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「富富富」収穫の秋 富山県産米の新品種

刈り取り作業が始まった富山県の新ブランド米「富富富」=13日、富山県魚津市大海寺野の「農事組合法人NAセンター」実証ほ場で

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来月、初の一般販売 魚津など

 来秋の本格販売を控える富山米の新品種「富富富(ふふふ)」の収穫が十三日、富山県内各地で始まった。県が開発し、コシヒカリを超えるブランドへ育てようと期待をかける。十月に富山市で開くイベントを皮切りに、県内や東京都で初めて一般向けに販売する。(山本真士、渡部穣)

 県は今年、最適な栽培方法を調べるため、県内二十三カ所の水田計七万六千平方メートルで試験的に栽培している。三十八トンの収穫を見込み、半分の十九トンは限定的な一般販売、残りは試食や評価などに使う。

 魚津市の実証ほ場約三千平方メートルでは、同県の石井隆一知事や、ほ場を管理する「農事組合法人NAセンター」代表理事の馬場(ばんば)均さん(63)が稲刈り機に乗り、黄金色に実った稲を刈り取った。馬場さんは「この日が待ち遠しかった。(富富富は)背が低くて倒れにくく、刈り取りやすかった」と目を細めた。

 販売は十月七日に富山市総曲輪のグランドプラザで開くイベントから始める。その後、同市新富町のアンテナショップ「ととやま」や都内のアンテナショップ「いきいき富山館」「日本橋とやま館」で販売する。 

コシヒカリ超え挑む 暑さに強く/浸透課題

 収穫が始まった富山米の新品種「富富富」。富山県内で広く栽培されるコシヒカリの弱点を克服すべく、長年の研究の末に誕生した。最大の特徴は近年の温暖化に対抗できる暑さへの強さ。県はコシヒカリを上回る価格での流通を目指すが、農家や消費者に売り込む戦略はまだ描けていない。

 県内の米生産は、消費者に根強い人気を誇るコシヒカリに偏る。二〇一六年度の作付面積に占める割合は75・1%と圧倒的。しかし、コシヒカリは出穂後に高温が続くと品質が低下しやすい。猛暑だった一〇年や一三年は一等米比率が大幅に下がり、多くの農家が打撃を受けた。

 県農業研究所は、代替品種を開発しようと、耐暑性に関わる稲の遺伝子を〇三年から調査。七年がかりで特定した。さらに交配を進め、味も良く、収量が多い系統を絞り込み、富富富が生まれた。日本穀物検定協会(東京都)などから「うまみ、粘り、香りとも良好。全体的なバランスが優れている」との評価を得た。

 富富富はコシヒカリ超えと同時に、産地間競争での生き残りにも期待がかかる。一八年の減反廃止が迫る中、全国の産地では新品種が相次いで登場し、“ブランド米戦国時代”の様相。石川県では「ひゃくまん穀」が今秋、福井県では「いちほまれ」が来秋から本格販売される。

 富富富は来秋の本格販売を予定するが、販路やターゲットは定まっていない。富山県内の農業団体の代表者らを集め、八月に開かれた生産・販売戦略の検討会議では、戦略がいまだに固まっていないことを危ぶむ声が出席者から上がった。

 県は今年収穫した富富富に対する評価などを基に戦略を練る方針。石井隆一知事は「富山米を代表するブランドにすべく最大限努力する」と宣言した。日本有数の米どころの生き残りを懸けた戦いが、いよいよ本格化する。

 

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