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立山地熱発電 沸き上がる夢 富山県、カルデラ掘削調査開始

地熱発電の可能性を探るため進められている掘削調査=富山県立山町の立山カルデラで(中島健二撮影)

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来年度に地下1600メートルへ

貯留層の有無確認

 富山県の北アルプス・立山連峰の一角にある立山カルデラで、今秋から地熱発電の可能性を探る掘削調査が始まった。来年度中に地下千六百メートルまで掘削し、実現への条件となる蒸気と熱水がたまった「地熱貯留層」の有無を確認するが、昨年までの調査で「層の存在が推定される」との結果が出ている。都道府県レベルでは例がない公営地熱発電稼働の期待が高まる、注目のカルデラを訪ねた。

 巨大なすり鉢のように連なる山並みの急斜面は既に紅葉が始まっていた。五日、調査を行う富山県企業局電気課の坂井宏幸課長の案内で入った立山カルデラ。崩落が起きやすい地形のため今も多数の砂防工事が継続中だ。そのほぼ中央部を流れる湯川沿い、標高約千三百メートルの地点に調査井掘削の工事現場がある。

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 本格的な掘削は来年度。その準備として本年度に計画された深さ百メートルの井戸掘削は終わり、コンクリートで固める仕上げの作業が進められていた。

 富山県営の発電事業は水力を主軸に行われてきたが「東日本大震災を機に再生可能エネルギーの必要性が叫ばれた。中でも県内で資源が豊富なのは地熱」(坂井課長)だとして、二〇一六年度に地質や重力などの地表調査を行った結果、「非常に有望」と評価され、一七年度は小口径の井戸三本を深さ五百メートルまで掘って調査場所を絞り込んだ。

 すぐ近くには、五十年近く前に災害などのために使われなくなった立山温泉の跡地がある。かつてにぎわった旅館などの建物はないが、源泉とみられる湯川の川べりからは、今も泉温六〇度以上とみられる温泉が湧き出ている。少し下流には噴泉もあり、訪れた時は高さ五メートルほどまで噴き上がっていた。

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 ただ、温泉帯は浅い所にあるが地熱貯留層があるのは千五百〜三千メートルで、坂井課長は「掘ってみなければ分からない」と慎重。しかも調査でゴーサインが出たとしても、土砂崩れの影響を避けられる場所の選定、無人化が避けられない冬の対応、国立公園内での施設建設など課題は多く、時間がかかりそうだ。

 それでも二酸化炭素(CO2)排出量はほぼゼロで、発電効率も高いとされる。排水を温泉にも使えるなど観光活用も考えられてメリットは大きい。関係者は固唾(かたず)をのんで掘削を見守る。

   ◇

 立山の地熱発電調査は、富山テレビ放送「プライムニュース BBTチャンネル8」(平日午後四時半から)の十日午後六時台「中島流!深掘りTOYAMA」で取り上げ、中日新聞北陸本社の中島健二編集委員が解説します。

 地熱発電 マグマの熱エネルギーで地下深くにたまった高温高圧の蒸気と熱水(地熱貯留層)を直接取り出し、その蒸気でタービンを回し発電する。2016年段階で全国17カ所で稼働とのデータがある。周辺温泉業者への影響懸念で計画段階で難航するケースもあるが、立山カルデラは近くに温泉地はない。これまでの調査で希少生物・植物も確認されていないという。

 

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