トップ > 北陸中日新聞から > popress > Alternative > 記事

ここから本文

popress【Alternative】サブカルチャーなど、新聞らしからぬ?話題
 

ダメ。ゼッタイ。 の真実

 「ダメ。ゼッタイ。」−。薬物乱用防止の啓発で使われるキャッチフレーズだ。しかし、頭ごなしに「ダメ」と言うだけで従うほど、人は単純ではない。事実、日本でも、身を滅ぼすドラッグは蔓延(まんえん)しており、今日も何人もがハマっていく。なぜ「ダメ」なのか、国内の法律は世界的に「絶対」なのか、実態を探った。(担当・山田晃史)

脳萎縮 死亡の危険 

 ドラッグと一口でいっても、さまざまな種類がある。知らないうちに接近するのを防ぐには、種類ごとの人体への影響や形状、呼び方を押さえておくことが重要。代表的なドラッグの特徴をまとめたのが、以下の一覧表だ。

 大別すると、高揚感をもたらすアッパー系、気持ちを落ち着かせるダウナー系、幻覚が起きるサイケデリック系−となる。

 言うまでもないが、いずれも身体に及ぼす悪影響は大きい。気分がよくなるどころか、逆に不安に襲われてパニックになったり、ひどい吐き気をもよおすといった「バッドトリップ」に見舞われたりする。

写真

 また、使用を続けると脳の中枢神経にダメージを与え、脳が萎縮するとの研究結果も。覚せい剤、MDMA、コカイン、ヘロインに至っては、大量摂取による急性中毒で死亡する危険性がある。

写真

(1)強烈な高揚感。疲労感がなくなる(2)脳を破壊し、続けると恐ろしい幻覚を見るなど錯乱状態に。心不全や不整脈などの恐れがあるほか、激しい脱力感が襲うことも (3)白色粉末または透明の結晶で注射による摂取が多い

 別名 シャブ、エス、スピード

写真

(1)覚せい剤よりも陽気になるが、持続時間が短い (2)吐き気をもよおしたり、食欲が無くなったりする。続けると虫が皮膚内を動き回るなどの不快な幻覚の精神障害が現れ、心疾患も誘発する (3)白色結晶状の物質で鼻から吸入する摂取が多い

 別名 C、コーク、ホワイト、スノウ

写真

(1)高揚感に加えて他者への愛情が増す。幻覚が現れることも (2)不安、けいれん、睡眠障害。続けると錯乱状態になり、腎臓や肝臓の障害、記憶障害を引き起こす (3)カラフルな色合いとデザインされた刻印がある錠剤

 別名 エクスタシー、バツ、玉

写真

(1)ものがゆがんだり、変色したりと強烈な幻覚 (2)恐ろしい幻覚により、ビルから飛び降りる事故も起きている。吐き気や下痢 (3)乾燥したキノコが多く、食べて摂取する。バッドトリップしやすい傾向があるとも

 種類 ヒカゲシビレタケ、アオゾメヒカゲタケ

写真

(1)意味もなく幸せな気分になり、無気力にも (2)嘔吐(おうと)や下痢のほか、筋肉や骨が粉々になるかと思うほどの激痛や失神などの激しい禁断症状が出る。大量摂取で死亡 (3)白色粉末や茶色のタール状。中毒者は主に注射を使う

 別名 H、スマッシュ、ホース、ガム

写真

(1)気持ちが落ち着き、感覚が研ぎ澄まされたように思える (2)集中力、忍耐力が低下。物忘れが多くなることも。肺気腫や肺がんも引き起こす(3)乾燥した葉や黒い塊などの形状。摂取は主に吸煙で、煙は甘い香りがする

 別名 ハッパ、ガンジャ、クサ、チョコ

大麻規制 国でばらつき

写真

 コカインやヘロイン、覚せい剤などのいわゆる「ハードドラッグ」のほとんどは、日本だけでなく各国で厳しく取り締まられている。だが、大麻の所持に関しては、地図のように国によってばらつきがある。

 日本で大麻が違法とされている理由について、厚生労働省は「精神毒性と依存性があり、公衆衛生上の危害が発生する」とその有害性を強調する。

 2009年に国内で措置入院させられた薬物中毒者で大麻を使用した人はほぼ半数。さらに、日本を含む世界百数十カ国が麻薬の流通を規制するために結んでいる条約で、麻薬に指定されていることも挙げた。

 ただ、オランダなど「寛容政策」を取るほかの加盟国との差があるのも事実。厚労省の担当者は「これらの国は日本よりも薬物汚染が広がりすぎていて、大麻まで取り締まる余裕がないのが実情」と説明する。

 日本の大麻規制には異論を唱える人もいる。中部大総合工学研究所の武田邦彦教授は「もともと日本人に大麻を吸う習慣はなく、麻薬としての効果は少ない」と話す。

 根拠として、世界保健機関(WHO)の1970年の報告で「衝動的な行動や吸う量の増加など、激しい障害や習慣性、麻薬特有の禁断症状は認められていない」とされた点を挙げる。

 ただ「大麻を経験した人が麻薬は大したものではないと思って、覚せい剤やヘロインに手を出してしまう危険性がある」と指摘した。

写真

幻覚 記者が疑似体験 

 麻薬中毒者が摂取を急にやめると起きる禁断症状の中でも、恐ろしいとされる「幻覚」。症状を知るため、本紙記者山田晃史(25)が幻覚を体験できる機械を使ってみた。

 機械を装着すると、まず部屋の中にいる男性の姿が視界に飛び込んでくる。「大丈夫ですか」と話しかけられた直後、どこからともなく声が聞こえてきた。「きみはまともだ」「毒だぞ」…。

 出所の分からない男女の声に気を取られていると、向かい側の男性の顔に異変が。赤く変色し、輪郭がゆがむ。悪意に満ちているようにも見える。

 視界を男性から外すと、今度は虫、カラスが不気味にうごめくのが見える。その間も、意味不明な声がやむことはなかった。

 ここで、終了。わずか数分間の体験だったが、変な汗でびっしょり。これで日常生活を送るのは難しい。二度と味わいたくないと思った。

「富山ダルク」責任者 林敦也さん

生活を支配される

 薬物依存症者を支えるリハビリ施設「富山ダルク」(富山市)の責任者林敦也さん(36)の話 自分も大麻や覚せい剤を使ったことはあるが、ドラッグの本当の怖さは、それによって生活を支配されてしまうこと。気持ちよさは一瞬だけ。「また使いたい」と依存し、不安を薬物で解消するために繰り返してしまう。続けるうちに幻覚や幻聴が出てくるのに加え、脳や内臓が壊れ社会生活が送れなくなる。最終的に薬物を絶てたとしても、身体的に元に戻れない人が多い。断る勇気を持ってほしい。

 

この記事を印刷する

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索