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元球児 パドル握り前へ 木場潟であす日本パラカヌー

東京パラ五輪を意識し「2020」と入れたカヌーを前に決意を語る高木裕太選手=石川県小松市の木場潟カヌー競技場で

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小松移住の高木選手「東京へ勢いを」

 石川県小松市の木場潟カヌー競技場で十日に開かれる日本パラカヌー選手権大会に、県内からただ一人、会社員の高木裕太選手(23)=小松市=が出場する。バイク事故で下半身不随になった後、二年前、カヌーを始めて昨年夏、故郷の大阪市から移住してきた。「良い結果を出して勢いをつけたい」。見据えるのは、二〇二〇年の東京パラリンピックだ。(小坂亮太)

 厚い胸板に太い腕。ベンチプレスの重量は約百キロ。専門学校を卒業し昨年九月、「アスリート雇用」で半導体メーカーに就職した。東京の本社に月一回出勤すればよく日々、木場潟で練習する。「どれだけ気持ちを注ぐかが大事」。高校時代の野球部でそう学んだ。

 遠投百十メートルの強肩を買われ正捕手に。誰よりも練習し、スポーツ推薦で大学に進み、高校で果たせなかった硬式野球の全国大会出場を目指した。

 大学一年の秋だった。バイクを運転中、右折の車が飛び出してきた。急ブレーキをかけた弾みで体が投げ出された。目覚めたのは病院のベッドの上。まず「生きてるんや」と驚き、足が動かないことに気づいた。

 脊髄損傷−。「ショックよりびっくり。現実的に感じられなかった」。親や周囲が悲しむのを見る方がつらく「自分が落ち込んでいたらあかん」。自分の考えを貫く性格。「人生良くするか、悪くするかは自分次第。やりたいことをして楽しんで、後悔しないようにしたい」と思った。

 五カ月間、リハビリをして退院。胸より下は動かないが、車いすテニスやソフトボール、バスケットボールに参加し、二年前にカヌーと出合った。やったことのない水上スポーツは魅力的だった。

 参加種目は、腕のみで二百メートルをこぐ「KL1」。初めての大会で二位になり、昨年九月の日本選手権で優勝を果たした。だがタイムは1分19秒で、パラ五輪に出るには30秒近く縮める必要がある。今大会は1分以内が目標だ。

 「障害を乗り越えたとは思っていない。けがをして、そうせざるを得ない環境に対応しただけ」。落ち込んだこともある。でも、悪いことばかりでもない。「いろんな出会いがあったし、周りからの支えに気付けた。恩返しをしたい」

 子どものころからの夢。「金持ちになって親にでかい家を建ててあげる」。それは今も変わっていない。

 

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