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みこし作り 更生の励み 富山刑務所 技守り40年

受刑者が製造したみこしと長年技術指導を担当する成瀬大一さん=富山市西荒屋の富山刑務所で

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 富山刑務所(富山市西荒屋)の受刑者が約四十年にわたって、みこしの製造販売をしている。安価で頑丈な品質が人気を呼び、今までに五千基以上を販売。秋祭りシーズンを迎え、全国各地で今年も“富山みこし”が勇壮に街角を練り歩いている。(酒井翔平)

 金色に輝く鳳凰(ほうおう)や精巧な彫刻。木材の削り出しから飾り付けまで、受刑者が全て手作業で、約四カ月かけて完成させたみこしだ。注文に応じて、富山刑務所オリジナルの「富山みこし」の飾り付けも施している。

 二十年以上指導する法務技官の成瀬大一さん(58)は「安価で頑丈な上、質も高い」と話す。製造するのは大きさや装飾が異なる七種類で一基六十万〜六百十五万円。市場よりも比較的安価なのが特徴だ。組み立てや塗装など工程ごとに受刑者十人が担当している。

 一九七六年、当時の技官が廃材を利用してみこしを試作したのが始まり。当初は地元を中心に売れ、口コミで評判が広がり、七八年ごろには全国から注文が相次ぐようになった。担当する受刑者は一年ほどで変わるが、法務技官が伝統の技を守り続けている。

 法務省によると、みこし製造をしているのは富山、千葉の両刑務所だけ。需要がなくなれば、生産を中止するため、約四十年にわたって同一商品が作られ続けるのは珍しいという。

 年に数回、みこしの販売先からお礼の手紙や写真が送られることがある。成瀬さんは、その手紙を受刑者の前で朗読するという。「最後までやり遂げた喜びを知ってもらいたい」という思いからだ。手紙の内容を聞いた受刑者は、一層熱を入れて刑務作業に励むという。成瀬さんは「努力が報われれば更生につながる」と力を込める。

 みこしは各刑務所で開かれる矯正展で展示販売するほか、刑務所の作業製品を扱う公益財団法人矯正協会のサイトで通信販売している。問い合わせは富山刑務所企画部門=電076(429)3744=へ。

作業製品は多様化

 近年の刑務所の作業製品は人気キャラクターをデザインした商品や地域の特色を出した製品など、多様化しつつある。

 金沢刑務所(金沢市)では、二〇〇一年から石川県白山市の伝統工芸品「檜細工」の一つである檜笠(かさ)を生産している。昨年からは一部を青色やピンクなどに染めたオリジナル商品の販売を始めるなど、工夫も凝らしている。

 ほかの刑務所でも、サンリオの「ハローキティ」や、熊本県の「くまモン」といった人気キャラをデザインした小物を作り、人気を得ている。

 

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