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県内「絶滅」の花 カザグルマ 南加賀で自生

(上)石川県内で絶滅したとされていたが、自生が確認されたカザグルマの花(下)カザグルマの自生を確認する飯島真さん(右)と発見者の安田二三男さん=16日、石川県南加賀地方で(吉野淳一撮影)

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研究者「地域の宝に」

 環境省のレッドリストで準絶滅危惧種に指定され、石川県内では絶滅したとされていたキンポウゲ科の花カザグルマが、南加賀地方の雑木林で自生しているのが見つかった。カザグルマ研究の第一人者で、国立科学博物館筑波実験植物園(茨城県)と連携して研究している保全生態学者の飯島真さん(埼玉県)が十六日現地を訪れ、白色や薄紫の花を付けた個体を確認した。飯島さんは「北陸三県の自生地はここだけ。地域の宝になりうる貴重な発見」と話している。(吉野淳一)

 カザグルマは五〜六月に直径十〜二十センチほどの白や紫、ピンクの花を咲かせる。花は草の仲間では国内最大級。美しさから主に盗掘によって徐々に姿を消している。県内では四十年ほど前から確認されておらず、県のレッドデータブックには絶滅とされている。飯島さんによると、一度、絶滅が認められた種が再発見されるのは非常に珍しい。

 能美植物友の会会長の安田二三男さん(71)が一月、県内の知人女性が庭でカザグルマを育てているのを見たのが、きっかけ。女性は「四十年ほど前、南加賀の雑木林で花を見つけて一目ぼれし、カザグルマとは知らずに採ってきた」と話した。雪解けを待って安田さんが三月、現場に入り、自生地を見つけた。

 飯島さんのこの日の調査で約一ヘクタールに五千〜六千株の群生が明らかになった。カザグルマは園芸種クレマチスと間違われるが、つるの先端に花をつけ、発芽しながら花をつけない未開花株が周囲に繁茂している特徴などから、カザグルマと確認した。飯島さんが近く石川県に報告する。

 飯島さんによると、カザグルマは昔から織物、漆器の文様や家紋のモチーフに使われてきた。「日本のこのような文化を知る資料としても貴重」と石川県内での発見の意義を強調する。飯島さんを案内した安田さんは「天然記念物として保護されるよう今後、自生する自治体や専門家らに指定を働き掛けていきたい」と話している。

 カザグルマ 日本特産の多年草。つる性で多くは湿った土壌を好み、4〜5メートルほどに成長する。花びらのような部位は花弁とがくの区別がつかない「花被片(かひへん)」と呼ばれる。個体によってその数は異なり、6〜13枚のケースが多い。今回の発見を含め、全国28府県で確認されているが、限られた範囲で自生している。地域で花の形や色が異なるなど多様性がある。奈良県宇陀市の自生地は、国の天然記念物に指定されている。

 

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