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金沢 ホテル乱立“青天井” 名古屋に迫る1万室超に 

建設中のホテルの奥に営業中のホテルが立ち並ぶ地区=金沢市内で(戸田泰雅撮影)

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 北陸新幹線開業による観光客、ビジネス客の増加を背景に、金沢市中心部でホテル建設が相次いでいる。十三日にはプリンスホテル(東京都)も進出の意欲を示した。東京五輪がある二〇二〇年に市内のホテル客室が一万室を超えるのは確実で、人口が五倍の名古屋市に迫る勢い。そんなにホテルが増えて大丈夫なのだろうか。(嶋村光希子)

採算、新たな需要開拓カギ

 近江町市場や香林坊に面する国道157号。かつて金融機関やオフィスが立ち並んだ通りでここ数年、ホテルが乱立する。その多くが石川県外に本社を置く大手チェーンだ。

 最近は別の建物からの転用も目立つ。全国的な傾向で、金沢市では仏壇店や繊維商社が生まれ変わった。カプセルホテル形式の「ファーストキャビン」(上堤町)は旧信用金庫ビルだ。

 対する地元資本。加賀屋(石川県七尾市)グループは近江町市場近くで「ホテルフォルツァ金沢」を一九年秋ごろ開業する。「観光客は東京五輪後も増える。競争は厳しくなるが泊まって分かる快適さを打ち出したい」と小田与之彦社長。

 新幹線開業前年の一四年三月末に八千三百十室だった金沢市(人口四十六万五千人)のホテル客室は今年三月末に九千七室に。日本政策投資銀行(政投銀)北陸支店(金沢市)は昨年末、二〇年に一万四百五十二室になると推計した。その後の新規計画を加味すると一万一千室を超える見通し。

 一方、人口二百三十二万人の名古屋市は今年三月末時点で九千六百十室。四年前からの増加数は名古屋の二百六十に対し、金沢は六百九十七と大きく上回る。

 ただ、今年六月の住宅宿泊事業法(民泊新法)施行に伴い、法律上の区分が「ホテル・旅館」に統合されたため、ホテル単独の客室数は公表されなくなり、二〇年時点で金沢のホテル客室が名古屋を超すかどうかは分からない。

 では、金沢のホテルは一万室を超えても採算が取れるのか。政投銀北陸支店の試算では、一六年に75%だった客室稼働率は二一年には69%まで下がる。ゲストハウスや民泊の増加も稼働率に響きそうだ。

 金沢大の佐無田(さむた)光教授(地域経済学)は「ホテルの選択肢が増えるのは良いこと。でも県外資本が多く、利益は県外に出てしまう」と指摘。「ホテルの供給が増えれば需要も生まれるという見方もあるが、淘汰(とうた)は進むだろう」と語る。

 今後さらに価格競争や人件費の高騰、従業員の人手不足ものしかかる。自治体が進めるスポーツ大会の誘致や地元が誇る伝統文化、学会など幅広い催しに絡めたホテル需要の掘り起こしが鍵になりそうだ。

 政投銀の担当者は「ナイトクラブやバーなど『夜の観光』にお金を落とす仕組みがあれば、訪日外国人客の満足度も高まり、ホテル需要やリピーターがさらに増える」と指摘する。

安さ! 立地! ブランド! 重視

利用客 ホテル選びの決め手は

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 金沢市中心部に集中するホテル。実際に泊まった人にどんな基準で選んだかを聞いた。

 「マネー。ベリーチープ!(お金。とても安かった)」と即答したのは、英国から観光で訪れ、ビジネスホテルを選んだ大学生カップル。数週間かけて全国を電車で回るため、安さは重要なポイントだという。

 カプセルホテルに泊まった東京の男子大学生(20)は「一泊三千円で泊まれるなんて」とお得さに驚いた。価格を重視する人は若年層を中心に多かった。

 「土地勘がないので、金沢駅や近江町市場に近いのが魅力的」と立地の良さを挙げる東京の女子大生も。予約サイトの口コミ評価を重視する人もいた。

 一方、ビジネス目的では「出張で翌日行く場所に近い」(四十代男性)と実用性に重きを置く人が多かった。「知っているブランドだから安心」と大手ビジネスホテルチェーンを選んだ三十代男性会社員もいた。

プリンスホテル 進出意向

北陸3県で初、社長表明

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 西武グループのプリンスホテル(東京都)は十三日、金沢市内でホテルの出店を目指す意向を表明した。北陸新幹線開業後の観光客の集客力が高いことから今後、立地場所など計画を具体化させる。実現すれば北陸三県で初めて。

 プリンスホテルは宿泊特化型の新ブランド「プリンススマートイン」を今後十年間で全国に百店を出す方針。新幹線の停車駅や空港の周辺地域などを候補としている。特に新幹線の開業で国内外から観光客が多く訪れている金沢を「重点エリア」と位置付けている。金沢のホテルが新ブランドになるかは未定。

 小山正彦社長が同日、金沢市内で事業説明会を開き、「金沢は観光、ビジネスともに大きな伸びしろがある。日本海側の中心エリアとして、機会があればぜひ出店したい」と意欲を示した。開業時期は「敦賀延伸が一つのポイント」と述べ、新幹線が福井県敦賀市まで延伸される予定の二〇二三年春が当面のめどになるとした。富山市や福井市への進出の可能性があることも明かした。 (嶋村光希子)

 

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