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障害者アート 描こう未来図 金沢に子ども向け芸術活動の場 

ペンや色鉛筆などを自由に使い、思い思いの創作活動をする子どもたち=金沢市油車で

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 発達障害や知的障害などの子ども向けに、芸術活動の場を提供する放課後等デイサービス「ゆしゃ」が金沢市油車で四月から始まった。欧米では「障害者アート」は芸術の一分野として確立されているが、障がい者アート協会(埼玉県入間市)は「日本では、障害者が創作できる場自体が貴重だ」と言う。活動を始めた医王ケ丘病院(金沢市)の岡宏理事長は「アートで生きる力を育み、将来、利用者から芸術家が生まれたらうれしい」と話す。(堀井聡子)

 ビルの一階、ガラス張りの明るい一室が「ゆしゃ」の活動場だ。絵の具や画用紙、粘土のほか、CGを作るためのパソコンも用意してある。刺激に敏感な子どももいるため、仕切りのある長机のほか、カーテンで覆った半個室もある。

 通うのは七〜十八歳の、小中学生五人と高校を卒業した男性(18)の六人。小学二年の女の子(7つ)は「粘土で犬を作った。『ゆしゃ』にはおもちゃはないけど、絵を描くのは楽しい」とほほ笑む。

 岡理事長は二年前、障害者福祉に力を入れる滋賀県で開かれた福祉フォーラムで障害者の作品展を見た。天井高く積み上げられた割り箸、緻密に電車を描き込んだ絵…。「独特の感性に圧倒された」

 彫刻家で金沢星稜大の池上奨教授が「ゆしゃ」の活動アドバイザーを務めるが、「素の感性を大事にするため」(岡理事長)、あえて指導はしない。今後、美術館見学などの芸術に触れる課外活動も行い、できあがった作品を展示するギャラリーの併設も目指す。

 障害者の芸術は、英語では「アウトサイダー・アート」、フランス語では「アール・ブリュット(生(き)の芸術)」と呼ばれる。だが、日本では特定の呼称はない。二〇一〇年には、日本のアーティストによるアール・ブリュット展がパリで開かれたが、障がい者アート協会の熊本豊敏(とよとし)代表理事は「障害者の展覧会が開かれても、見に来る人は身内が多い」と語る。

 岡理事長は「子どものうちから創作できる環境をつくり、アートの力で生きる力を育みたい。美術工芸が盛んな金沢で、障害者アートが広がるきっかけにしたい」と話している。問い合わせは、ゆしゃ=電076(208)5032=へ。

 

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