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消雪装置 大雪で浮かぶ課題 大量の水 高い費用 能力の壁

(上)道路に散水する消雪装置=富山駅前で(下)地盤沈下のため玄関の階段が増えた中学校。新設した下段は、上段と色が異なる=新潟県南魚沼市で(同市提供)

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進まぬ新設 地盤沈下の不安も

 北陸地方で雪が降るたび活躍する「消雪装置」。設置済みの道路は積雪や凍結が少なく、てきめんの効果を見せる。半面、散水には大量の地下水が必要で、導入・維持の費用も高額。富山県では今年の大雪で能力を超える場面があり、限界も垣間見えた。 (山中正義、山本真士)

◆相次ぐ水位低下

 地盤沈下などが起きない基準とされる地下水の「安全水位」。県が常時観測する三地点で昨年十二月〜今年二月八日、水位が四十五回下回った。これは昨冬の六倍以上の高頻度。相次ぐ大雪のため、装置の稼働が増えたことが要因だった。

 県によると、県内では装置を使い過ぎて地下水位が低下し、地盤沈下を招いた例はない。だが、安心はできない。隣の新潟県は影響が顕著だ。

 同県南魚沼市の中心部の中学校では地盤が低下し、建物が浮いたようになる「抜け上がり」が起きている。担当者は「数年に一度、玄関の階段を増やしている。建物の下にできた隙間を埋める工事もあり、補修費がかさむ」と頭を悩ます。

 豪雪時には小学校で年九・二センチ沈下した例も。今も観測地点によっては年二センチ程度の沈下がみられる。

◆機械除雪の10倍

 富山市によると設置費は道路一キロ当たり三千万円を下らない。井戸を掘って水をくみ上げると、さらに数千万円がかかる。点検代や修理代、電気代もかさむ。

 市道では病院や高速道路などにつながる重要地点を優先しているため、全ての幹線道路には設置できていない。担当者は「最大の理由はコスト」と明かす。

 自治会が地元の道路に設置する例も多い。しかし、担当者は「相当な覚悟がないと、維持は難しい」と指摘する。この冬の前には、費用が工面できず、老朽化した装置の更新を断念した地域もあったという。

 富山県が管理する道路では昭和五十〜六十年代に急速に整備が進められた。しかし、過去十年はほぼ横ばいで推移している。担当者は「消雪装置は維持管理も含めると、機械除雪の十倍の費用がかかる。今は新設より更新の方に力を入れざるを得ない」と明かす。

◆溶けぬ雪

 一晩に二〇センチを超える雪が降った一月十一〜十二日の富山市内。消雪装置が動いているのに、雪が積もっている道路が続出した。装置が雪を溶かす能力を、降雪・積雪量が大幅に上回ったためだ。市には「消雪装置が止まっている」という問い合わせも相次いだ。

 節水のため、市は一地点に複数ある装置を交互に動かす仕組みを採用しており、雪を溶かす能力を抑えている面も影響した。担当者は「市内の平野部では極めて珍しい例だった」と驚きを持って振り返った。

 消雪装置 地下水や用水で路面の雪を溶かす装置。1961年に新潟県長岡市の道路に設置され、普及したとされる。センサーで雪を感知して動く方式が一般的。「融雪装置」「消雪パイプ」とも呼ばれる。富山県によると、県管理の道路の設置率は富山が32%で全国一。石川は18%、福井は17%、新潟は21%。

 

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