として、愛好者は国内外で増加傾向にある。

 愛知県内では2003年から毎年、外務省やテレビ愛知などでつくる実行委員会が「世界コスプレサミット」を開催。世界中からファンが集い、交流会や撮影会、パレードなどを楽しんでいる。

 衣装や演出の完成度を競う「チャンピオンシップ」の出場国は当初、日本を含む7カ国だけだったが、今年は17カ国までに増加。サミット全体では約80万人が参加した。北陸では07年に立ち上がった「キャラステージ」が、石川、富山両県で月2回ほどイベントを開いている。毎回150〜180人が参加。20〜25歳が中心で、約9割を女性が占めるという。

 

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