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輪島塗バイオリン 世界へ 八井さん制作 米ボストン美術館初展示

ボストン美術館で展示されるバイオリン「傘寿愛」を手にする八井汎親さん=4日、石川県輪島市横地町で

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 石川県輪島市の漆器業八井汎親(ひろちか)さん(79)が手掛けた輪島塗のバイオリンが来年、米国のボストン美術館に展示されることになった。八井さんによると同館に輪島塗作品が収蔵されるのは初めて。「輪島の伝統工芸が世界に通用することを証明できる」と喜んでいる。(関俊彦)

 八井さんは親交のあった英国人陶芸家バーナード・リーチから「日常品も美術品にできる。新しいことへの挑戦が大切だ」と言われ、テレホンカードや三味線などの輪島塗に挑戦。五年前から新たにバイオリン作りに着手した。

 県内に協力してくれる業者がいなかったため、名古屋市中川区の弦楽器製造「鈴木バイオリン」に依頼。漆の厚さから音色が響かなくなるとされていたが、試行錯誤の末、通常の三分の一以下の薄さで漆を塗ることに成功し、二〇一四年に初めて完成。昨年八月までに計十一本を作った。

 「傘寿 愛」と名付けた十二本目は、昨年八月から今年一月にかけて制作した。音色と芸術性を高めるため、二十五年乾燥させた木地に岩手県産の漆を塗り重ね、蒔絵(まきえ)や沈金でインド更紗(さらさ)の模様を描いた。

 九月下旬から今月二日まで、米国の昭和ボストン大で輪島塗パネルを修繕したのを機に、ボストン美術館を訪問した。持参した「傘寿 愛」を、館長や名門・ボストン交響楽団のバイオリン奏者に見せると「漆の美しさが海のように深く、音色も良い」と高く評価され、展示話がまとまった。

 同館では来年、日本文化に造詣の深い動物学者エドワード・モースの生誕百八十年イベントを企画しており、開会式での演奏も検討されている。八井さんは「バイオリンは年月を重ねるごとに音色が美しくなる。遠い米国の地で、輪島塗の音色を奏で続けてほしい」と話している。 

 

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