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千代女 よみがえる147句 白山の俳文学会員 新たに発見

千代女の句が載った俳書を手にする山根公さん=石川県白山市で

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 石川県白山市出身の俳人、「加賀の千代女」(一七〇三〜七五年)が詠んだとされる百四十七句が、新たに見つかった。発見した俳文学会員の山根公(ただし)さん(72)=白山市倉光=は「人々の日常を素直に詠んだ句が目立つ。千代女の人物像に迫る発見になりうる」と話している。(冨田章午)

流行に敏感?増えた人事句

 見つかったのは、中秋の名月を背景に楽しく踊っている女性を詠んだ「女子(おなご)さへ月へ月へとおどり哉」、お盆の時期に亡くなった人を思い涙を流す様子を表した「玉まへりふるいなみだもこぼれけり」など。古い俳書や書軸、手紙などを調べ、いずれの句も出典資料や筆跡、俳句研究を専門とする大学教授らの情報提供から、千代女が詠んだ句だと判明した。

 千代女研究の礎を築いたとされる俳人の中本恕堂(じょどう)(一八九九〜一九七三年)=同市出身=は一九五五(昭和三十)年、「加賀の千代全集」を発行している。この全集に収められた約千七百句が千代女の句のすべてとされてきた。

 恕堂はこれらの句を気候や季節を扱った「天然」、人々の日常生活を扱った「人事」「植物」「動物」の計四種類に区分している。最もよく知られている「朝顔に釣瓶(つるべ)とられてもらひ水」の句も含めて植物が四割と最も多く、人事は一割で最も少なかった。

 山根さんは、二〇一四年にも百六十七句を発見している。今回と合わせた三百十四句のうち、四割は人事句になるという。近世俳諧の研究者、清泉女学院大の玉城司客員教授は「千代女が亡くなる前後に人々の生活などを表現した川柳が流行した。今回の発見は、千代女が流行に敏感だった可能性を示す資料になるかもしれない」と分析する。

 山根さんは三百十四句と恕堂がまとめた約千七百句を紹介する「千代女俳句全集(仮称)」の発行にも意欲を見せている。「恕堂がまとめた句集は読み仮名がなく一般の人が読むのは困難。千代女の句を幅広い世代に親しんでもらえるよう活動していきたい」と話している。

 加賀の千代女 江戸時代中期の1703(元禄16)年に加賀国松任(現在の石川県白山市)に生まれた。幼い頃から俳句をたしなみ、17歳の時に松尾芭蕉の弟子、各務支考(かがみ・しこう)に才能を認められ、頭角を現した。50歳を過ぎてから尼になり、75年に死去した。

 

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