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漆の世界 新たな広がり 木片チップ 染料に再利用

染料用の漆チップに加工する利用者ら。奥で作業を見守っているのが新谷茂さん=石川県能登町宇出津で(田井勇輝撮影)

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能登町の障害者施設 生産

 石川県能登町の障害者就労支援施設が生産している染料用の漆チップが十月から、京都の業者を通じて全国に販売されている。輪島塗の漆液を採取した後の廃材を再利用する環境に優しい点や、使い勝手の良い便利な染料として好評を呼び、需要が高まっている。(田井勇輝)

 同町宇出津の就労継続支援センターおおとりで二十七日、知的障害や精神障害の利用者十人が枝切りばさみを使い、細長く裁断された漆の木片を一センチ角に切り、丁寧にチップへと加工した。「もう少し小さくていいよ」。職員の助言に利用者の一人は「はい」とうなずき、作業を続けた。

 八月ごろから生産を始め、これまでに計百キロを作った。業者に納入して得られた利益は利用者に工賃として支払われる。職員の松村響さん(45)は「利用者はいつも集中して作業している。だんだん慣れてきて手付きが良くなった」と話す。

 チップを納入するのは、染色材料を全国へ通信販売する「ウタニ」(京都市)。能登町の隣の穴水町で、漆の廃材を使った染料作りに取り組む染色家、新谷茂さん(66)が仲介した。新谷さんは二〇一六年から独自に「ウルシ染」の商品を手掛けている。

 乾燥した漆チップを熱湯に入れると黄色の染料を抽出できる。発色しやすく、色も長持ちする。水道水でも溶け、作業しやすいのが特徴だ。能登半島に自生する三百種類以上の植物で草木染をしてきた新谷さんは「漆は大変優秀な染料。廃材だからと、捨ててはもったいない」と語る。

 漆の染料としての長所に着目したウタニは、需要の拡大を見据えて、新谷さんにチップの大量生産を相談。新谷さんは障害者に仕事を創出しようと、手作業に定評があるおおとりに生産を持ち掛けた。

 漆チップは五百グラム、千九百八十円(税込み)。十月に販売を始めて以降、全国の染色家らから注文が相次ぎ、既に多くのリピーターがいるという。問い合わせはウタニ=電075(353)6039=へ。

 

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