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危険な塀 なぜ放置 旧基準時適合なら 改修義務なし/新築時 建築確認対象外

大阪府池田市の北豊島中学校で、22日始まったブロック塀の撤去作業

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大阪北部地震各地で緊急点検 

 大阪府北部地震でブロック塀が倒壊し、小学四年の女児(9つ)が亡くなった。直接の原因は自然災害だが、安全対策を怠った人災の側面もあり、賠償責任も問われる。各地で緊急安全点検が行われており、石川県では志賀町が小学校で撤去作業を行った。専門家は民家を含めてブロック塀の安全確認を呼び掛ける。(小坂亮太、押川恵理子、小坂井文彦)

 震度7を記録した二〇一六年四月の熊本地震でも、ブロック塀倒壊で男性=当時(29)=が亡くなった。遺族は今年三月、塀を所有していた社会医療法人の理事長らを相手取り、熊本地裁に提訴した。損害賠償請求額は約四千二百万円。

 遺族代理人の今村一彦弁護士は「大阪で倒壊したブロック塀は、熊本と似たようなものだった。訴訟により全国の危険な塀の撤去につながればという思いもあったのだが…」と残念がる。

X既存不適格

 なぜ安全対策が進まないのか。一九八一年、建築物倒壊で多数の死者を出した七八年の宮城県沖地震を教訓に、ブロック塀の高さは上限二・二メートルなどとする新基準ができた。旧基準で造られたものは「既存不適格」という状態だが、設置当時の基準を満たしていれば違法にはならず、改修する義務はない。

 家屋の新築・増改築には必要な建築確認申請が、ブロック塀を造る際には不要という問題もある。基準を満たしていなくても、行政はチェックできない。所有者には安全管理の徹底が求められている。

 建築の問題に詳しい関口郷思(さとし)弁護士は「現在の建築基準法は、震度6〜7でも建築物が倒壊しないことを前提としている。管理を怠って事故が起きれば、所有者は責任を問われる可能性がある」と話す。

 小山工業高専(栃木県)の川上勝弥嘱託教授(建築材料・施工学)は「雨水で内部の鉄筋がさびると、強度は落ちる。定期的に専門的な点検、対策をする責任がある」と訴える。ブロック塀は昭和三十年代から普及し始めたが、「耐用年数は三十年程度」と指摘する業界関係者もいる。

X高さ抑制を

 東日本大震災や新潟県中越地震などの被災地で現地調査をした東北工業大の最知(さいち)正芳教授(建築生産工学)は、ずさんな施工のものも数多くあったと振り返る。基準に適合していないものはもちろん、「老朽化して大きな力が働けば倒壊する。有効な対策は高さを抑えることだ」と指摘する。

 子どもが倒壊に巻き込まれても命を奪われないよう、ブロックを三段に抑え、その上にアルミ柵などを設けることを推奨する。「また人命が奪われた。悲しく、悔しい。こうした方式が広まってほしい」

 大阪府北部地震では、ブロック塀だけでなく石を四段に積んだ塀も崩れ、男性(80)が亡くなった。石塀の基準はより厳しく、高さは一・二メートル以下と決められているが、大阪府警東淀川署によると、この塀は高さ二メートルを超えていた。

金沢市 ブロック塀撤去費助成も

 ブロック塀の撤去にはどれくらい費用がかかるのか。日本エクステリア建設業協会(東京都)によると、立地などによって異なるが、廃材が3トントラック1台に収まる量なら7万5000円ほどだ。

 金沢市は1984年から通学路などにあるブロック塀が、ひび割れなどがあり危険な状態なら撤去費用を助成している。上限は10万円。年平均10件ほど申請があり、2017年度は6件あった。市建築指導課の鶴見智厚課長補佐は「所有者には建築物の維持管理の義務がある。危険なブロック塀があれば申請を」と呼び掛ける。

 

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