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富山発 世界へ 共生の「虹」を 国際演劇祭 今夏開催

開催の意義を語る鈴木忠志氏。右はシアター・オリンピックス国際委員長のテオドロス・テルゾプロス氏=8日、東京都内で(山森保撮影)

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ロシアと共催

 国際的な舞台芸術の祭典「シアター・オリンピックス」が、二十カ国が参加して八月二十三日から一カ月間、富山県南砺、黒部両市で開催される。国内では一九九九年の静岡県以来、二回目。今回はロシアの古都サンクトペテルブルク市と、初の二カ国共同開催となる。八日に日ロの関係者が東京都内で記者会見した。

 シアター・オリンピックスは世界の第一線で活躍する演出家、劇作家により創設され、一九九五年のギリシャを初回にこれまで世界八カ国で開催されてきた。シアター・オリンピックス2019実行委員会主催。オリンピックス国際委員の一人で、南砺市利賀村を拠点に活動する劇団SCOT(スコット)主宰の演出家・鈴木忠志(ただし)氏が日本側の芸術監督を務める。

 約二十の作品が上演され、シンポジウム、ワークショップなどを計画し、ロシア側は「演劇年」の主要イベントの位置付けで六〜十一月の長期開催となる。会場は県利賀芸術公園(南砺市)、宇奈月国際会館「セレネ」、前沢ガーデン円劇場(黒部市)、ロシアは国立アレクサンドリンスキー劇場(サンクトペテルブルク市)を主会場に、沿海地方のウラジオストオクでも上演する。

 富山県文化振興課によると、事業費は概算で十億円。国、県、地元の南砺、黒部両市が補助金を出し、財界も寄付などで支援する。期間中、延べ一万五千人の来場を見込む。

 今回のシアター・オリンピックスのテーマは「Creating Bridges」(懸け橋を創る)。利賀に拠点を移し43年を迎える鈴木忠志氏(79)は会見で「橋でなく、虹をかけたい」と、利賀、富山からの世界発信に意欲を示した。

 「グローバル化とともにすべてが均一化してきた」。国際委員長の演出家テオドロス・テルゾプロス氏(ギリシャ)が、訴えたのは世界情勢への危機感だった。「それぞれ異なる創造があっていい、いろんな伝統があっていい。異質なものを受け入れ、新たに創造する大切さを訴えていきたい」

 鈴木氏も応じ「世界は分断や亀裂が入る情勢にある。芸術家として人類に貢献できる普遍的価値を提供していきたい。異質なものに橋を懸ける。私は橋でなく、もっと明るく虹をかけたい」と述べた。

「地方には国際的財産ある」

 鈴木氏はまた「サンクトペテルブルク市は人口五百三十五万人の大都市、劇場の収容人員も千人近い。一方、利賀の人口は約五百人で、劇場には築百年、二百年の農家も使っている。共同開催にみんな驚いてほしい。日本の地方には、国際的な共同事業ができる財産があることをもっと知ってほしい」と語った。

 石井隆一知事は「日本の政治や経済、金融は東京一極集中になっている。東京から地方へ人の流れをつくるのが地方創生のテーマであり、モデルケースになる」と期待した。

 会見では、若い人たちをどう呼び込み、限られた収容スペースで観劇してもらうかも課題に上った。実行委会長に就いた吉田忠裕・前YKK・YKK AP会長は「情報提供のほか、交通手段や宿泊などを含めて検討し、準備を進めたい」と述べ、観劇料の割引を検討する考えを示した。

 

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