トップ > 北陸中日新聞から > 北陸発 > 記事

ここから本文

北陸発

被災の恐怖 ゲームで疑似体験 震災生き抜く学ぶ

巨大地震に見舞われた都市で主人公が脱出する「絶体絶命都市4Plus」の一場面=グランゼーラ提供

写真

 石川県野々市市のゲーム制作会社グランゼーラが手掛ける「絶体絶命都市」は、ゲーム本来の楽しさを追求しながらも震災の恐怖を作品に落とし込み、疑似体験を通して防災知識が学べる。二〇一六年の熊本地震では「ゲームのおかげで、冷静に対処するだけの余裕を持てた」との声も被災者から上がった。チーフプロデューサーの九条一馬さんは「地震の怖さ、大変さを感じてもらえれば」と期待する。(蓮野亜耶)

野々市の会社 専門家、消防局が協力

 二十二日に九年ぶりに発売された新作「絶体絶命都市4Plus」では、見知らぬ街を訪れた主人公が巨大地震に遭い、避難所を巡って食料を確保、復旧情報を得て、街からの脱出を目指す。デマが流れるなど混乱の中、発生後の一週間ほどをどう生き延びるかを体験する。家庭用ゲーム機「プレイステーション4」でゲームできる。

 一作目は〇二年に発売。まるで自分が被災したかのような臨場感、震災から生き抜くために何をすべきかを選択をしていく物語性から、二作目以降、利用者の間で「防災知識が学べる」と評判に。

 「啓発用に作ったわけではなかったので予想外だった」と九条さん。誤った情報を提供しないようにと、三作目から防災の専門家の渡辺実さんに監修を依頼。道路の液状化、火災の描写などの指導に加え、ゲーム内で表示される防災マニュアルの執筆もお願いした。

 詳しい防災知識が学べるようになったことで、熊本地震の被災者から「ゲームの経験がなかったら、自転車のライトを外して胸元に下げたり、バッグに点滅ライトをくくりつけたりはしなかった」などの体験談が会員制交流サイト(SNS)に書き込まれた。

 ゲームの有用性に期待する神戸市消防局が昨年、「防災知識の普及啓発の一助になれば」と協力を申し出た。最新作では、渡辺さんと神戸市消防局がそれぞれ作った防災行動マニュアルがゲーム中の画面に表示される。さらに連動するスマートフォンのアプリでいつでもこれが見られる。

「多くの人に災害の怖さ、生き延びる大変さを体験してもらいたい」と語る九条一馬さん=石川県野々市市末松のグランゼーラで

写真

「日本だから生まれた」制作者

 初めはゲームを通して防災知識を学んでもらおうとは考えていなかった。大阪市内のゲームメーカーで勤めていた1995年に阪神大震災が発生。復興の現場を見ながら、大阪でゲーム開発を続けていた九条さんは「地震を扱った映画や小説はある。ゲームにしても、緊張感、恐怖心を感じられるエンターテインメントとして成り立つのでは」と考えるように。

 そんな思いから誕生した「絶体絶命都市」はこれまでに3作が発売され、アジアや欧州、北米でも発売される人気作となった。

 九条さんは「ゲームなので楽しんでもらうことが前提」としながらも「地震が多い日本だから生まれたゲーム。災害から生き延びることがいかに大変かということをもっと描きたかったし、感じてもらえれば」と思いを寄せる。

 

この記事を印刷する

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索