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消防団 OB頼み 「機能別団員」、県内で増加

ポンプ車の点検作業をする機能別消防団員の福本晃さん(左)ら=金沢市金石西で

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「人手不足」「地域知る人必要」

 日中に地元を離れて仕事をする消防団員の任務を補うため、地元で自営業を営むOB団員らを、限定的に活動する「機能別消防団員」として採用する石川県内の自治体が増えている。2007年度に七尾市が始め、本年度は金沢市、内灘町が取り入れて計7市町に。全19市町のほぼ半分に迫ってきており、人数は昨年度の倍以上の189人(うち女性3人)となった。(小坂亮太)

 集まった団員は五人だけだった。金沢市金石本町で昨年八月に木材会社から出火し、隣接の民家三棟を含む七棟が全焼した火災でのこと。金石分団の団員は二十八人だが、午後三時すぎに発生したため多くは働きに出て地元にいなかった。

 「初期消火が遅れれば遅れるほど火は広がる。人手不足を切実に感じた」。今年三月末まで分団長を務め、四月から機能別団員となった電気店経営の福本晃(のぼる)さん(50)は振り返る。

 昨年十二月には、新潟県糸魚川市で木造家屋など百四十七棟が焼ける大火が発生。同様に木造家屋の密集地がある金沢市は体制を強化しようと、機能別団員の導入を決めた。各分団の定員はポンプ車の出動に必要な五人を上限とした。

 福本さんは、分団長として任期満了に伴う退団が決まっていた自らを含むOB五人を選んだ。「地域事情を知る者の力が必要。住民の安全と財産を守る魂は変わらない」と力を込める。

 機能別団員の活動内容や採用条件、定員は、消防団事務局を担うそれぞれの自治体に委ねられる。金沢市では、日中も分団管轄内にいる、役職経験のある元団員、六十歳以上の元消防職員らが対象。計百一人が火災や水害に備えている。

 管外への出動や訓練、防火啓発への参加は免除され、報酬は一般の団員(基本団員)と比べ三分の一の年一万円。基本団員は千百人いるものの、市消防局の担当者は「すぐ駆けつけられる自営業者が減った」と機能別団員の必要性を語る。

 内灘町は、経験の浅い団員をサポートする狙いもあり、元団員五人でつくる「機能別分団」を四月に新設。分団は町内全域の応援に駆けつける。津幡町では、日中の団員が足りない河合谷(かわいだに)地区のみ五人を委嘱している。

 七尾市や輪島市も日中の団員不足が導入の理由で、五年以上の経験がある元団員を中心にそれぞれ四十一人、二十二人を採用。白山市や宝達志水町も導入を検討しており、さらなる増加が予想される。

全国に2万人弱、5年で倍

基本団員は減

 消防庁によると、機能別消防団員制度は、団員の減少に対応するため二〇〇五年度に導入された。年々採用する自治体が増え、今年四月一日現在では全国で、過去最多の一万九千四人が委嘱されている。前年同期比で15%増え、五年前の倍近くになった。

 一九五〇年代前半に二百万人を超えていた基本団員は、半分以下の約八十三万一千四百人(四月一日現在)。前年同期より約八千三百人減り、減り幅は機能別団員の増加分を上回る。消防庁の担当者は「一番いいのは基本団員の増加だが、時代の流れで難しい面もある」と話す。

 石川県によると、県内の基本団員は五千二百十六人(同)。十年前と比べてほぼ横ばいだが、自営業ではない仕事を持つ団員が三百七十一人増えて三千八百八十五人となっており、機能別団員への期待が高まっている。

 機能別団員は富山県では全十五市町村のうち八市一村の二百六十八人(同)が任されている。富山県によると、石川県と同様、消防職員と団員のOBが中心となっているが、富山市は、消火活動をせず、子どもを対象とした啓発や高齢者宅の防火訪問などを担う女性百二十二人を機能別団員と位置付けている。

 

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