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児童施設の子 進学の壁 石川28%、県平均68%と大差

 今春、石川県内の児童養護施設で暮らしていた高校生の大学と短大、専門学校への進学率は約28%で、県平均の約68%を大きく下回っていたことが、本紙の調べで分かった。富山県内では、児童養護施設の高校生の進学率は約43%で、県平均は約76%だった。安倍政権は、低所得世帯の子どもの「高等教育無償化」方針を打ち出しているが、この状況を変えられるのか−。(押川恵理子)

 石川、富山の県平均は、文部科学省の学校基本調査(速報値)に基づく。児童養護施設出身者の統計はなく、本紙が各施設にアンケートをして集計した。

 石川には児童養護施設が八つあり、今年、高校を卒業した十八人のうち五人が進学した。大学が三人、専門学校が二人。ここ十年の高校生の進学率は11〜38%で推移している。一方、富山には三施設あり、高校を卒業した七人のうち三人が専門学校に進んだ。

 進学した計八人のうち七人は複数の団体から奨学金を受けているが、返済不要な給付型は少額だ。日本学生支援機構は今年から、約二千五百人に給付型の支給を始めたが、最大で月額四万円。また、対象は今春、進学した人で、在学中の学生は受給できない。対象者は来年から二万人に増えるが、支給額は増やさない。

 児童養護施設「林鐘園」(金沢市)の松尾茂樹園長は「大卒後、正社員になれず、奨学金の返済に追われるケースが少なくない」と話す。「享誠塾」(同市)の佐道寛施設長は「お金の心配をして、就職のため商業高校や工業高校を選ぶ子も多い」と指摘した。

 多くはいま、安倍政権の「高等教育の無償化」に期待する。だが、内閣官房人生100年時代構想推進室の担当者によると、無償化の対象は「実社会に評価されている大学に限る」と年内にまとめる予定の中間報告に盛り込まれる可能性が高い。学びたいことを学べない可能性がある。

 金沢大の岩本健良准教授(教育社会学)は「学生が学びたいことを学ぶ場を、しっかり提供することが本筋だ。大学の自主性も損なわれかねない」と訴えた。

 

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