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鏡花「化鳥」世界に発信 米留学生 初の英訳

完成した英訳版「化鳥」を持ち、笑顔を見せるピーター・バナードさん=東京都板橋区で

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金沢の記念館依頼 幻想美を表現

 泉鏡花原作の絵本「化鳥(けちょう)」の英訳版を、米ハーバード大大学院生で、慶応大に留学中のピーター・バナードさん(28)が完成させた。鏡花作品の英訳は、高野聖などがあるが、化鳥は初めて。バナードさんは「鏡花は、世界に誇れる独創的な幻想文学。世界に発信できれば」と話す。(小坂井文彦)

 英訳は、泉鏡花文学賞制定四十五周年を記念する「金沢泉鏡花フェスティバル2017」の事業。「既存の鏡花翻訳にとらわれない若手を」と、泉鏡花記念館の穴倉玉日さんが、以前から交流のあったバナードさんに依頼した。

 米国人のバナードさんはハーバード大で数学を学ぶつもりだったが、「パズルみたいで、数学にも近い」と日本語学習にはまった。二〇〇六年に横浜の高校に留学した経験が影響した。

 〇八年、二度目の日本留学で金沢に滞在し、「ホームステイ先のお父さんが読書家で、日本文学にのめり込むきっかけになった」という。鏡花の作品は、まず英訳で読んだ。「怪奇小説が好きだが、鏡花ほどの幻想美は他にはない。言葉にできない不思議な空間の描写がすばらしい」

 今では、日本語を流ちょうに操るバナードさんだが、化鳥の英訳では雰囲気を出すのに苦労したという。「翻訳中、文章が非常に豪華で、言葉が豊かだと感じた。鏡花らしい文章と主人公・廉の子どもっぽい言葉のズレがまたいい」

 「主役」をイラストレーター中川学さんの絵とも考え、文章が邪魔をしないようにも心がけた。さらに、ノスタルジアを感じさせるよう、現代風の言い回しは避けたという。

 タイトルは「A Bird of a Different Feather」(異なる羽の鳥)にした。「類は友を呼ぶ」という英語のことわざにちなんでおり、「俗世界では見ない鳥」という雰囲気にした。

 一部の書店やインターネットで販売を始めている。税別二千円。金沢市は市内の学校や全国の図書館、米国の大学などに計千部を寄贈する予定だ。

 

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