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摂食障害 就労の力に 経験者が支援 金沢に施設誕生

摂食障害を経験したスタッフの山口いづみさん(中)と語り合う当事者の女性(左)と男性=金沢市油車の「リワークスクールカラフル・金沢」で

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話し合い回復サポート

 拒食や過食といった摂食障害から回復し、就労を目指す人を支える福祉サービス事業所「リワークスクール カラフル・金沢」が金沢市油車に誕生した。対人関係に悩む人が多いことから、コミュニケーションを楽しんだり、自分の力を知って自己肯定感を高めたりできるようなプログラムを用意。新たな一歩を経験者のスタッフが後押しする。(押川恵理子)

 「ここで話すうちに緊張感があっという間にほぐれ、自分の居場所だと思えた」。二〇一八年十一月の開所時から週一回通っている石川県内在住の女性(28)は語る。通う日を徐々に増やし、働きたいと願う。

 大学生の時に発症した。二十歳の誕生日。ずっと感じてきた生きづらさや孤独感を体から出したい衝動にかられた。食事の際に下剤を使うようになった。「優等生できたつもりだったのに一気にパンクした」。拒食と過食を繰り返した。

 入院し、主治医から当事者や家族が悩みを語り合う「あかりトーク」を教えられた。自分のことを話すのが嫌で、一年たち、ようやく参加した。「自分だけがおかしいと思っていたが、共感してもらえた」。三年ほど通ううち、過食、嘔吐(おうと)の回数は減っていった。

 リワークスクールで女性を支えるのが、あかりトークを運営するNPO法人「あかりプロジェクト」(金沢市)代表理事の山口いづみさん(42)だ。自身もかつて過食症に苦しんだ。

 「いづさんがいるから信頼感がある」。そう語る女性には夢がある。既に持つ社会福祉士の資格に加え、精神保健福祉士の資格取得を目指している。「同じような境遇にある人の力になりたい。自分の特性を生かし、何かできるんじゃないかって思っています」

 摂食障害の当事者や家族を支える「日本摂食障害協会」(東京都)によると、就労支援の施設は全国的にもまだ少ない。加藤公史事務局長は「職場へのカミングアウト、昼食や飲み会の誘いをどうするかと悩み、就労したくてもできない。就労前のトレーニングがかなり必要だが、対策はまだまだこれからだ」と話す。

 山口さんは当事者から「外出はほぼ病院だけ」「働くことが難しい」という声を多く聞き、就労支援の施設をつくりたいと考えた。共感した一般社団法人「障害者人材育成機構」(金沢市)代表理事の榎敏弘さん(55)が、リワークスクールを開所する際、四人の常勤スタッフの一人として山口さんを迎えた。

 スクールのコンセプトは「その人らしさを社会に生かす」。発達障害や気分障害などの復職希望者も対象だ。生活訓練、就労移行にそれぞれ二年間のコースを用意。生活リズムを整えることから始まり、就職後も支援する。問い合わせはカラフル・金沢(平日午前八時半〜午後五時半)=電076(224)0551=へ。

 摂食障害 極端に食事を減らしたり、過食して吐いたりと食行動を中心に問題が起きる精神疾患。栄養障害などが深刻化すれば生命の危険もある。発症のピークは10代後半で、10〜30代の女性に多いが、男性や小児、中年以降の発症も少なくない。2014〜15年の厚生労働省研究班の推計で、病院を受診している患者は約2万5000人。日本摂食障害協会の加藤公史事務局長は「病院に行かない人も多いため、患者は研究班の推計の10倍はいると指摘する専門家もいる」と話している。

 

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